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七色の星、願い託して
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★夜桜の下で ~東の国のある地方に伝わる民話より~(
吉住 志桜里
&
卵城 秘月
)
薄い紅色の桜が、はらはらと舞い落ちる。
志桜里がその様子に見入っていると、
「志桜里おねーちゃん、桜、好きねぇ」
と、おかっぱ頭の幼い少女が、花びらを掴もうとする手を止めて、きゃらきゃらと笑った。
ふわり、志桜里の鋭い目が、柔らかに細められる。
「そうですね。桜は好きです」
「わたしも! ……そうだ、ねぇ、おねーちゃん、前のお話の続き、教えて?」
桜が咲いたところからよ? と少女。
志桜里はにこりとして頷き、歌うような調子で語り始める。
「昔々あるところに、2人の鬼がおりました――」
◇
夜の濃い暗闇の中に、白に近い桜の花だけが、淡くぼうっと浮き上がっている。
提灯の灯りを手に、男は、早足で家路を辿っていた。
風がぼわりと吹くのに、ひっと肩を竦める。
何せ、この辺りには――、
「――もし、すみません」
たおやかな声に、男はぱたと足を止め、振り返った。
「すみません、道に迷ってしまいまして……」
被衣の下で少し眉を下げて言ったのは、すらりと背の高い、若い女だった。
目つきは少し厳しいが、柔和な雰囲気の、美しい女。
男は、ほう、と安堵の息を吐いた。
「驚かせないでくれ」
「驚かせてしまいましたか?」
「当たり前だろう。何せこの辺りには、鬼が出るんだ」
「……そう、この辺りには鬼が出る。ですから――夜歩きは危険ですよ、人の子」
ばさり、被衣が地に落ちる。
女の頭には、鬼の角が生えていた。
「ひ……!」
「ああ、逃げようだなんて考えないでくださいね? 面倒ですから」
言うや、女の姿をした鬼は、品の良い着物の重さや動きにくさを全く感じさせない速度で男に迫った。
鋭い爪の生えた指が、ガッ、と男の肩を掴み、強い力で無理やりに押し倒す。
そうして鬼は、男の肩に、がぶり、噛み付いた。
「あ……あぁ……ぁ…………」
男の声が、徐々に小さくなっていき、終いにはぷつと途絶える。
鬼に、生命力を吸い尽くされたのだ。
この地域では、桜の季節の夜には、シオリという名の鬼が出る。
命の持つ力そのものを食らわねば渇いて狂い死んでしまう、業苦を背負った鬼が。
すくと立ち上がり、もうぴくりとも動かなくなった男の残骸に向かって、シオリは声を投げた。
「悪く思わないでくださいね。生きるのに他の命を食べるのは、そちらも同じなのですから」
ぐいと、血に汚れた口元を手の甲で拭うシオリ。
その茶色の双眸に、一瞬だけ切なげな色が宿り、けれどそれはすぐに溶け消えた。何せ、
「あーあ、可哀想だね」
と、背後の闇から、不意に声がしたのである。
「……誰です?」
振り向いて、闇に問う。
ギリギリまで気配を感じられなかったという事実が、シオリの声を強い調子にした。
「おっと、そう怖い顔をしないでくれ」
相手が、おどけるように肩を竦める。
「ただの同族だ。今は
ヒツキ
と名乗っているよ」
砕けた調子で言って小さく両手を上げてみせたのは、確かにシオリの同族――鬼、だった。
2本の角はその確固たる証で、けれどその鬼――ヒツキは、どことなく不思議な空気を纏っている。
シオリは、蹲る闇に目を凝らし、相手をよくよく観察した。
丈の短い、足が溌剌とよく見える珍妙な袴(他の表現がシオリにはわからない)を穿いている。
足元は裸足。
けれど、上に合わせる衣は、晴れたような空色で、矢羽根模様が洒落ていた。
そして――何よりも目立ったのが、悪戯っぽく輝く、瞳の冴え冴えとした青だ。
「――可哀想にな」
距離は詰めないままに、もう一度、ヒツキは言った。
「その男、遠目にも、働き盛りのしなやかないい身体だと見た。きっと、嫁や子供もいただろうに」
「っ、黙りなさい!!」
闇を、シオリの叫び声が揺らす。
まさに“鬼気迫る”という調子だったが、ヒツキは、再び軽く肩を竦めただけだ。
「怖いね。どうする? 目障りなら、私も殺す?」
「……望み通りにしてあげましょう」
おっかないな、なんて言いながらも、ヒツキは妖術で、手の中に鉄の棍棒を呼び出した。
シオリも、その姿を揺らがせた次の瞬間には、白と赤の、昔風の衣を身に纏っている。
動きやすい、常の装束だ。
右手には棍棒、左手には凛々しい刀。
「さあ、始めましょうか」「うん、準備OKだよ」
途端、シオリの刀が鈍く煌めき、それ自体が意思を持って、夜闇を裂いてぐんと飛ぶ。
びゅんと襲い来るそれを、ヒツキは手にした棍棒で撃ち落とした。
瞬間生まれた隙を、シオリは見逃さない。
ぐっと踏み込み、相手の元へと迫って振るう棍棒の一撃を、ヒツキは何とか受け止めた。
「ッ……中々、賢い手だね」
「お褒めに預かり光栄ですね」
キン、とヒツキの棍棒で己の棍棒を弾き返し、生まれた勢いを乗せてもう一撃。
堪らず力負けしたヒツキの手から棍棒が逃げ、重たげな音を立てて地に落ちた。
シオリの方も棍棒を投げ出し、ヒツキに掴みかかって、その場に押し倒す。
ヒツキの身体に馬乗りになって自由を奪い、彼女の肩を押さえ込んだまま、首筋に牙を立てるシオリ。
そこから、僅かの血と共に、命を吸い出す。
けれど――ヒツキからシオリの中へと流れ込む命は、尽きることを知らなかった。
(……どういうこと?)
いぶかしんで少し首を上げたシオリの頬を、温もりが、優しく撫でた。
ヒツキの手だ。
「君は、悲しい目をしているね」
「何を……」
「ずっと、辛かっただろう」
ヒツキの言葉が、声が、シオリの胸を、静かに打った。
(――ああ、私は……)
ヒツキの言う通り、悲しかったのだ。
人の子の命を奪わねば生きられぬ身が、そのために殺生を重ねる己が。
自分は辛くて仕方がなかったのだと、シオリは、初めて自覚した。
ぽつ、と、水の珠が一滴、ヒツキの頬に落ちる。
それが自分の涙だと気付くのに、シオリには少し時間がかかった。
「私には、永遠の命がある」
少し笑ったヒツキが、真っ直ぐにシオリの目を見て言う。
「だから、私の命を食らうといいよ。私達は、共に生きられる」
「……その永遠の命まで、私が、食らい尽くしてしまったら?」
儚げな響きを帯びたシオリの問いに、ヒツキは、にこと力強く笑んでみせた。
「その時は、私が、最期の力で君を殺そう」
――もう二度と、君が悲しい顔をしなくて済むように。
風が吹く。
桜の白が、2人の上に柔らかく降った。
そして、暫くのあと。
「……あの、ね、」
白が散る中で、ヒツキが再び口を開く。
シオリと出会ってから初めて、ほんの少し、躊躇うような調子で。
「偉そうなことを言ったけれど本当は……これはね、私の我儘なんだ」
「我儘?」
うん、と零して、ヒツキは力の抜けたシオリの手をそっと退け、身を起こした。
顔と顔が、近い。
ヒツキは、シオリの頬を、両手でそっと包んだ。
澄んだ青が、涙に濡れた茶色を覗き込む。
「一緒に生きられる相手を、永く探していた。私は、ずっと、君に会いたかったんだ」
だから、改めて。
「シオリ君、私と共に生きてくれないか? 2人の永遠が終わる、その時まで」
◇
「――それで、鬼達はどうなったの?」
話の途中で志桜里の膝の上に収まった少女が、志桜里の顔を見上げて聞く。
志桜里が口を開きかけた、その刹那。
「おーい、志桜里君!」
少し離れたところから、声がした。
こちらへと手を振る、見知った顔。
それを見留めた志桜里の目元が、ふっと和らぐ。
「秘月! ……ごめんなさい、私、もう行かなくては」
「そっかぁ。じゃあ、またね、志桜里おねーちゃん」
「ええ、また」
少女と別れて、志桜里は、秘月の元へと急いだ。
「何を話し込んでたんだ?」
「ふふ、さあ?」
並んで、2人は家へと続く道を行く。
2人分の長く伸びた影の頭のところには、鬼の角がちらちらと揺れていた。
「――中々終わらないね、私達の永遠は」
歩きながらしみじみと呟いて、秘月は、ふと思いついたように桜の方を振り返る。
その口元が、ふわりと緩んだ。ああ――、
「今年も、君の隣で見る桜は綺麗だ」
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担当ゲームマスター
巴めろ
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年06月09日
参加申し込みの期限
2019年06月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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