悪魔の陰謀　もれいびＶＳもれいび！！｜リアクション

悪魔の陰謀　もれいびＶＳもれいび！！

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　フロアマップを、氷那月蒼破が見つめている。
　その手には、さっき購入したばかりの虫取り網。
　透き通るような顔立ちに虫取り網の取り合わせは、そのギャップ故に目を引く。
　通行人たちがちらりと一瞥するけれど、蒼破自身は気にすることもなくマップを注視している。
（ぬいぐるみを扱っていそうな店は……）
　そんな時、背後から「あれ？」と聞き覚えのある声。
　振り返れば、そこに居たのは先輩の志波武道であった。
「蒼破くんじゃなぁい、コンニチハ☆」
「志波先輩、こんにちは」
「虫取り網なんて持ってどうしたのさ？」
「実は……」
　ミラの声の話をすれば、武道の視線に一瞬険しさが宿る。
「……そっか、蒼破くんもか。俺もなんだ」
　どうやら、目的は同じらしい。
　そうとわかれば話は早い。お互いにどう動くつもりか、蒼破と武道は認識をすり合わせることにした。
「自分は、悪魔を捕獲しようと思っています」
　蒼破のろっこんは、動きを止めるだけのもの。洗脳もれいびに対しては、一時凌ぎにしかならない。
　ならば諸悪の根源を叩く方へ、というわけだ。
「悪魔の外見は、ぬいぐるみのようだと聞いています。大量に扱っている店に潜り込んでいる可能性もある。そこを探そうかと思っています」
　「先輩は」と蒼破が問えば、しばしの沈黙。
　ややあってから、
「……よし！」
　決心した様子でひとりごちた。その拳が、軽く握りしめられる。
「なら俺は、洗脳されたもれいびを何とかしてくるよ」
「気をつけてください。どんなもれいびが洗脳されているか、わかりませんから」　
「もちろん！　蒼破くんも十分に気をつけて……！」
　情報共有のために連絡先の交換を済ませると、正午はもう目前にまで迫っていた。
　互いに目星をつけた場所へ向かうべく、二人は別れて歩き出す。
　その間際に、「それじゃ」と武道。
「こっちは任せて☆　そっちは任せたぜぃ！」
　それは武道にとって、共に事件に挑む蒼破への、当たり前の激励の言葉で。
　けれどそれは蒼破にとって、何よりも意味のある言葉だった。
　全幅の信頼を置けると思ったその人に、任されたのだから。
「……ええ」
　これから悪辣な悪魔を追うというのに、答える蒼破の顔には笑みが浮かんでいた。
　全力を尽くして、悪魔退治に挑もう。

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