さーさーさらさらさくさくさ。｜リアクション

さーさーさらさらさくさくさ。

◆暴発。アレコレぐっしょりと。

　当然、桜庭に水はかかる。
　それから今日はやけについていない桜井。
　あとはぼんやりと騒動を眺めていた海神の制服が濡れてしまった。

（……え？　何で水鉄砲？）

　桜庭のおかげで解決するだろうと高をくくっていただけに海神の驚きは大きい。

（今日は宿題早く終わらせて自分へのご褒美のつもりでここに来てたのにっ。台無し感が半端ないよ！）

　肩を落とし、服の濡れた部分をつまみ上げる。
　いい加減にしてくれないと……。
　感情に任せ、少しくらい喜好を怒るべきなのではないか。迷っていると毒島イヴが様子を見にやってきた。
　小さな体に大きな希望を携えた、可愛らしい女性を前に余計な感情が吹き飛んでいった。

「プリティーな強盗さんデスネ？　イヴの故郷では日常茶飯事でしたけど、寝子島で見るのは久々デース」

　海神の脳内がより白くなる。

（あれ、今なんて言ったんだろうこの人……）

　あまりに嬉しそうな物騒な発言をする。

「ボーイ？　どこのお家の子デスカー？　こんな真似しちゃ親御さんが悲しむネー……」

　両手をガバっと広げ、イヴは喜好に飛びかかってきた。
　腕が彼を抱きしめる前に、大きな果実が柔軟に形を変え彼を包み込む。
　喜好は逃れようと暴れるも、彼女の腕がそれを許さない。

「さあ、怒らないからお姉さんに全部喋ってしまうのデース」

　イヴは慈しむように愛おしむように喜好の頭を撫でる。

「や、やめろよ」

　少年マグナム、暴発。
　抵抗の末の事故だった。
　イヴの服はぐっしょりと水を含み、肌に張り付き――肌を透かした。

「……と、最高に幸せな時間を糞餓鬼に邪魔されちまったぜ」

　喜好はゆらりと空気が揺れたと錯覚した。
　目つきのギラついた毒島柘榴の登場によって。
　いい女は、水に滴ってもいい女。
　胸元エロス！
　陽気に突っ込んでくれる馬鹿がいればよかったのかもしれない。

「しかも、おめぇ訳ありみたいだし、イヴはこんなになっちまうし、……ったく、とんだ厄日だな」

　どんなに都合よく解釈しても、彼が喜好を許してくれるとは思えなかった。