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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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吊り橋幽霊、喧嘩成仏！
数日後。
小雨の降る吊り橋には、墓に尚太の骨を収めた喪服の幸恵と、この件に関わった者が集まっていた。
「供養に来た人は、こっちに集合してくれ！」
墓とは別に吊り橋でも供養を、との話を聞きつけてやって来た者達を、修が誘導する。
「やあ、この間は途中で帰ってしまって悪かったね」
花束を持った千唐が修に挨拶をした。
「いや、来てくれて嬉しいよ」
何といっても、幸恵を捜し出した功労者だ。修は、参列者の輪に千唐を案内した。
喪服の幸恵に、直行がお悔やみの挨拶をしている。
橋の上を月詠と並んで歩いていた美桜がぽつりぽつりと話始める。
「私、この話…皆に伝えたい…。面白おかしい噂や…記事じゃなくて…ちゃんと、男の子が…お母さん守ろうとしてた事、とか…お母さんの気持ちとか。広まってる誤解…解きたい。２人とも、一生懸命生きてた…それが、変に伝わるのは、……悲しいから。せめて、生徒にだけでも…」
美桜が非公式・寝子高新聞部にこの事件の記事を投稿する事を話すと、月詠がいい考えだと言ってくれた。
「慰霊の為にも、噂を正しくする事は大事だと思う」
美桜が遠慮がちな微笑みを月詠に向ける。
月詠は、あの後一度集落へ行っていた。何か尚太の思い出の品でも残っていればお墓に入れてあげられないかと思ったのだが、そんなものは見当たらなかった。
しかし、壊された古い箪笥の後ろから、尚太が事件のひと月前の母の日に描き、幸恵が飾っていたであろう絵を見つけた。月詠は、それを大事に持ち帰ると、丁寧に埃を払った。
クリアファイルに大事に挟まれたその絵を幸恵に渡すと、懐かしそうに細めた目を潤ませて喜んでくれた。
天野もまた、供養の為に吊り橋へと来ていた。
供養したいという者達に声が掛けられたので、神社関係者が２名に寺の関係者が１名集まった。
祝詞に続いてお経を読む事になりそうだ。
「まあ、色々と違うんだけどね…」
根本的な教義とか、思想とか。でも、遺族がそう望むのならいいのかな、とも思う。
こういうのは、気持ちが大事なのだろう。先に逝った者にとっても、残された者にとっても。
（死んでしまえば皆仏様か…）
それでも、まだ色々と思うところはある。
あの後、牧田の死体が、天野達が鉄パイプを見つけた場所で発見された。
若菜が橋のたもとに花を置く。
芽守も、その横に花を供えた。
ひふみについて来た竜平は、幸恵の姿に別れた家族を思い出す。
「俺も、ろくな親父じゃねぇか……」
竜平は、遠くから幸恵の持つ尚太の写真に優しく語り掛けた。
（なあ、坊主。生まれ変わっても、今の想いと勇気は忘れるんじゃねぇぞ。今度は、お前が守れる男になるんだからな）
「尚太くん、もうこわい人、いなくなったよ。…もっとはやくこれなくてごめんね…」
供えた花束に向かい、申し訳なさそうにメグが呟く。
思えばここで会ったのが最初なのだ。ひふみが錆びたケーブルを見て初めて幽霊と会った夜を思い出す。
あの時は、ここまで深く首を突っ込む事になるとは思ってなかった。
錆びたケーブルの対策は、近々町役場で話し合われるらしい。
「よく、頑張ったね」
ひふみが橋の錆びたケーブルを優しく撫でた。
ひふみ達の前で、尚太がニコニコと笑っているのが美桜には見えた。
尚太は、美桜にもその笑顔を向け、手を振っている。
零の祝詞奏上がしめやかに始まる。
しとしとと優しく降る雨が、全ての穢れを洗い流してくれるようだった。
聖が空を見上げる。
（あの少年は、これで心やすらかに過ごせるのでしょうか？）
尚太を想い、聖は目を閉じて祈った。
――彼の人の魂に、幸いあれ。
その後、牧田と尚太の幽霊が、吊り橋に現れる事はなかった。
終
小雨の降る吊り橋には、墓に尚太の骨を収めた喪服の幸恵と、この件に関わった者が集まっていた。
「供養に来た人は、こっちに集合してくれ！」
墓とは別に吊り橋でも供養を、との話を聞きつけてやって来た者達を、修が誘導する。
「やあ、この間は途中で帰ってしまって悪かったね」
花束を持った千唐が修に挨拶をした。
「いや、来てくれて嬉しいよ」
何といっても、幸恵を捜し出した功労者だ。修は、参列者の輪に千唐を案内した。
喪服の幸恵に、直行がお悔やみの挨拶をしている。
橋の上を月詠と並んで歩いていた美桜がぽつりぽつりと話始める。
「私、この話…皆に伝えたい…。面白おかしい噂や…記事じゃなくて…ちゃんと、男の子が…お母さん守ろうとしてた事、とか…お母さんの気持ちとか。広まってる誤解…解きたい。２人とも、一生懸命生きてた…それが、変に伝わるのは、……悲しいから。せめて、生徒にだけでも…」
美桜が非公式・寝子高新聞部にこの事件の記事を投稿する事を話すと、月詠がいい考えだと言ってくれた。
「慰霊の為にも、噂を正しくする事は大事だと思う」
美桜が遠慮がちな微笑みを月詠に向ける。
月詠は、あの後一度集落へ行っていた。何か尚太の思い出の品でも残っていればお墓に入れてあげられないかと思ったのだが、そんなものは見当たらなかった。
しかし、壊された古い箪笥の後ろから、尚太が事件のひと月前の母の日に描き、幸恵が飾っていたであろう絵を見つけた。月詠は、それを大事に持ち帰ると、丁寧に埃を払った。
クリアファイルに大事に挟まれたその絵を幸恵に渡すと、懐かしそうに細めた目を潤ませて喜んでくれた。
天野もまた、供養の為に吊り橋へと来ていた。
供養したいという者達に声が掛けられたので、神社関係者が２名に寺の関係者が１名集まった。
祝詞に続いてお経を読む事になりそうだ。
「まあ、色々と違うんだけどね…」
根本的な教義とか、思想とか。でも、遺族がそう望むのならいいのかな、とも思う。
こういうのは、気持ちが大事なのだろう。先に逝った者にとっても、残された者にとっても。
（死んでしまえば皆仏様か…）
それでも、まだ色々と思うところはある。
あの後、牧田の死体が、天野達が鉄パイプを見つけた場所で発見された。
若菜が橋のたもとに花を置く。
芽守も、その横に花を供えた。
ひふみについて来た竜平は、幸恵の姿に別れた家族を思い出す。
「俺も、ろくな親父じゃねぇか……」
竜平は、遠くから幸恵の持つ尚太の写真に優しく語り掛けた。
（なあ、坊主。生まれ変わっても、今の想いと勇気は忘れるんじゃねぇぞ。今度は、お前が守れる男になるんだからな）
「尚太くん、もうこわい人、いなくなったよ。…もっとはやくこれなくてごめんね…」
供えた花束に向かい、申し訳なさそうにメグが呟く。
思えばここで会ったのが最初なのだ。ひふみが錆びたケーブルを見て初めて幽霊と会った夜を思い出す。
あの時は、ここまで深く首を突っ込む事になるとは思ってなかった。
錆びたケーブルの対策は、近々町役場で話し合われるらしい。
「よく、頑張ったね」
ひふみが橋の錆びたケーブルを優しく撫でた。
ひふみ達の前で、尚太がニコニコと笑っているのが美桜には見えた。
尚太は、美桜にもその笑顔を向け、手を振っている。
零の祝詞奏上がしめやかに始まる。
しとしとと優しく降る雨が、全ての穢れを洗い流してくれるようだった。
聖が空を見上げる。
（あの少年は、これで心やすらかに過ごせるのでしょうか？）
尚太を想い、聖は目を閉じて祈った。
――彼の人の魂に、幸いあれ。
その後、牧田と尚太の幽霊が、吊り橋に現れる事はなかった。
終
あとがき
担当マスター：
青丹 よし乃
ファンレターはマスターページから！
ご参加、ありがとうございました。
そして、大変申し訳ありません。落神神社の手水は枯れてるとの情報を載せ忘れました。以後気をつけます。
他の方用にお水を用意して下さった方が複数いらっしゃったので助かりました。
今回は、グループアクションの力を私が思い知りました。
あと、なかなか皆様の過去の琴線に触れるナニカがあったようで、興味深かったです。
皆様のおかげで、母子は幸せです。ありがとうございました。
そして、大変申し訳ありません。落神神社の手水は枯れてるとの情報を載せ忘れました。以後気をつけます。
他の方用にお水を用意して下さった方が複数いらっしゃったので助かりました。
今回は、グループアクションの力を私が思い知りました。
あと、なかなか皆様の過去の琴線に触れるナニカがあったようで、興味深かったです。
皆様のおかげで、母子は幸せです。ありがとうございました。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2013年09月05日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年09月12日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2013年09月12日 11時00分
