サマー☆部活動のお時間です！　～運動部編～｜リアクション

サマー☆部活動のお時間です！　～運動部編～

　志波武道はクロールと背泳ぎに重点を置いた。最初は程々に力を抜いて泳いだ。表情は穏やかで水と戯れているかのようだった。
　数本は本気で挑む。大人びた表情となって水を切り裂き、ゴールになる壁に突っ込んでいった。
「もしかして好調なのかな！」
　声が弾んだ。武道は目をキョロキョロさせる。
　プールサイドに相原まゆが姿を現した。水着ではなく、サマースーツを着ていた。茶色いボブの髪を小刻みに揺らして部員の様子を窺う。
　武道は撥ね跳びながら手を振った。
「まゆセンセ、タイムの測定をお願いします！」
「いいけど、すぐ戻らないといけないのよねー」
　言いながら腕時計に目を落とす。武道は安心させるように笑顔を作った。
「クロールと背泳ぎの二本でどうですか？」
「それくらいなら」
　まゆは近くにいた部員からストップウォッチを借りた。
「用意はいいようね」
「いつでもどうぞ！」
　飛び込み台の上で武道はにこやかな顔となった。

　二本、立て続けに計測した。クロールは過去最高に近いタイムを叩き出した。背泳ぎは後半に疲れが見えて平凡な記録に終わった。
　まゆは表示されたタイムを見ながら言った。
「最初に力を使い過ぎたみたいね。でも悪くないタイムよ」
「ありがとうございました」
「あたしはこれで行くけど、また戻ってくるから」
　近くにいた部員にストップウォッチを押し付けて早足となった。その途上で水上桜がバタフライについて質問をした。まゆは早口で答えて、もうー、と声を上げて駆け出した。
「もう少し、このキツさを楽しもうかな」
　武道は本気のクロールを見せた。