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NECO MUSIC FES 1370!
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固く閉ざした遮光カーテンの向こう、太陽の気配がしている。
世界を隔てたほどに遠く遠く、賑やかな音楽が聞こえてきている。それをうるさいと感じるほど、閉ざされた部屋の中は静かだった。
エアコンの風にさらされ続けて冷たいシーツに指を這わせる。
泥を掴むように爪をたて、
朝鳥 さゆる
は重たい瞼を僅かにもたげた。
吐き出す息の重さに、剥き出しの己の胸がシーツに潰れていることを知る。一糸纏わぬ姿でベッドにうつ伏せていることに気づく。
身ぐるみを剥がされ路頭に打ち捨てられたようだと思えば、冷たい唇が皮肉な笑みに歪んだ。感覚としては、それに近い。
視線だけを動かす。ベッドの隣を見遣るも、あの女の姿はそこには無かった。己の起居する海辺のワンルームマンションに押しかけてきた挙句、数日に渡り居座り続けているあの黒髪の女。Maliceと名乗り、
――マリーと呼んで
そう言ってうっそりと微笑んだ女。
このマンションに押しかけてよりこの方、夜となく昼となく己の身体を求めて来た女。浮かぶことを知らぬ快楽の泥沼に己を引きずり込んだ女。
(……否)
彼女を引きずり込んだのは己の方なのかもしれない。互いに互いを相食みながら、泥濘に塗れた。互いに互いを傷つけあうような行為に溺れながら、他傷のかたちを取りながら、実際には自傷を行っていた。
舐められ噛み付かれた指先や痕が残るほど爪を立てられた手首を一眺めして、それきり自分の身体にも興味を失くす。重たい瞼を閉ざし、悪夢しか見ない浅い眠りに沈もうとしたとき、
「さゆる」
己の名を呼ぶ女の声と共、カーテンが引き開けられた。
レースカーテン越しに雪崩れ込む光に目を射られる。薄暗がりの中にあった裸身が真昼の太陽に白く浮かび上がらされる。
「外はずいぶん賑わってるわよ」
光から、掛けられる声から顔を背ける。
「ネコフェスの日よ」
剥き出しの痩せた肩や胸元に太陽の光を這わせ、Maliceは――
葉利沢 倫理子
という少女の身を乗っ取った女の人格は、倫理子の声帯で明るく言ってのける。
「一緒に行かない?」
ランチに誘うような口調で言った言葉の一切をさゆるに無視されても、Maliceは慣れたもの。
黒い瞳をもう一度窓の外へと投げる。眼下に広がる海岸の、普段以上の賑わいを眺める。
(ネコミュージックフェスティバル、ね)
賑わいを不思議に思い、倫理子の学生鞄の入っていたスマホで調べて得た情報を脳裏になぞる。眼下に繰り広げられるお祭り騒ぎに背を向け、カーテンを閉ざして再びさゆるの身に溺れてみるのも悪くはないが、快楽を貪ることに今は少し飽きた。
(別の刺激が欲しいのよ)
無視を決め込むさゆるの白い背中から腰を視線で舐める。小さく肩をすくめ、部屋を見回す。生活感の一切見受けられない部屋に転がっているのは、ふたりが脱ぎ捨てたままに散らかる制服と、気まぐれに買い足して放り出していた衣服や水着の入った紙袋。
ビキニに着替える。そのまま、上に何か羽織ることもなく、さゆるの唇の痕が赤く残る腰や胸元を隠すでもなく、軽い足取りで部屋を出て行く。
部屋を出た途端、強い潮の香と太陽の光が身体を包んだ。眩しさに細める視界の端、青く煌く海が見える。部屋の中で聞いていたよりも大きく、騒がしいほどに音楽が鳴り響いている。さゆるが寝起きしているマンションは、海岸まで一分と掛からない。
身に残る快楽の残り香さえも焼き焦がすような真夏の太陽に知らず口元が歪んだ。
誘いを掛けた相手に一瞥もされずとも、落胆はなかった。
(どうせあとからついてくる)
太陽の光の下に出る。みるみるうちに珠のかたちして噴き出す汗を水着の胸に這わせながら人で溢れる音楽の海岸を歩く。レンタルしたパラソルをその辺を行き交う男を呼び止めて立てさせ、笑顔ひとつで追い払う。
日焼け止めを塗って寝そべり、そう経たぬうちにさゆるの姿が人込みの中に見えた。静寂の色したハイレグワンピースと他人を拒みながらも引き寄せる雰囲気を白い肌に纏わせ、どこを見るでもない黒い瞳で彷徨い歩いてくる。
こちらに気づいているのかいないのか、それてもこちらへと足を向けているさゆるを見遣る。誘うような眼差しを投げれば、さゆるは無表情なまま、黙したまま、傍らに腰を下ろした。
カラフルなパラソルの下、二十歳前後のようにも、ふとした眼差しや横顔が少女のようにも見える美女二人が並んで座っている。それでもひとが寄り付かないのは、煌く太陽の下にあってあまりに深い、引きずり込まれては深淵から戻れぬほどに退廃的な空気をふたりが醸し出しているが故か。
明るい空に明るい声が響き渡る。ドラムが打ち鳴らされ、エレキギターの爆音が周囲を圧する。ライブが始まる。
ステージ前を中心に、負けじとばかり観衆から歓声があがる。それなのに、
「あなたの瞳は」
さゆるの耳には、傍らに囁くMaliceの声しか聞こえない。
「誰かさんしか見てないのね」
海だけを見つめる瞳に、Maliceの瞳が覗き込んでくる。闇よりも濃い闇の色したMaliceの瞳は、淡い笑みのかたちに細くなっている。
唇は僅かも開かぬままに瞬きだけを繰り返す。傍らの女の声も、周囲に溢れる音も、空にまで届く大音量の音楽も、全てが半透明の膜を隔てているように虚ろだった。
「片篠藍人」
その膜が突如として切り裂かれた。引き剥がされる膜の向こうには、
「……彼が、あなたの『誰かさん』?」
Maliceがいた。
黒い瞳には揶揄するような笑みが浮かんでいる。嫉妬しているような色が滲んでいる。
海の底から引きずり上げられたように肺の潰れる感覚がして、さゆるは瞳を瞠る。視界にはMaliceの瞳。どこか恍惚としても見える彼女に、ふと思う。まるで好意を寄せる男の視線を初めて受けた少女のようだと。
そう思いながら、唇は無意識のうちに別の言葉を発した。
「なぜその名前を」
「部屋の賃貸契約書、無造作にその辺に放っておくものではないわ」
くすり、Maliceは笑った。それは勝ち誇るようにも、こちらの傷口に触れることを恐れているようにも見えた。
様子を伺うかの如く見つめて来ていた視線がふと逸れる。ほんの一瞬、さゆるの抱える傷に怖じたようにも見えた横顔が、瞬きの間に反転する。傷口に爪を刺しこんでは笑う怪物のそれとなる。
「あなたを置いて、どこへ消えたのかしら?」
傷口を抉ろうとするMaliceの言葉にさゆるは息のひとつも零さず黙する。
「戻ってこない最愛の人を待ち続ける、なんて」
Maliceは残酷な笑みを唇に彩らせる。傍らの女へ一方的な痛みを与えようとする。そうすれば、――
「それはなんて美しい物語なのかしら」
笑みに歪む頬を、さゆるの細い掌が鋭く張った。
己にも痛みを与えられ、Maliceはそれでも笑う。
「……黙れ」
低く低く、さゆるが唸った。己に向けられるさゆるの声にMaliceはまた笑う。さゆるは、今だけは己を見つめている。己だけに声を掛けてきている。
熱を帯びる頬を押さえようとした片手をさゆるに捕まれた。咄嗟にもがこうとした肩を抑え込まれた。組み敷かれる勢いで唇を唇で塞がれた。激しいキスに息を奪われた。
Maliceの囁き声にだけ満ちていたパラソルの下に淫靡な沈黙が落ちる。ライブに熱狂する只中にあって、二人のパラソルだけが異様な緊張感を孕んだ静寂に沈んでいる。
互いに互いを溺れさせるように互いの唇を息を奪い合って後、さゆるだけが身を起こした。甘く息を乱すMaliceを一瞥もせず、パラソルの下を抜け出す。
それきり戻らない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
70人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年03月28日
参加申し込みの期限
2019年04月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年04月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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