悪魔の陰謀　もれいびＶＳもれいび！！｜リアクション

悪魔の陰謀　もれいびＶＳもれいび！！

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　氷那月蒼破は、かれこれ数軒目のぬいぐるみを扱う店へと足を踏み入れた。
　二階の端の方にあるからなのか、洗脳もれいびの影響もあまりないようだ。
　なんだか騒がしいですね、と。呑気にすら思える店員さんに適当に返しつつ、蒼破は店内を物色する。
　武道や修たちの情報からすると、予想通りの隠れ方なら、この店が最後の候補。
　もし見つからなかったなら、という不安が脳裏をよぎる。
　けれどそれは、杞憂だったようだ。
　一番店の外側に近い棚の一番上に、二頭身の黒山羊が居た。
　瞬間、蒼破は虫取り網を叩きつけるように振り下ろす。
　棚のぬいぐるみが弾き飛ばされ、動き出した黒山羊が虫取り網をかいくぐる。
　店員が、突然のことに悲鳴をあげる。
「――すみません店員さん、これドッキリなんです！」
　適当なごまかしを言いつつ、蒼破は黒山羊を追いかけた。
　抵抗こそしてこないが、小柄なだけあってすばしっこい。
　闇雲に網を振り回しても、捕獲は難しいだろう。
　ならばとろっこんの使用へ踏み切ろうとした時、バッフィーが邪悪に笑った。
「オレさまには手下が居るんだよ！」
　洗脳されたもれいびだろう。
　虚ろな目をした人影が、曲がり角から飛び出してくる。
「なっ！」
　突然の横槍に、態勢を崩しかける蒼破。
　すかさず彼に飛びかかろうとした洗脳もれいびの身体が、しかし次の瞬間に宙を舞った。
「イイッ！？」
　動揺したバッフィーがそちらを見ると、
「――ようやく見つけましたよ、悪魔」
　吉住志桜里がそこに居た。
　『ウチデノコブシ』で洗脳もれいびを縮小。そのまま一蹴したかと思うと、
「人の機嫌をぶち壊したツケ、払ってもらおうじゃない」
　周囲が歪んで見えるほどの覇気を立ち上らせて、バッフィーへと迫っていく。
「な、なんだコイツッ！？」　
　気圧される悪魔。飛んで逃げればよいものを、それすら忘れるほどの圧迫感。
　その隙に、蒼破が背後から虫取り網を振り下ろす。
　振り下ろした勢いのまま、悪魔の身体が床に叩きつけられる。
　すかさず志桜里の健脚がねじ伏せたかと思うと、蒼破の銀のペーパーナイフが悪魔に突き立てられたのだった。

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　かくして悪魔バッフィーが討たれ、洗脳されたもれいびたちも正気を取り戻す。
「何！？　何があっ――痛っぁ！？」
　意識を取り戻した虚栄心も、また正気を取り戻していた。
　冷や汗ダラダラ流れて止まらないのは、覚えていないからなのか。

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