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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
生き残るのは誰だ！ アンチ納涼がまん大会！
「あぁ……あっつうい……」
ガラス張りの無慈悲な壁の向こう、極楽部屋ではなんだか高級そうな冷たいデザートを楽しんでいる者たちが見える。
「アイス食べてる……いいなー。なんかこっちに見せびらかしてきて悔しい……」
見せびらかすのが役目だからとはいっても、もうちょっと思いやってはくれないのか。深民 実々は理不尽に対して理不尽な思考で対抗していた。メガネなしのぼやけた視界で極楽部屋の一人、少し前に無慈悲な『応援』を行った三ヶ島 葵をにらみつける。と、実々の視線にとらわれた葵の動きがぴたりと止まってしまった。スプーンからすくったアイスクリームがこぼれ落ちるが、汚れたひざを見ることも、アイスクリームを拭き取ることもできない。葵の白いひざから、溶けたアイスクリームがつるんと流れて落ちる。そばでスケッチをしていた旅鴉 月詠が立ち上がってひざを拭いてやっても、葵は驚いた顔をしたまま固まっている。
「あれ？ あの人金縛りになってる？ もしかして、みみのろっこんが!?」
ちょっとした驚きに、一人称が中学生時代のものに戻ってしまった。実々のろっこん『ミミューサ』はにらんだ葵を相手に見事発動してしまっていたのである。
「どうやったら解除できるのかわからないなぁ……」
視線を逸らせばなんとかなるのだろうか？ 実々には判断がつかなかった。暑さの中、ぼんやりと悩んでいるうちに、ポップな曲が流れ始めた。みんなが体を重そうにして立ち上がる。エクササイズ・タイムの始まりだ。
「ま、向こうの人にもひとりでに金縛りが解けるまでがんばってもらお！ 根性根性、気にしない！」
実々は赤い顔で音楽に合わせて激しくステップを踏み始めた。
「なんだろう。誰かのろっこんか？」
まばたきもおろそかに石のようになっている葵の額に、旅鴉 月詠は手を触れる。暖かい。脈も感じられた。
「そう深刻ではなさそうだ。じき直るだろうから心配しなくていい。万一のことがないように見ていてあげよう」
いまだ返答することのできない葵にそう言って、自分の席に腰掛ける。スケッチブックをひざに乗せ、地獄部屋の戦士たちを描く作業に戻った。
「旅鴉さんも何かお言葉をかけてあげたら？ 知り合い、お友達、多いんでしょ？」
桜栄 あずさが月詠にマイクを差し向ける。そう言われても何を話せばいいのか、月詠は戸惑いながらも、強引に渡されたマイクを手に取り、軽くあいさつをして話し始める。
「今、参加者みんなの絵を描いている。こんな感じだ」
スケッチブックを地獄部屋にかざして見せる。無粋などてらは省略され、見事な半裸の肉体美が強調された参加者たちのスケッチが描かれていた。女性は水着姿になっている。
「エロかっこよく、エロかわいく描いてあげよう。リクエストがあればどうぞ」
地獄部屋から歓声が上がる。絵が見事なこともあるのだろうが、暑さでテンションがおかしくなっている可能性も考えられた。
「それと、無理はしないように。女子もダイエット気分で参加するのはほどほどに。水分は定期的に採ること、熱くても飲んだ方がいい。どてらで包んで冷ますなど、工夫が必要だ。座る場所はストーブの前は避けよう。直接熱が当たる場所は危険だから」
月詠が続けて言うと、そそくさと湯飲みと座布団を持ってストーブから離れる者が現れた。あずさの表情を見るに、アドバイスをすることも、正座さえしていれば場所を移動することも問題はないようだ。
「熱気を体内に入れて喉を乾かさないように。少し苦しいかもしれないが、タオルがあるならそれで、どてらの布地でもいい。布を口に当てて呼吸した方がいいだろう。長く持ちこたえるつもりならやっておいて損はない」
話すのをしぶった月詠の発言は、意外にも長く、有用で、参加者たちを元気付けるものだった。期待と感謝のこもった目で見つめられるのが恥ずかしくなって、月詠は「それだけだ」と慌てて言うと、あずさにマイクをつき返して席に戻ってしまった。マイクを水彩色鉛筆に持ち帰ると、いつも通りの自分に戻ったようでほっとする。ちょっとしゃべりすぎてしまっただろうか、と内心照れくさく思いながら、月詠はスケッチブックを立て、地獄部屋の面々の視線をさえぎるように腰掛けた。幸いエクササイズタイムが始まり、弾むような音楽が場を包むことによって、衆人の注目は極楽部屋の月詠からディスプレイに映し出されたインストラクターの踊るビデオと、宇佐見 望月の掛け声で満たされた地獄部屋の中の出来事へと戻っていった。
ガラス張りの無慈悲な壁の向こう、極楽部屋ではなんだか高級そうな冷たいデザートを楽しんでいる者たちが見える。
「アイス食べてる……いいなー。なんかこっちに見せびらかしてきて悔しい……」
見せびらかすのが役目だからとはいっても、もうちょっと思いやってはくれないのか。深民 実々は理不尽に対して理不尽な思考で対抗していた。メガネなしのぼやけた視界で極楽部屋の一人、少し前に無慈悲な『応援』を行った三ヶ島 葵をにらみつける。と、実々の視線にとらわれた葵の動きがぴたりと止まってしまった。スプーンからすくったアイスクリームがこぼれ落ちるが、汚れたひざを見ることも、アイスクリームを拭き取ることもできない。葵の白いひざから、溶けたアイスクリームがつるんと流れて落ちる。そばでスケッチをしていた旅鴉 月詠が立ち上がってひざを拭いてやっても、葵は驚いた顔をしたまま固まっている。
「あれ？ あの人金縛りになってる？ もしかして、みみのろっこんが!?」
ちょっとした驚きに、一人称が中学生時代のものに戻ってしまった。実々のろっこん『ミミューサ』はにらんだ葵を相手に見事発動してしまっていたのである。
「どうやったら解除できるのかわからないなぁ……」
視線を逸らせばなんとかなるのだろうか？ 実々には判断がつかなかった。暑さの中、ぼんやりと悩んでいるうちに、ポップな曲が流れ始めた。みんなが体を重そうにして立ち上がる。エクササイズ・タイムの始まりだ。
「ま、向こうの人にもひとりでに金縛りが解けるまでがんばってもらお！ 根性根性、気にしない！」
実々は赤い顔で音楽に合わせて激しくステップを踏み始めた。
「なんだろう。誰かのろっこんか？」
まばたきもおろそかに石のようになっている葵の額に、旅鴉 月詠は手を触れる。暖かい。脈も感じられた。
「そう深刻ではなさそうだ。じき直るだろうから心配しなくていい。万一のことがないように見ていてあげよう」
いまだ返答することのできない葵にそう言って、自分の席に腰掛ける。スケッチブックをひざに乗せ、地獄部屋の戦士たちを描く作業に戻った。
「旅鴉さんも何かお言葉をかけてあげたら？ 知り合い、お友達、多いんでしょ？」
桜栄 あずさが月詠にマイクを差し向ける。そう言われても何を話せばいいのか、月詠は戸惑いながらも、強引に渡されたマイクを手に取り、軽くあいさつをして話し始める。
「今、参加者みんなの絵を描いている。こんな感じだ」
スケッチブックを地獄部屋にかざして見せる。無粋などてらは省略され、見事な半裸の肉体美が強調された参加者たちのスケッチが描かれていた。女性は水着姿になっている。
「エロかっこよく、エロかわいく描いてあげよう。リクエストがあればどうぞ」
地獄部屋から歓声が上がる。絵が見事なこともあるのだろうが、暑さでテンションがおかしくなっている可能性も考えられた。
「それと、無理はしないように。女子もダイエット気分で参加するのはほどほどに。水分は定期的に採ること、熱くても飲んだ方がいい。どてらで包んで冷ますなど、工夫が必要だ。座る場所はストーブの前は避けよう。直接熱が当たる場所は危険だから」
月詠が続けて言うと、そそくさと湯飲みと座布団を持ってストーブから離れる者が現れた。あずさの表情を見るに、アドバイスをすることも、正座さえしていれば場所を移動することも問題はないようだ。
「熱気を体内に入れて喉を乾かさないように。少し苦しいかもしれないが、タオルがあるならそれで、どてらの布地でもいい。布を口に当てて呼吸した方がいいだろう。長く持ちこたえるつもりならやっておいて損はない」
話すのをしぶった月詠の発言は、意外にも長く、有用で、参加者たちを元気付けるものだった。期待と感謝のこもった目で見つめられるのが恥ずかしくなって、月詠は「それだけだ」と慌てて言うと、あずさにマイクをつき返して席に戻ってしまった。マイクを水彩色鉛筆に持ち帰ると、いつも通りの自分に戻ったようでほっとする。ちょっとしゃべりすぎてしまっただろうか、と内心照れくさく思いながら、月詠はスケッチブックを立て、地獄部屋の面々の視線をさえぎるように腰掛けた。幸いエクササイズタイムが始まり、弾むような音楽が場を包むことによって、衆人の注目は極楽部屋の月詠からディスプレイに映し出されたインストラクターの踊るビデオと、宇佐見 望月の掛け声で満たされた地獄部屋の中の出来事へと戻っていった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年09月01日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年09月08日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年09月08日 11時00分
