shine a light｜リアクション

shine a light

　呉井陽太は鴻上彰尋からのメールを一読すると、読みかけの本に栞を挟んだ。鬼灯（ほおずき）柄の栞だ。本はきちんと書棚に戻す。
　座ったまま目を閉じる。
　背もたれに身を預けて、じっと考えた。
　自分にも、できることはあるはずだと思う。思いたい。
　行動しよう。後悔しないように。
　手遅れになる前に――その考えは首を振って打ち消した。縁起でもないことを考えるものじゃない。
　しばらく考えを巡らせてから、陽太は獅子目悠月と志波武道宛のメールを作成した。
　お見舞いに行かないか、と。
　明日。
　待ち合わせ場所はシーサイドタウン駅前とした。
　送信。
　同時に陽太は立ち上がっている。明日までに済ませておきたいことがあった。
　探すのだ、彼女を。
　彼女の連絡先は知らないし、どこに住んでいるのかすらわからない。だから必然的にあてずっぽうとなるが、シーサイドタウンなら可能性はあるのではないか。
　ナターシャさん……会えればいいのだけど。
　靴を履いて玄関から飛び出した。

　結論だけ書く。
　無駄足に終わった。