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おとぎばなしに君の名を
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「ハイ行って!」
童話の絵本を取り巻きにした魔女姿の女悪魔が現れたかと思った瞬間、目の前でパチンと手を叩き合わされ、思わず目を閉ざして、――開いたときには、世界が一変していた。
ぐるりを囲むは見知らぬお屋敷の廊下、手元には古びたモップ、足元には木製のバケツ。
「えっ、……あっ、うわ」
薄汚れた三角巾の頭を揺らし、
鴻上 彰尋
は思わず素っ頓狂な声を上げる。いつもより頼りなく思える足元を見直してみれば、汚れたエプロンとスカートの裾がひらひらと揺れている。ささやかに膨らんだ胸までくっついている。
「うわ……」
普段より華奢な感じがする手で頬に触れる。骨格まで女の子じみて細くなっている気がする。
(これは)
薄汚れた衣装に掃除道具な装備品を確認する。人気の少なそうな屋敷を見回す。
(灰かぶり、かな?)
女悪魔に放り込まれた物語の中身を予想して首を捻ったとき、背後で扉の開く音がした。彰尋が振り返るより早く、
「何してるのよ!」
「さっさと掃除しなさいよ、このグズ!」
鋭い罵声が背中に叩きつけられる。視線を向ければ、扉から出て来たらしいふたりの姉がひどく憎々し気にこちらを睨みつけていた。彼女たちの後ろには似た表情の継母が立っている。
(そうだ、出だしからとても辛い内容だったよな……)
実母の死、父の再婚、継母とその娘からの虐待。女悪魔が憤るのもあながち間違ってはいないのかもしれない。
継母と姉を真直ぐに見遣って、気が付いた。継母は現実世界の母に、姉たちは双子の弟妹に、面差しが似ている。
『灰かぶり』の真直ぐな瞳に姉たちがほんの少したじろいだ表情を見せた。継子役を仰せつかった彰尋は屈託なく微笑んで見せる。
「任せて、お姉さまたち!」
現実世界での家庭事情もあって、家事洗濯は得意とするところ。小さな女の子であるところの『灰かぶり』には辛くて堪らないだろう姉たちのきつい言葉だって、
(今の俺なら耐えられる)
お屋敷中の掃除に井戸と水瓶の往復な水汲み、慣れない竈の火起こしに調理、いつもの自分の身体とは体力も腕力も足りない今の体に戸惑いながらも、彰尋はくるくると働く。
掃除は隅々まで綺麗に、洗濯は冷たい井戸水にも怖じずに丁寧に。
戸惑った顔をする継母や姉から好物を聞き出し、三人の好きな具をスープに入れてみたり。早朝に起きだしてパンを焼き、焼き立てふかふかのパンに玉葱とりんご酢のドレッシングで味付けした野菜を挟んでサンドイッチ風にしてみたり。おやつにはチーズケーキに林檎のコンポートを添えて出してみたり。
「髪を結ってさしあげます、お姉さま」
姉たちが退屈そうにしていれば、現実世界で妹にしてやっているように髪を丁寧に梳いて色んな髪型に結ってあげたり、摘んできた花を飾ってあげたりした。
そうして日々を過ごすうち、継母や姉からの当たりは随分と和らいだ。『灰かぶり』と罵られる少女の身形も、三人との関係が良好になるにつれ整える余裕さえできて来た。
(……父さん)
『灰かぶり』である彰尋は、仕事で留守がちな父に思いを馳せる。愛する妻を失った父。新しい家族を得たというのにほとんど屋敷に居ない父。
(新しい家族とも仲良くできるなら、)
『灰かぶり』がみんなと良好な関係を築くことが出来たのなら、
(父さんも安心するだろう)
あとは、と彰尋は考える。筋書の通りに物語が進むのであれば、この後、お城から舞踏会の招待状が届く。
(魔法の力で舞踏会にいけたとしても)
そうして王子が灰かぶりを見初めたとしても。
(『灰かぶり』は、……俺は、)
彰尋は瞳を伏せる。瞼の裏に浮かぶのは、ひとりの少女の、少し斜め上から見下ろした横顔。時折傍らに立って歩いてくれるだけで、その横顔を見られるだけで心がふわりと温かくなる――大好きな女の子、
七夜 あおい
の横顔。
(俺が、他の人を好きになることは出来ないな)
王子様と両想いになって幸せに結ばれなければきっとハッピーエンドにはなり得ない物語の中にあって、自分の心は最大の難関だ。
自分の部屋を掃除する上の姉を手伝いながら、灰かぶりであるところの彰尋は思い悩む。どうすればみんな幸せになれるのだろう。
「最近何か悩んでる?」
「……え?」
書棚の整理をしていた弟似な上の姉からふと話しかけられ、灰かぶりは瞬く。
「時々とても暗い顔をするから、……って別に気遣ってるわけでもなんでもないんだけど!」
「ありがとう、お姉さま」
不貞腐れた顔で本を抱える上の姉に笑いかけたとき、
「お城から舞踏会の招待状が届いたわよ!」
廊下を駆けてきた妹似な下の姉が部屋の扉を勢いよく開いた。キャア、と声をあげ手を取り合って喜ぶ姉たちに、灰かぶりは微笑みかける。
「良かったですね、お姉さまたち」
(そうだ)
無邪気に喜ぶふたりを見て思いついた。王子には、姉と巡り合って幸せになってもらおう。
「綺麗なドレスを選びましょう、髪は私が丹精込めて美しく結い上げましょう」
そう言う『灰かぶり』を姉ふたりはきょとんと見つめる。
「何言ってるの」
「あなたも行くのよ」
母の手により美しく着飾った三人姉妹が馬車に乗ってお城に向かう。
どうやって姉を王子に巡りあわせようかとばかり考える彰尋をよそに、逞しい姉たちは自分たちの手で好みの貴族を見つけた。
「美しい人、どうかお手を……」
幸せそうな姉たちを眺めるまま壁の花と化して佇む彰尋は、差し伸べられた手の主に目を瞠る。
(ああ、)
そうして、笑う。
(ずるいなその顔は……)
いつもは斜め上から見つめるばかりだった少女が、今ばかりは凛とした男装の麗人となって斜め上から見下ろしてきていた。
請われるまま、手を伸ばす。手に手を取り、宮廷音楽に合わせて舞う。
華やかな舞踏会は、いつまでもいつまでも続いてゆく――
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月10日
参加申し込みの期限
2019年05月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年05月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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