「犬?」
1日の授業が終わりを告げ生徒達の下校の時間。
寝子島高校の正門を抜け一匹の犬が校内の敷地へと駆けていく。
正門にはたくさんの生徒があるものは自宅へと、あるものは友人達と町へ遊びに行こうと歩みを進めていた。
「飼い犬だよな? 首輪もしてたしリードも引きずっていたし」
すでに先程の犬は人混みに紛れ姿が見えなくなっていた。
一瞬しか見えなかったがきっと柴犬だろう。
「あ、あの、犬が1匹逃げていきませんでしたか?」
まだ小学生ぐらいであろうか、幼い少女が付近の生徒達に声をかけている。
おどおどしている少女に面倒見の良さそうな生徒がゆっくりと近づく。
「大丈夫、探すの手伝ってあげるから」
少女を安心させるべく優しく声をかけると周りの生徒達にも手伝うように願いでる。
「いやー、寝子島って猫が多いけど俺、犬の方が好きなんだよねー」
事の成り行きを見守っていた1人の生徒が発したその言葉に近くにいた者がピクリと反応する。
「は? 何言ってんの? 猫の方が可愛いに決まってんだろ?」
「え? お前猫派なの? いやー、犬の魅力を知らないなんて損してるなー」
徐々に熱くなる2人の生徒。
犬の素晴らしさ、猫の可愛さを熱く語る。
正門付近で言い争う2人に影響されいつしか周りも
「私は犬かな!」
「猫の方がいいに決まっている!」
などとあちこちで声が上がっている。
「そこまで言うなら白黒つけようじゃないか。会議室でとことん語ってやろう!」
「よーし、わかった。俺の犬への熱い想い聞かせてやる!」
正門付近にいた生徒たちはぞろぞろと会議室へと移動していく。
「いいから犬を探すのを手伝いなさいよ!」
何をやっているんだかと少女を手伝うと言った生徒は呆れるのだが、少女はそんな周りの事よりも犬が心配で仕方ないようだ。
「いえやすー! どこー?」
それ犬の名前!? と心の中で突っ込みを入れる生徒が何人いたことやら。
真っ二つに分かれた会議室の生徒たち。
会議室の黒板には犬猫大会議と大きく書かれている。
「えっ、えっと……じゃあ犬猫大会議を始めたいと思います」
会議室へと移動中の生徒たちと偶然鉢合わせた
島岡 雪乃先生。
そうだ、犬と猫どっちがいいか島岡先生に判定してもらおうと無理やり連れて来られた彼女は生徒たちの頼みを断ることも出来ずなぜか会議の進行までやらされていた。
「始める前に少しいいだろうか」
1人の生徒が立ち上がり黒板の前に立つと犬と猫の文字をひっくり返す。
「なにやってんだよ! って猫大大会議になってんじゃねぇかよ! 点をつけろよ!」
「あぁ、すまないな」
彼はすっと点を付け足す。
「猫太大会議ってなんだよ! どこの猫だよ!」
すでにあちこちで好き放題に言い合っている生徒たちを島岡先生は無理やり連れて来られたにもかかわらず一生懸命になって場を仕切ろうとしていた。
「い、意見は挙手してから、ひ、ひとりずつお願いしますぅ!」
初めまして新人GMのしじまです。
校内に迷い込んだ犬、いえやすを探すシナリオとなっています。
そして会議室では犬猫大会議が始まっています。
少女といえやすを探したり、いえやすと校内で偶然遭遇したり、犬猫論争に参加したりしていただければと思います。
いえやすと遭遇する場所や状況はアクション通りにならない場合があります。
いえやすは校内からは出てはいません。
<登場キャラについて>
◆少女
大森綾音ちゃん。
小学3年生。
◆いえやす
柴犬。2歳の雌犬。体高およそ35cm。
大人しいこです。噛み付いたりすることはほとんどありません。
いえやすは人の心に敏感です。
もし傷つけようなんて考えていれば逃げてしまうでしょう。
逆に優しく接しようとすればいえやすも近寄ってくるかもしれません。
初のシナリオで至らない点もあると思いますが、皆さんが楽しんでいただけるよう精一杯頑張りますのでよろしくお願いいたします。