寝子島八百万大宴会｜リアクション

寝子島八百万大宴会

●宴もたけなわ……とはいかず

　寝子ヶ浜海岸での宴会は、日が暮れてもまだ続いている。
　海に飛び込んだ小山内海、橘千歳、御剣刀も途中から加わり、他の皆と楽しく宴会を楽しんでいる。
『えんかい、たのしい』
「皆、酔っぱらっているわね。それで楽しいのかしら？」
「俺は～、海と千歳と一緒にいらられば～、それで楽しいぞ～！」
　海と千歳は酔いが醒めたようだが、刀はまだ酔いが残っているようだ。

「何だか楽しそうなことをしているわねー」
　下着姿のまま寝子ヶ浜海岸まで走ってきた羽生碧南と小バッカスさんも加わる。
「あの……いい加減に服、着てくれませんか……？」
　気苦労で疲れ切った小バッカスさんは、碧南に服を手渡すとダウンしてしまった。
「だ、大丈夫！？」
　悪いことしちゃったかしら？　と思い、碧南は服を着ると小バッカスさんの頭を膝に乗せた。
「お疲れ様、小バッカスさん。楽しかったわ」
　膝枕されている小バッカスさんを見て、酒蔵の跡取りキャラを想像して「ウフフ……」と笑う碧南は幸せそうだった。

　酔っぱらって赤くなった麦穂毛玉な神々は、七夜あおいの周囲をフワフワと飛んでいる。
「可愛い。もっと飲む？」
　飲む、と返事をしているように、あおいの手に群がる。
（可愛いな……。ああ、俺もあの神さまになりたい……）
　少しだけ麦穂毛玉な神が羨ましいと思う修。

　ウトウトしているうちに眠ってしまった宮祀智瑜が目を覚ますと、宴会場はまだ賑わっていた。
「宮祀、目が覚めたか？」
「は、はい……なんだか眠くなったので、眠ってしまいました……。先生、ずっと側にいてくれたんですか？」
　寄りかかられて眠られたので、離れたくても離れられなかった、とは言えず。
　眠っている生徒を起こすのは可哀相だから、と桐島先生は誤魔化す。
「義弘先生、優しいんですね。大好きですっ！」
　自分を思ってくれたことが嬉しくて、智瑜は抱き着いてその気持ちを表した。
「優しい、か……」
　普段、そう言われたことがないので、ちょっぴり嬉しい桐島先生だった。

　酒浸朱蘭とトワ・E・ライトフェロゥは、龍の神のお酌に疲れ果てた……かと思いきや。
　お酌から解放されたので、天之丸尾猫神とお酒を飲み始めた。
「いい飲みっぷりじゃねえか、猫侍」
「そういうおぬしこそ、良い飲みっぷりでござる。豪快な女子（おなご）よのう」
「ありがとよー！　もっと飲もうぜー！」
「トワもー、飲むレス！」
　あたしもー！　とまだトップレスな真境名アリサも加わる。
　猫神さま、ハーレム状態でウハウハ。鼻の下、伸びてますよ？
「これは良い！　選り取り見取りな女子達と酒が飲めるとは！」
　ガハハと豪快に笑い、美女と美少女に囲まれ、そのうえ美味い酒が飲めるとハイテンションな天之丸尾猫神。

　恵御納夏朝と修とあおいが作ったおつまみは、食べる人数が多いので作るのが大変だった。
　食べるペース、無くなるペースともに早いので、作っても作ってもキリがない。
　それでも調理を頑張るのは、宴会を楽しんでいる人々や神々に喜んでほしいからだ。
「お待たせー……にゃー……」
「恵御納、大丈夫か？」
　ろっこんを使っているとはいえ、大きな皿をフラフラな状態で運ぼうとするので修は心配で仕方がない。
「俺も手伝うよ。あおい、調理を続けてくれ」
「うん」

　飲んで、食べて、歌って、踊っての宴会の賑わいは、夜が更けてもまだ続く。
　疲れ果てたり、酔いつぶれて眠った者もいたが、それ以外の者は宴会で盛り上がっていた。
　そんな楽しい時間も、そろそろ終わりに。
　夜が明ける頃、誰かがそろそろお開きにしようか、と言った。

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