七色の星、願い託して｜リアクション

七色の星、願い託して

★らっかみ脱出ゲーム～不思議な洋館からの脱出～（水守流）

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謎を解かないとここから出られない……。

目が覚めたら奇妙な部屋の中、突然頭上からエムアの声が響いてくる。

『１時間以内に脱出できないと大変なことになりますよ』

果たして洋館の謎を解き脱出することはできるのだろうか――。

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「……って、脱出ゲームってことだよな、要は」
　それまでの状況を振り返って、水守流は顎に手を宛がい、ひとつ頷いた。
　流は、ゲームを趣味としているし、その知識の幅も広い。
「導入がもう、アプリゲームの煽りっぽいもんな。定番のシチュエーション的なアレだ」
『定番では物足りませんか？』
「あ？　いや、勿論、シチュエーションが定番でも面白い作品は幾らでもあるけどな、うん……って、」
　流は、声がした方を見上げて、叫んだ。

「でけぇな、戸影！！」
　洋館の一室、その頭上には、天井ではなく、満天の星空が広がっている。
　そしてそこから、巨大怪獣の如きサイズのエムアが、薄い唇に笑みを乗せ、流を見下ろしているのだ。
「夢だか何だかしらねぇけど、ひょいと摘まみ上げてもらったら即脱出じゃねぇかオイ！」
『それでは、ゲームの面白さが失われてしまうじゃないですか』
「ウルトラ規格外サイズの奴には言われたくねぇよ！！」
　流のツッコミを受けてなお、エムアは余裕の笑顔を崩さない。そして、
『ふふ。もしかして、自力で脱出する自信がないのですか？』
　なんて、しれっと流のことを焚き付けるのだ。
「……自信？　あるに決まってるだろ。ゲーマーの本気の見せ所だ」
『それじゃあ、頑張ってくださいね。あ、広告動画を視聴するとヒントが……』
「いらねぇよ！　しかも何の広告だよ！」
　というわけで、流の洋館探索が（やっと）始まった。
　先ずは、今いる部屋の扉の鍵を開けなくては、と部屋中をぐるり見て回る。
「とりあえず、怪しい場所は調べて、アイテムも拾うに限るな。ぬいぐるみに……あっちの鍵も」
　ひょいとくまのぬいぐるみを拾い上げ、次いで、デスクの上の鍵を手に取った。
　検めて見ると、鍵は鍵だが、どうやら、扉の鍵ではないらしい。
（ま、そうこねぇとな）
　胸の内に呟いて、流は、小さく口の端を上げた。
　これで普通に次の部屋へ移動できてしまっては、興醒めだ。
　上手く調査を進められれば、この鍵のための鍵穴も見つかるだろう。
「あとはぬいぐるみも、あからさまに拾ってくださいって感じだったし、鍵になる可能性が高い……ん？」
　ふと、気付く。
　鍵が置いてあった場所のすぐ脇に、暗号らしき何かが描かれたメモがあることに。
「これも解けってことか。そういや、本棚のアレは、数字を入力しろってことならしっくりくるな……」
　振り子時計もいかにも怪しいし、ドームの中に飾られた薔薇にも意味があるに違いない。
　流はすぐに、不思議な洋館での謎解きに没入した。

※

「これが！　最後の！　鍵だ！！」
　ガチャリ、重々しい音がして、外へと続く扉が開く。
　星空の下には美しい庭園が広がり、そこに、エムア（通常サイズ）が立っていた。
「お疲れさまでした。ゲームクリアですね」
「どころか、隠し要素までフルコンプしてやったぜ」
　１時間以内という制限は中々に厳しく、流の息はぜーはーと乱れている。
　けれども常は眠たげな色を湛えている目には、今は、達成感が滲んでいた。
「ふふ。お見事です」
　静かな拍手を以って、エムアが、流の健闘を称える。
　そうして彼女は、にこやかに言った。
「ところで流さん、このゲーム……第２弾があるんですよね」
「何……だと……」
　流の頬を、つうと、汗が伝った。

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らっかみ脱出ゲーム第２弾（仮題）、近日公開！

あなたは、新たな謎を解くことができるか――？

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