ドネルケバブ『Gule gule!』｜リアクション

ドネルケバブ『Gule gule!』

●ドネルケバブ『Gule gule!』開店！

　９月になり秋が少しずつ近づいてきたが、まだまだ暑い。
　オレンジ色のケータリングワゴンでドネルケバブを売るバルシュ・コルテュルクは「美味しいものを食べて、みんな元気になったらいい！」と張り切っている。

　休日、お昼時ということもありワゴンの前に客が集まる。
「ドネルケバブはうちの看板メニューだ！　削りたての熱々の肉に、炙ったピタパンだから火傷するなよ！」
　陽気なバルシュの声が周囲に響き渡る。
「野菜と肉を交互に入れると、肉汁とソースが全体にしっかり絡むんだ。うまいぞ！」
　出来立てアツアツのケバブを受け取った客とハイタッチ。
　ハイタッチした客とすれ違いざまにカップルが注文するが、ソースを何にしようか迷っている。
「何にしようか迷っているのかい？　今日のオススメは、ガーリックソースだ！」
　女性にはトマトソースにヨーグルトを加えたスペシャルの方がいいかもね、とそれを勧める。
　バルシュのアドバイスを聞き、カップルはスペシャルソースを選んだ。

　散策がてらシーサイドタウンを歩いている穂村敦は、腹が減った……なんか食いてえとへたり込んだ。
　空腹状態で目についたのは、ドネルケバブ『Gule gule!』に集まる客達だった。
「……ん？　なんだあのワゴン？　良い匂いするし食い物の店っぽいけど……」
　匂いにつられ、ワゴン車に近づく。
「よう、いらっしゃい！　移動ケバブ屋『Gule gule!』は今日も陽気に営業中だ！」
「……けばぶ？」
　ワゴンに設置された看板を見ながら「聞いたことねえな」敦は首を傾げた。
「おっちゃん、ケバブってどんな食い物なんだ？」
「あそこに肉の塊があるだろ？　肉を削ってピタパンに野菜と肉を交互に入れて肉汁とソースを全体にしっかり絡ませて食べるトルコ料理だ」
　ドネルは「回す」って意味だ、と付け加え。
「……へー、なるほどな。あそこの肉、回して焼いているんだ。美味そうだな。おっちゃん、ひとつくれ」
「毎度あり！　ソースは何にする？」
「あ？　ソース？　何があるんだ？」
　ざく切りのトマトを煮込んだ野菜感たっぷりのトマトソース。
　ヨーグルト＋トマトソースのスペシャルソース。
　ヨーグルトベースにニンニクが香るガーリックソース。
　辛いのが好きならこれ！　のチリソースがあると説明する。
「お好みでソース増量、ミックスの注文も可能だよ。肉に味がついているからソース無しでもおいしいぜ！」
　どのソースも美味そうじゃねえかと悩んだが、なんかすごそうという理由でスペシャルソースに。
「んー、じゃあスペシャルソースで」
「任せとけ！　肉と野菜をぎゅぎゅっといっぱいに詰めるからな！」
　手際良く肉を削ぎ落し、トマトやスライスした玉ねぎを詰め込んでからスペシャルソースをたっぷりと。

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