シエスタ・フェスタ！｜リアクション

シエスタ・フェスタ！

　太陽にも負けず暑さにも負けず。
「どの辺にしようか？」
「あー……やっぱり日陰じゃねーか？」
　花厳望春と六月一日宮檸檬もまた、ピクニックに興じるために、公園を訪れていたのだ。
　汗を拭う時にリストバンドに唇があたったのだろう。檸檬の全身からは甘酸っぱい香りが漂っていた。
　その香りに釣られたのかもしれなかった。
「あれ？」
「ん？」
　公園のどまんなかで御陵春哉と望月神無とばったり出会う。
　薄桃がかった白色のワンピースに麦わら帽子というフェミニンな装いの春哉とパンツスタイルにキャスケットというボーイッシュな装いの神無。
　対照的だが、それがまたそれぞれの良さを際立たせているのだろうなと望春はぼんやりと思った。
　それから彼女たちの手にあるものに目が行く。大きなバスケットだった。
「御陵と望月じゃねーか！　あれ、もしかして……」
「御陵さんと、望月さんもピクニックですか？」
　彼女たちも同じように望春の荷物に気がついていたのだろう。
「花厳さんとほずみやさんもみたいですね」
　よかったら、ご一緒しませんか。喉元で止まった言葉。
　別になにか言いにくいというわけではないけれど、もしかしたらふたりでのほうがいいかもしれないと望春は慎重になってしまうのだ。
「な、せっくだし一緒にやらねーか？」
　そんなすこしの思案の間に、檸檬に先を越されてしまった。
「そうですね！」
「だな」
　けれど楽しそうな笑顔の返事を受けて、ああ考えすぎだったのかと望春は苦い笑みを浮かべた。