悪魔の陰謀　もれいびＶＳもれいび！！｜リアクション

悪魔の陰謀　もれいびＶＳもれいび！！

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　そして、正午を告げる鐘が鳴る。
　虚栄心は防災用品の棚から拡声器を、続いて乾電池をひったくるようにして手にとった。
　引っかかった他の商品が、床に落ちて大きな音を立てる。
　さらにそのまま開封しようとすれば、店員が慌てて駆け寄ってくる。
　そして制止しようとする彼らに、ゾッとするような笑みを心は向けた。
「お前はただの人間だ」
　『人間惨禍』が発動する。
　その声を聞いてしまった凡愚どもの筋力が、もれなく低下する。
　あちこちでカゴや商品が取り落とされ、壊れたり怪我をして、あっという間に大騒ぎ。
　その様に、心は笑う。楽しそうに、けれど醜悪に顔を歪めて。
「い、いったい何が……っ、待ちなさい！」
　呆然としていた店員が、我に返って心を追いかける。
　けれど肩を掴んだ店員の手は、ゆるんだゴムのようにぐにゃぐにゃで頼りない。
「きゃはっ♪」
　心は獲物をいたぶる獣のように笑い、店員を思いきり突き飛ばした。
　簡単に引き剥がされた挙げ句、筋力低下のせいで踏ん張りが効かないのだろう。
　そのままよろめき後ずさった店員は、陳列されていた冷蔵庫に激突した。
　その様子に、けらけらと心は笑う。
　駆け寄ってくる警備員も、何もかもを『人間惨禍』で無力化しながら。
　そして拡声器に乾電池を入れると、スイッチを入れて声の限りに叫んだ。
「お前はただの人間だ！　きゃはははは♪」

◆
　氷那月蒼破は、一目散にぬいぐるみを扱う店へと駆け込んだ。
　棚に積まれたぬいぐるみに、不自然に動くものは居ないか。
　そうでなくとも、バッフィーの外見に合致するものはないか。
「お客様？　どういったぬいぐるみをお探しですか？」
　あまりにも必死なその様子に、店員さんが声をかけてくる。
「二頭身の、小さな黒山羊のようなぬいぐるみを探しているんですが……」
　答えつつも、ぬいぐるみを漁る手は止めない。
　店員さんが在庫確認に向かったのをよそに、今度はぬいぐるみの詰められたカゴの方へと視線を移す。
　そちらに手を突っこもうとした時、隣から声をかけられた。
「もしかして、悪魔を探してるのか？」
　弾かれたように振り向けば、そこに居たのは八神修だ。
「……あなたも？」
　二人してカゴのぬいぐるみを漁りながら、蒼破と修は互いの目的と状況について言葉をかわす。
　どうやら、どちらもぬいぐるみに目星をつけた同士らしい。
　は取り扱っていそうな店は幾つかある。
　そこで二人は、モールの東西を分担して捜索することにした。