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「おじゃましまーす」
神妙に靴を脱ぎ、野々ののこは部屋の中央にちょこんと座った。両膝は揃えて、手はその膝の上に。
「たいしたおもてなしもできないけれど」
佐藤英二はテーブルにアイスコーヒーのグラスを置いた。ペットボトルから注いだものだ。その下に敷くコースターは、商店街のキャンペーンでもらった『サンマさん印』の愉快な絵柄だった。
「僕もまだ終わってないんだ。数学が手間取ってね」
ののこと向かい合わせに座って、英二はプリントの束を紐解く。
「私なんてぜーんぜんだよう。ほら見て数学なんて真っ白!」
別に自慢することでもなかろうに、ののこはほぼ未着手の宿題をひろげてエッヘンと胸を張った。驚きの白さだった。いったん自室に戻ってもってきたものだ。
「じゃあさっそく取りかかろう」
「英二くん答え見せて-」
「いきなりだね。やれる限りは自力でやろうよ」
「冗談よ冗談……あ、でもいよいよのときは本当にお願いするかも~」
しばらく無言でとりかかる。
カリカリとシャーペンがコピー用紙を削る音が、唯一のBGMだ。
富士山を前にして、『今から登ります』と言われ呆然としているような状態が、いくらか登山ペースに慣れてきた頃、
「おっと」
書き間違えたのか、反射的に消しゴムに手を伸ばしたののこの手が、偶然おなじ消しゴムをつかんだ英二の手と重なっていた。
「あっ、ごめん……!」
泡を食った英二はこれだけ言うのがやっとだ。
「いやいやこっちこそ」
ののこのほうは、さして気にしていない様子、さっさと別の消しゴムでプリントの文字をごしごしやりはじめていた。
でも英二の手の甲には、ののこの体温と手の感触が残っている。
ひやりと冷たくて、でも芯は温かくて、小さくて柔らかかった。
そういえば互いの膝同士も近い。いつの間にかののこが膝を崩していたこともあって、うっかりふれ合いそうじゃないか。
空咳して英二は、さりげなく膝の位置を直した。それまで宿題にだけ向いていた心が乱れて、どうしてもののこを意識せざるを得なくなっていた。
「そういえば」
ぬるくなったアイスコーヒーの残りを干して英二は言った。
「もうすぐ夏休みも終わりだね」
「うん。そう思うと寂しいよ」
ののこは宿題から顔を上げていた。
英二を見ている。星空のような黒い瞳で。
綺麗だ、と英二は思った。
こんなこと言う人をほかに見たことはないけれど、野々さんの目は本当に綺麗で、魅力的だ。
「寂しい、ってことは……あまり充実した夏休みじゃなかったとか?」
そんなことない、とののこは首を振る。
「とっても楽しい夏休みだったよ。だけど、どうしても寂しくなるんだ。去年もそうだったけど、この時期になると。ぐんぐん回っていたコマが、だんだん勢いが落ちていって、ゆらゆらするのを見ているような……」
終わりの近づく寂しさということだろうか、英二にもわかるような気がした。
「でも二学期は楽しそうな行事も多いし、学校始まるのも楽しみかも」
「うん! そう思う」
ののこはそう元気に返答したものの、すこしだけ迷ったような顔をして、やがて告げた。
「ところで英二くん、進路希望調査の紙、もう書いた?」
「進路の? まだだよ」
調査票というやつだ。まだ目安でしかないので気楽に書いてほしい、と担任に言われたこともあって、英二はあまり意識せず放置していた。
「ねえねえ」
と言うとなにやら嬉しげに、ののこは英二ににじり寄る。
「なんて書く予定? 教えてよ」
「進路といっても……僕はあんまり考えたことないなぁ」
まあ大学進学くらいだろうか、と英二はざっくりと答えた。大学の学部がどうとか、その後がどうとかは、まったく考えていない。いきなり就職でもいいくらいだ。
「将来の展望は?」
そういうことも書く必要があるらしい。そもそも英二は調査票をしっかり読んでいなかったので、これはなかなか急かつ難しい質問である。
あくまで漠然とした考えだけど、と前置きして英二は言った。
「今思いついたんだけど……寝子島町役場に勤めるとか、よいかもしれない」
「寝子島に住みたいの!?」
ののこの声のトーンがあがった。英二くん島外の生まれでしょう、と。
「うん、できるならそれがいいなあ、とは思ったりする。寝子島って都会すぎず田舎すぎず、ちょうどいいって感じだし。住民はお祭り好きで、いつもなにかイベントがあって退屈しないし」
それに野々さんもいるし――とはさすがに言えない。もし彼女に「私が? どうして?」と問い返されたとしたら、たちまち言葉に詰まってしまうだろうから。
「野々さんはどうするの?」
「木天蓼大に拾ってもらえたらいいんだけど……まあ将来は寝子島で会社員ができたらいいかな」
意外、というように英二は問い返す。
「野々さんはOLになるの?」
「できたらね。どっちにしろ、寝子島にはいたいな。私もやっぱり大好きだから、この島が」
「そしたら、社会人になってもこんな風に皆で色々と近況話せたら楽しそうだね」
そうだね! と花が咲いたようにののこは笑った。今日、少しずつ小出しにしていた『普段のののこ』が、一気に戻ってきたかのようだった。
「高校の時の友達は一生の友達、って言うじゃない? そうなったらとっても嬉しいよ。絶対、楽しいよ!」
ずっと仲良くしてね、とののこは手を伸ばし、感極まったように英二の手を握った。
「うん」
気恥ずかしさで顔を熱くしながら、英二はその手を握り返した。そっと。
手からののこの興奮が伝わってくる。脈拍すら、伝わってくる気がする。
「楽しいと言えば」
ふたたびそっと手を離して英二は言う。
「今日観た『ゴアラ・キングオブモンスターズ』だけど」
「そう! その話聞きたかったんだ。どう、面白かった?」
もちろん、と英二はうなずく。
「ドラマパートは……まぁ、うん、あまり気にしないことにして、とにかく怪獣のバトルがスゴイ迫力で超オススメ!」
「いいなー、私も行きたい」
もちろん英二の答えは決まっている。
「なら今度一緒に観に行かない? 僕は二回目になるけど大丈夫、とにかく語りたい気分だしおごってもいいくらいだよ」
するとののこは、元気に声を上げたのだった。
「いいね~!」
前向きな回答だ。実現するかもしれない。
だから今日は、ネタバレ感想なしの方向で――そう告げたののこからは、バニラエッセンスのような香がしている。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月27日
参加申し込みの期限
2019年06月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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