寝子島八百万大宴会｜リアクション

寝子島八百万大宴会

●私、酔っちゃった～？

　桜花寮を出て、暑い最中キャットロードにあるゲームショップへ向かう羽生碧南。
　予約していた特典付き乙女ゲーの入荷日が今日なので、炎天下の中、一刻も早く入手すべく急ぐ。
　ただでさえ暑いのに、大急ぎで歩いているので余計暑い。いや、暑すぎる。
　着ているレインボー柄のＴシャツは、ほんの少し歩いただけ首回りや背中がもう汗で濡れている。
（透けないように、これを着て正解だったわ。白いＴシャツは生地が薄いものだとすぐ透けるし）

　暑くなってくると喉が渇く。
　乙女ゲーが入荷するお店の途中で、自動販売機を目にした。
「スポーツドリンクでも買って一息つこう」
　小銭を入れ、スポーツドリンクを購入。飲む前に、まずは頬に当てる。良く冷えたスポーツドリンクはすごく気持ちいい。
　さっそく、とキャップを開け一口。
（あ、あれ……？）
　一息つく……はずが、なんか急に酔っぱらってきたような感覚に。
　身体は妙に熱くなるし、足元は妙に軽くふわふわしてきた。
（どうなってるの～？）
　まだ暑いのかと思いつつ乙女ゲーを買いに行く途中、羽の生えた小さな赤ん坊のようなキューピッドみたいなものとぶつかった。
「いったぁ～い！」
　足元がおぼつかない、頭がグルグルするので、ぶつかった拍子に尻餅をついてしまった。
「あなたは、だぁれ～？」
「僕は小バッカスといいます。超有名な酒の神の、親戚にあたる神さまです」
「神様なのね～。どこに行こうとしていたのかしら～？」
　小バッカスさんの話だと、寝子ヶ浜海岸で八百万の神々と宴会していたが、寝子島の地酒に興味をもったので酒造巡りをしているのだという。
「お願いがあります。僕を、この土地の酒蔵に案内してくれませんか？」
「いいわよ～面白そうだし～♪」
　成り行きでだが、キューピッドのような外見の小バッカスさんと碧南は、寝子島の地酒を探して右往左往することとなった。
（私～未成年だけど大丈夫よね～？）

　今日は仕事がオフの日なので、真境名アリサは寝子ヶ浜海岸へ泳ぎに出かけていた。
　水着ガールズバー勤めなので仕事柄たくさん水着を持っているが、その中から目を瞑って適当に選んだものを更衣室で着替える。
　胸元がセクシーなグリーンのビキニが、アリサのナイスバディを惜しげもなくさらけ出している。
　肌を刺すような日差し。砂浜から立ち上る輻射熱。時折、寝子ヶ島海岸にいる男性達の熱い視線。
　それらが、アリサの身体を暑くする。
　素足でビーチを歩いたら、足の裏がやけどしそうな気がするのでビーチサンダルを履くのを忘れない。
「暑いわね……海の家で何か飲もう」
　泳ぐ前に、まずは冷たい飲み物をと海の家に行き、レモネードを注文。
　買ったものを飲むと、なんだかほろ酔い気分に。身体も芯からじわりと火照ってくるし、足元がふらつきフラフラとした感覚に。
（あ……あれ……？）
　仕事柄、酒に強いはずのアリサも、ものの見事に酔っぱらってしまった。酔った時の感覚は実に気持ちいい。

「トワはー！　酔っていないのー！　レス！　酔わしたらー！　たいしたもんってヤツなのレスー？　レス！」
　トワ・E・ライトフェロゥは、酒浸朱蘭とテオが言っていた八百万の神々の宴会場へ。
　朱蘭は、実は神様の宴会も自分の関与してない集団酔っ払いも体験していたことがある。
　寝子島はカオスだと思いつつ、小学生のトワが酔っぱらっても大丈夫かと確認を。
「テオの話だと神様関係だし、見た感じは大丈夫っぽいか？」
「らーいじょぶー、レスー！」
　完全に酔っぱらっているトワを支えつつ、今後のことを考えた朱蘭は宴会場に行ってみることに。

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