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古びた木造アパートの二階、表札のない部屋。
呼び鈴を押したが音はしない。扉を拳で叩く。
頼む。
頼むよ。
まだ部屋にいてくれ。
市橋誉は、泣き出しそうな表情で叩いている。
『転校前に会えるのも、これが最後になるかもしれない』
浅井の言葉が頭の中を駆け巡っている。激しく熱を放ちながら回転している。
なんだ、転校って。
寝子島を出て行くのか。さよならってことなのか。一言の断りもなしに。
こんな別れ、あっていいはずがない。
だって俺はまだ――。
返事を聞いてないんだ。
詠。お前の返事を。
「ドンドンうるさいな、なんだよ」
誉の手が止まった。ドアが内側に開く。
「市橋、お前……」
間に合った。
詠 寛美
が立っていた。
「詠……話が、したい」
休まず走ったので息も絶え絶えだが、それでも、安堵で誉は顔をほころばせている。
誉の様子を見て悟ったのだろう。
「入れよ」
何もねえけどな、と言いながら寛美は扉を開け放った。
その言葉は謙遜でも誇張でもなかった。赤茶けた畳敷きの部屋には、家具らしいものがまるでない。ただ部屋の中央にひとつ、黒ずんだボストンバッグが置かれているだけだった。
誉が感じた短い安堵は、陽炎のように消え去っていた。
「その荷物は……? まさか……寝子島を出て行くつもりか?」
意味は既に理解できているのに、言葉にせずにはいられなかった。
そうだよ、とうつむいて寛美は言った。
「実家に帰ることにしたんだ。世話になったな」
「どうして」
「どうして、って、そろそろ俺もクニが恋しくなったって言うか……」
嘘だ――。
そんな歯切れの悪い口調で、信じろっていうのか。
「詠、俺の目を見てくれ」
「……なんでだよ」
寛美は足元を見つめたままだ。怒りにも似た衝動を感じ、誉は両手で寛美の肩をつかみ強引に正面を向かせる。
「よせよ」
か細い声で言ったものの、寛美は抗おうとはしない。
「顔を見れば分かる、これが詠の本意じゃないって」
寛美は無言だ。なにかを怺(こら)えているかのように唇を噛んでいる。
「詠が本気で戻りたいのなら……俺に止める権利はないんだろう。でも、詠が自分の心を偽っているのならば……俺は嫌だ。そんなのは絶対に嫌だ!」
「嫌とか嫌じゃないとか、そんな話じゃねえだろ……」
寛美の弱々しい抗弁を誉は無視した。
「このまま詠を行かせやしない」
両腕でとらえるようにして誉は宣言する。そうだ宣言したのだ。寛美に対して。自分に対しても。
「なあ、教えてくれ。寝子島を出て行く理由を。俺は……このまま『さよなら』なんて、絶対に嫌だ。詠が好きなんだ……詠がいないと……俺は……詠がどれだけ俺に幸せをくれているか……言葉じゃ伝えきれない。教えてくれ、詠」
きっ、と寛美の眉がつり上がった。
「
教えることなんざねえ!
」
叫ぶように言うと、寛美は誉を突き飛ばしている。誉はたたらを踏んだが倒れることはなかった。寛美は柔術と空手の有段者だ。本気を出していたとしたらこの程度では済まなかっただろう。加減してくれたのだろうか。
「俺がここを出てくのは、俺がそう決めたからだ! ほかに理由なんざねえよ!」
しかしそれが本心ではないことを誉は知っている。
寛美の目が真っ赤だったからだ。
泣いているのだ。
本当は詠だって離れたくないはずだ。
だとすれば――。
「……!」
誉の頭を、ひとつの思考が雷光のように直撃した。
誉は後ろ手で壁に触れていた。ざらざらとした感触。壁に背を預ける。
「もしかして……」
息を吸って続ける。
「もしかして……脅されているのか? しかも、自分ではなく周囲の人間を盾に……」
詠寛美は強い。少々の脅しなら屈するまい。大きな話になっても、なんとか切り抜けようとあがくだろう。
しかしそれは、対象が彼女自身のときに限る。
――詠が自分を殺して寝子島を出る理由なんて、それくらいしか考えられない。
誉の視線を、寛美は受け止めることができなかった。
何も言わない。否定をしない。
つまりそれは、最大の肯定ということではないのか。
誉は再度、寛美の両肩に手をかけた。
「詠、俺を見てくれ」
「……嫌だ」
できない、と言い足す寛美の声は震えていた。
このとき誉は確信したのだった。
詠が黙って実家に戻らなければ、詠ではなく周囲の人間を害する。
そういうことか。そう脅されたのか。
だとしたらきっと、最初の標的になるのは俺だろう。
しかし誉は恐れない。
覚悟はできている。ずっと前から。きっと、彼女と出会ったときから。
「詠、聞いてくれ。もしそうなら……絶対に従っちゃいけない」
寛美は無言のまま、やはり顔を背けている。でも間違いなく聞いている。
「詠が自分を犠牲にして庇って……それで苦しんで……そんなの、嫌だ。一人で抱え込んで、詠は馬鹿だよ……優し過ぎる」
重ねた瓦を素手で叩き割ったり、自分より大柄の男を背負い投げできる寛美が、このときはひたすらにか弱く、華奢な存在に見えた。
「一緒に立ち向かおう」
きっぱりと誉は告げた。
「俺は子供だけど、これだけは譲れない。そんな卑怯な事をする大人に負けてやるもんか」
言葉で寛美を抱きしめるように言う。
「詠、一緒に戦おう。詠は自分らしくある為に実家を出たんだよな? だったら、詠らしく戦うべきだ。俺も一緒に戦う」
戦い方は考えなければならないだろう。利用できるものは利用して、抵抗できる限り抵抗する。しかしそれは手段だ。手段に先立つ決意が必要だ。
「答えてくれ、詠。俺は詠と一緒に歩きたいんだ。詠が本当に好きだから」
このとき寛美の体から、すっと力が抜けたように誉は感じた。
「馬鹿は……」
ふっと寛美の唇に浮かんだもの、それは笑みだった。
「市橋、てめーのほうだよ。暑苦しいくらい熱いこと、憶面もなくいっぱい言いやがって……」
寛美はぽろぽろと涙をこぼしていた。真珠のように、涙の粒が滑り落ちていく。無理矢理笑おうとしているうようだが、あまり成功していなかった。
「おかげで俺、島から出てく気がなくなっちまったじゃねーか……この馬鹿、アホ……」
顔を見られたくないのか、寛美は誉の胸に顔を埋めた。
そのままもごもごと、とんまだのなんだの、意味を成さない悪態をつづけている。
彼女の涙で胸が濡れて、温かい。
それでいい。
彼女の背を支えながら誉は思う。
休みなく悪態ついてるほうが、詠らしい。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月27日
参加申し込みの期限
2019年06月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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