ドネルケバブ『Gule gule!』｜リアクション

ドネルケバブ『Gule gule!』

●ケバブって何ですか？

　交易所から寝子島に来て、おたまじゃくしの尻尾を生やした顔も体つきも年齢相応の『人がた』に変化した見帰り沼のコトコは、こっそり保育園や幼稚園にお邪魔しては歌やダンスを覚えていく。
　今日もいっぱい保育園でお歌とダンスを覚えたので、覚えたての歌を歌いながらお散歩を。
　その途中、オレンジのケータリングワゴンを見かけた。
　そのワゴンに大きな肉の塊があったので、コトコは珍しいもの発見！　と大はしゃぎ。
「しし」
　両手を前にしてガオー！　とライオンが吼えるポーズ。
「かば」
　両手を前に突きだしてカバさんの大きな口のポーズ。
「ぶー！」
　右手の人差し指を鼻に当て、豚さんの鼻に。
「うへー、たにょしーれすねー。う？　かばぶー？」
　ワゴンの中で売り込みをしているバルシュ・コルテュルクの声と貝に来た客の会話を聞きかじる。
　できたてケバブを受け取った客が立ち去ったところで、コトコはバルシュに話しかけた。
「てんいんしゃん、てんいんしゃん。かばぶー、たべもにょれすか？　とー、『しし、かば、ぶー！』しってるれす」
　しし、かば、ぶー！　は、こうやっておどるれるお！　と保育園で覚えたダンスを披露する。
「上手だね、お嬢ちゃん。かばぶ、ってのはケバブのことかい？」
「そーれす！　ししかばぶー！　れす！」
　楽しそうに言うコトコにどう説明しようか、とバルシュは苦笑いする。
「ケバブとシシカバブは串焼き焼肉ってのはおんなじだけど、ちょっと違うんだ」
　シシカバブはぶつ切りの肉を串に刺したもの。
　ケバブはピタパンというものに肉と野菜を詰め込んで食べるんだよ、とわかりやすく説明したのだが、コトコには難しいようだった。
「どーやってつくるれす？　とー、ここれみてていいれすか？」
「いいぜ！　そのほうがケバブがどんなものかお嬢ちゃんにわかってもらえるしな」
　人が少ない時間帯なので、じっくり見学させてもいいだろう。
　そう思ったバルシュはワゴンから踏み台を持ってくると、そこにコトコを乗せて見学させる。

「今日は寝子島で新しい料理のヒント探しです！　どんな料理が見つかるかな？」
　新しい料理を作るために変わった料理を食べていこうと星幽塔からやって来たリリエル・エーテライトは、どんな料理が見つかるか楽しみだった。
　あれこれ探しているうちに、ドネルケバブを打っているワゴンを発見。
「あ！　あそこの屋台で何か見慣れない物を売ってるみたいです。行ってみましょう！」
　ワゴンから漂う匂いにつられ、リリエルはバルシュに話しかけた。
「こんにちはー！　すいません、ここでは何て料理を売ってるんですか？」
「いらっしゃい！　ここはケバブの店だよ！」
「ふむふむ、ケバブ……」
「りりえうしゃん、とーといっしょに、かばぶー、つくるのみるれす！」
　どんなものかを知るには作る過程を見るのがいいかも、と、リリエルはコトコと一緒にケバブ作りを見学することにした。
「ふむふむ、お肉の塊を削げ落すのがすごくインパクトがありますね！」
　買いに来た客にできたてをケバブを手渡すバルシュを真剣に見ていたリリエルは、食べたくなったので買うことに。
「とってもおいしそうです、ひとつください」