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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
犬だっているんです！
「あっ、え、えっと……それで、会議を進めるんだったかしら？」
そうでーす、と生徒たちから声が上がる。放課後の会議室にはうろたえる島岡 雪乃先生と、数人の生徒たちがいた。犬か、猫か。真に人間たちの愛情を独占すべき頂点存在はいずれかを決する大会議が、今この場で始まろうとしているのだった。席に着き、雪乃先生を見つめる面々は邪衣 士、御剣 刀、三希 環、維都月 茉菜、そして行梨 謡、そして騒ぎに便乗したと思われる何人かの生徒である。すべてのきっかけは子犬の『いえやす』逃走事件であった。
（私、どうしてこんなところにいるのかしら……）
そう思いつつも、喧々囂々の議論に挑む生徒たちを放っては置けない。教師らしく、公平にみんなの意見を聞き、まとめなければという気持ちと、突然巻き込まれた戸惑いの板ばさみになっていた。
「そうね、あ、えっと……発言は書いて行ったほうが？」
おたおたとしながら、先生はチョークを手に黒板に向かった。見かねた御剣 刀が立ち上がる。
「先生は記録だけをお願いします。俺が議事進行をしますから」
「あっ、そ、そう？ 助かるわ……」
雪乃先生は心底ほっとしたような顔をする。生徒たちにきらきらした目で見つめられ、暗に『犬か？ 猫か！』と問われるのは相当なプレッシャーだったようだ。
「えー、では今から俺が進行役を務めるのでよろしく。犬が好き、猫が好き、いろいろあるだろう」
参加者はうんうんと深くうなずく。
「だがただそれだけでは、自分がいかにその動物を愛しているか、またその動物がいかに愛するにふさわしい存在であるかを主張には足りない！」
刀のテンションがいつになく高いのは気のせいだろうか？
「犬猫大会議でも猫犬大会議でも、そんな名前のことはどうだっていい！ 愛する動物のことを存分に語ってくれ！ 正々堂々と意見をぶつけ合うんだ！」
犬が、猫がとわいわいと騒ぐものの、にぎやかしとしてついて来ただけの面々は発言する様子はない。
「はーい！」
真っ先に手を挙げたのは三希 環だった。『みけ たまき』とかなり猫っぽさを感じる名前のせいか、猫好きと思われがちな環であったが、いきなり爆弾発言が飛び出す。
「僕は猫は大好きなんだけど、犬もかわいいと思うんだー」
論争だったはずなのに、最初に飛び出した発言でどちらも同等に認められる。こう言った意見は最後のまとめとして出てくるのが定番なのだが……。
「そ、そうよね。どちらもかわいいわよね」
雪乃先生はおたおたと、黒板に『犬も猫もそれぞれかわいい』と書き入れる。最初に書かれた犬派、猫派という項目わけがすでにむなしいものになりつつある。
「はいっ！」
次に小さな手が挙がる。維都月 茉菜だ。動物を愛でるシチュエーションには女子が殺到しそうなものだが、この会議に参加している女子は奇妙なことに茉菜一人である。おとなしく、まじめで『まとも』な生徒の挙手に、雪乃先生はほっとした表情になる。刀は茉菜に発言を促した。
「犬や猫だけが動物じゃないよ！ ハムスターもかわいいんだから！」
雪乃先生の指先から白いチョークが欠けて、落ちた。犬猫会議だったはずのものは、予想だにしない方向に流れていく。しばらく沈黙が流れた後、先生は「あっ、えっと、そ、そうね」と小さく口ごもるように言うと、犬、猫の横に『その他』というカテゴリを設け『ハムスターもかわいい』と追加する。だが茉菜の発言は止まらなかった。にこにこと手を挙げ微笑んだまま続ける。
「ハムスターにはハム権！ さらにウサギもウサ権！ この二つの参加平等の権利を訴えるよー！」
「そうだ。ウサギはかわいい」
順番を待たずに行梨 謡が発言する。手をびしっと高く上げたその姿は天井に届きそうなほどだ。実際、立ち上がって椅子に足をかけ、伸び上がって挙手しているのだから相当に高く目立っているのだが。
「わんこよりにゃんこより、ウサギさんがいちばんかわいいだろうがー！」
謡は茉菜のウサギ発言に触発され、思いのたけを爆発させる。刀は少々意外そうな顔をしているが、司会として中立を保ちつつうんうんとうなずく。その後ろに立つ雪乃先生の表情は固まった。もはや謡を止められるものは誰も、何もいない。
「やつらはまるで動物界ツートップだと言わんばかりだが！ いちばん萌え萌えなのはうさぎさんだ！ 長い耳はもちろんだが、何と言ってもあのセクシーなお尻！」
自分のほかにウサギ推しの勇士が現れたことで、茉菜の目はきらきらとしている。有象無象の生徒たちは謡のテンションに圧倒されて呆然と謡の発言を聞いていた。
「あのお尻、思わず頬を押し付けてスリスリスリスリしたくなるほどきゃわわだが……たまに強烈な後ろ足キックをちょうだいすることもある。だがそれはそれで……」
＼ご褒美です！／
邪険にされることすら受け入れてウサギを愛す。その熱い思いに、一瞬室内は水を打ったように静まる。感銘を受けているというよりは、何と反応してよいかわからずにいるというのが正しいようだ。それぞれの生徒の顔にげんなりした顔が浮かぶ。
そうでーす、と生徒たちから声が上がる。放課後の会議室にはうろたえる島岡 雪乃先生と、数人の生徒たちがいた。犬か、猫か。真に人間たちの愛情を独占すべき頂点存在はいずれかを決する大会議が、今この場で始まろうとしているのだった。席に着き、雪乃先生を見つめる面々は邪衣 士、御剣 刀、三希 環、維都月 茉菜、そして行梨 謡、そして騒ぎに便乗したと思われる何人かの生徒である。すべてのきっかけは子犬の『いえやす』逃走事件であった。
（私、どうしてこんなところにいるのかしら……）
そう思いつつも、喧々囂々の議論に挑む生徒たちを放っては置けない。教師らしく、公平にみんなの意見を聞き、まとめなければという気持ちと、突然巻き込まれた戸惑いの板ばさみになっていた。
「そうね、あ、えっと……発言は書いて行ったほうが？」
おたおたとしながら、先生はチョークを手に黒板に向かった。見かねた御剣 刀が立ち上がる。
「先生は記録だけをお願いします。俺が議事進行をしますから」
「あっ、そ、そう？ 助かるわ……」
雪乃先生は心底ほっとしたような顔をする。生徒たちにきらきらした目で見つめられ、暗に『犬か？ 猫か！』と問われるのは相当なプレッシャーだったようだ。
「えー、では今から俺が進行役を務めるのでよろしく。犬が好き、猫が好き、いろいろあるだろう」
参加者はうんうんと深くうなずく。
「だがただそれだけでは、自分がいかにその動物を愛しているか、またその動物がいかに愛するにふさわしい存在であるかを主張には足りない！」
刀のテンションがいつになく高いのは気のせいだろうか？
「犬猫大会議でも猫犬大会議でも、そんな名前のことはどうだっていい！ 愛する動物のことを存分に語ってくれ！ 正々堂々と意見をぶつけ合うんだ！」
犬が、猫がとわいわいと騒ぐものの、にぎやかしとしてついて来ただけの面々は発言する様子はない。
「はーい！」
真っ先に手を挙げたのは三希 環だった。『みけ たまき』とかなり猫っぽさを感じる名前のせいか、猫好きと思われがちな環であったが、いきなり爆弾発言が飛び出す。
「僕は猫は大好きなんだけど、犬もかわいいと思うんだー」
論争だったはずなのに、最初に飛び出した発言でどちらも同等に認められる。こう言った意見は最後のまとめとして出てくるのが定番なのだが……。
「そ、そうよね。どちらもかわいいわよね」
雪乃先生はおたおたと、黒板に『犬も猫もそれぞれかわいい』と書き入れる。最初に書かれた犬派、猫派という項目わけがすでにむなしいものになりつつある。
「はいっ！」
次に小さな手が挙がる。維都月 茉菜だ。動物を愛でるシチュエーションには女子が殺到しそうなものだが、この会議に参加している女子は奇妙なことに茉菜一人である。おとなしく、まじめで『まとも』な生徒の挙手に、雪乃先生はほっとした表情になる。刀は茉菜に発言を促した。
「犬や猫だけが動物じゃないよ！ ハムスターもかわいいんだから！」
雪乃先生の指先から白いチョークが欠けて、落ちた。犬猫会議だったはずのものは、予想だにしない方向に流れていく。しばらく沈黙が流れた後、先生は「あっ、えっと、そ、そうね」と小さく口ごもるように言うと、犬、猫の横に『その他』というカテゴリを設け『ハムスターもかわいい』と追加する。だが茉菜の発言は止まらなかった。にこにこと手を挙げ微笑んだまま続ける。
「ハムスターにはハム権！ さらにウサギもウサ権！ この二つの参加平等の権利を訴えるよー！」
「そうだ。ウサギはかわいい」
順番を待たずに行梨 謡が発言する。手をびしっと高く上げたその姿は天井に届きそうなほどだ。実際、立ち上がって椅子に足をかけ、伸び上がって挙手しているのだから相当に高く目立っているのだが。
「わんこよりにゃんこより、ウサギさんがいちばんかわいいだろうがー！」
謡は茉菜のウサギ発言に触発され、思いのたけを爆発させる。刀は少々意外そうな顔をしているが、司会として中立を保ちつつうんうんとうなずく。その後ろに立つ雪乃先生の表情は固まった。もはや謡を止められるものは誰も、何もいない。
「やつらはまるで動物界ツートップだと言わんばかりだが！ いちばん萌え萌えなのはうさぎさんだ！ 長い耳はもちろんだが、何と言ってもあのセクシーなお尻！」
自分のほかにウサギ推しの勇士が現れたことで、茉菜の目はきらきらとしている。有象無象の生徒たちは謡のテンションに圧倒されて呆然と謡の発言を聞いていた。
「あのお尻、思わず頬を押し付けてスリスリスリスリしたくなるほどきゃわわだが……たまに強烈な後ろ足キックをちょうだいすることもある。だがそれはそれで……」
＼ご褒美です！／
邪険にされることすら受け入れてウサギを愛す。その熱い思いに、一瞬室内は水を打ったように静まる。感銘を受けているというよりは、何と反応してよいかわからずにいるというのが正しいようだ。それぞれの生徒の顔にげんなりした顔が浮かぶ。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年07月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年08月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年08月06日 11時00分
