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NECO MUSIC FES 1370!
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迷彩柄のセパレート水着の肩に掛けたクリアバッグの中には、タオルと水入のペットボトルにスマホに読みかけの文庫本に財布、必要最低限のものしか入れていない。
運営本部に救護室、関係者専用休憩室等の並ぶ前を通り過ぎ、莉鳥は人波に紛れるようにして当てもなく歩く。
(そういえばあいつ)
関係者用休憩室を過ぎ、適当な屋台で適当な食べ物を買う。会場に来て最初に確保しておいたパラソルの下に戻り、敷いておいたビーチシートにすとんと腰を下ろす。何となし買ったフライドポテトを齧りつつ、バッグの中からイヤフォンを繋いだスマホと文庫本を取り出そうとして、気づいた。周囲はとっくに音楽に満ちている。誰もがみんな、音楽に合わせて身体を動かしたり手拍子を打ったり耳を傾けたりしている。
(進学後の資金を貯めなきゃいけないって言ってたわ)
誰もが飛び跳ねてしまいそうなほどにご機嫌な音楽の最中にあって、莉鳥は唇の端さえ緩めず、栗色の瞳を僅かも和らげず、バッグにスマホと文庫本を仕舞う。代わりにタオルとペットボトルを取り出す。
周囲の雰囲気に微塵も中てられぬまま、マイペースに、のんびり気ままに音楽を楽しむ――きちんと自分なりにネコフェスを楽しんでいると、思い込もうとする。思い込もうとしていることに気づいてひっそりと眉を寄せる。
(だって)
陸上部の部活は休みだし、特に予定もないし。暇つぶしにいいだろうと思ってなんとなくメイン会場にやってきただけのこと。
(だから)
楽しめなくたって仕方がない。
(……別に)
さっき見かけた元彼氏が、たぶんこちらに気づいただろう雅樹が、声すら掛けて来なかったことに心の引っかかりを感じているわけではない。そんなことはありえない。
(だって、)
思考がループする。
だって雅樹はただの幼馴染だ。元彼氏であった分だけ、心の距離もきっと離れてしまっている。会って話をしたところで何にもならない。それにいつだって話は微妙に噛み合わない。
(……だから……)
雅樹だって、自分とは特に話したくもないのだろう。
知らず息を詰めていたことに気づいて息を吐き出す。防水クリアバッグを肩に立ち上がる。頭が熱を帯びている。
(ちょっと涼みに行こうか)
人々の熱狂から離れるように足早にパラソルが数百と開く観覧スペースから抜け出す。腹に響くドラムの音に背を押されるように波打ち際へと向かう。
波を踏み、ざぶざぶと海に分け入る。最初は生温かった波は、踏み入るごとに冷たさを増した。
バッグを浮き枕替わりに仰向けに波へ浮かべば、空に響き渡っていた大音量の音楽が少し遠く感じられた。
胸にしつこくわだかまる得体の知れない感情の塊を吐き出したくて呼吸ばかりを繰り返す。十数回呼吸を繰り返したところで、
「わー、なのですー」
「あはは、わーっ!」
とぷん、と波と共に浮き輪が身体の上に圧し掛かった。知らず歪んでいた瞳を瞬かせ、視線を上げる。
「ごめんね、ぶつかっちゃった!」
「ごめんなさいなのですー」
浮き輪の外にしがみついていた
野々 ののこ
が元気いっぱい、悪びれもせず明るく笑う。浮き輪の中に入っていた白いビキニに波打つ長い銀髪の女の子が太陽の光に銀色に見える瞳をふわりと微笑ませる。
「ぷかぷかなのですー」
「ぷかぷかだね、ゼロちゃん!」
「ぷかぷかなのです、ののこさん」
ぷかぷかふわふわ笑う二人のもと、というよりは妙にひとを惹きつける容姿をした
ゼロ・シーアールシー
のもと、
「ちょ、ちょっとお姉さんと遊ばない?」
「いやいやこっちでお兄さんとおやつにしよう、かき氷とかどう?」
海で遊んでいた男女がわらわらと言い寄ってきている。
「わー、なのですー」
「わー、逃っげろー!」
ゼロがぱしゃぱしゃと水を掻き、浮き輪にくっついたののこが楽しそうに波を蹴る。どうやらふたりはちょっぴりどころでなく犯罪の匂いを撒き散らす幼児ナンパ団から逃走している最中であるらしかった。
「莉鳥ちゃんも一緒に逃げるー?」
「……遠慮するわ」
「そっかー、じゃあねー! ばっひゅーん!」
鬼ごっこのつもりらしいゼロとののこと別れ、莉鳥は海からあがる。照り付ける太陽の眩しさに瞳を細めながらパラソルの下に戻れば、ステージには先ほどとは別のアーティストが立っていた。
聞こえて来るのは、別れた男女がお互いに対する感情に迷い続ける歌詞の曲。あっけらかんとした明るい曲調のせいで余計にもの悲しく切なく聞こえるその歌に、
(……なぜ)
訳も分からず、胸が痛んだ。
胸に覚えていた妙な違和感が、雅樹が追いかけて来てくれなかったことに対する痛みであることにようやく思い至って、それでもその理由が判らず、莉鳥はパラソルの下にひとりうずくまる。
「なぜ……心が痛むのかな……」
聞こえる歌に合わせるように、
「よくわからない……」
そっと、そうっと、呟く。瞳を伏せる。
「ののこさん」
「なあにー?」
浮き輪に捕まってバタ足をするののこに向け、ゼロはちょっぴり真面目な顔で告げる。
「耳を塞いでいてくださいなのです」
「うん、いいよ」
ののこが両手でぎゅっと耳を塞いだのを確かめ、ゼロは浮き輪をくるりと波に返す。振り返って見遣るのは、幼児連れ去り案件に相当しそうな勢いで言い寄って来る男女の群。
「ねーむれー」
彼らに向け、純白の少女はどこまでも柔らかな声で子守唄を歌い始めた。
「ねーむれーなのですー」
何の不思議の力も持たない歌声に、けれど男女の動きが止まる。かわいい少女の歌声に、こども好きが高じすぎて犯罪に走りそうになっていたいけない大人たちはなんだか我に返ったような顔になった。ひとり、またひとりとヒーローにやられた怪人のごとく海に沈む。沈んだ振りでそっとその場から立ち去る。
「おおー!」
静かになった海に、ののこは感嘆の声をあげた。
「すごいすごい、ゼロちゃん!」
「えっへんなのですー」
鬼ごっこで疲れたふたりは、海からあがって屋台巡りに取り掛かる。アイスクリーム入りのクレープにサンマさんバーガーに粒入りオレンジジュース、ふたりで買った色んな食べ物をご機嫌に味わってから、ゼロはふとステージを見遣る。
「ちょっと行ってくるのですー」
銀色の目をきらきらさせてまっすぐ向かうのはメインステージ。だってステージの上のひとたちはみんなとっても楽しそうに歌っている。それを見るひとたちもとっても楽しそうに歌を聴いたり歌に合わせて踊ったりしている。
自他の安寧の増大を最大の是とする、住所不定年齢不詳な不思議少女は周囲のお祭り騒ぎにふわふわと胸を弾ませる。
「ゼロもー、ゼロも歌うのですー」
あんなに楽しそうなのだから、きっと飛び入りでも参加させてもらえるに違いない。アカペラで子守唄を歌って、みんなに気持ち良く眠ってもらおう。
おひさまの下、みんなで眠ったらどんな夢が見られるだろう。
ソフトクリームの入道雲をみんなで食べる夢だろうか。
かき氷の海をペンギンと一緒に泳ぐ夢だろうか。
「ねーむれーなのですー」
夢の中を行くように、白ビキニの少女はふわふわふわふわ、歩く。
「事前申し込みしないとだめだったのです」
しばらくしてしょんぼり戻って来たゼロの肩をののこはぽんぽんと叩いた。砂浜に並んで座る。流れて来る潮風と音楽に合わせ、ゼロは小さな声で歌った。
「ねーむれー、ねーむれー、なのですー」
どこまでも穏やかなゼロの声に、ののこはふわりと欠伸をする。
「一緒にお昼寝、しちゃおう」
「なのです」
あったかい砂の上にころりと転がるののこに合わせ、ゼロも銀の髪を敷き布団のようにしてその場に引っ繰り返った。
「ねーむれー」
「ねーむれー」
声を合わせて歌ううち、先にうつらうつらし始めたのはののこの方だった。ふわふわふわ、綿あめの雲に乗って空を飛ぶ夢を見ていて、
「野々さん?」
ふと空から降って来た声に地上に引き戻される。
「わあ、落っこちたー!?」
空からぽとんと落ちる夢に慌ててがばりと身を起こして、
「野々さん? だ、大丈夫?」
傍らにしゃがみこんで心配そうな顔で覗き込む、一年生のときのクラスメートの
佐藤 英二
と目が合った。
「英二くん」
寝ぼけ眼でぱちぱちと瞬いて、ふと気づく。一緒に寝ていたはずのゼロの姿が消えている。
「あれ? あれー?」
首を捻るののこの隣、普段着な英二はひょいと腰を下ろした。ののこの水着姿にほんの少しだけ照れてそっと視線を逸らす。見遣ったステージでは、今はしっとりとした大人な曲が演奏されている。
「野々さんも来てたんだね」
「うん、楽しいよねネコフェス!」
いつもと変わらず屈託なく明るく笑うののこに、英二はすぐに平静を取り戻した。水着姿であっても、やっぱりののこはののこで何にも変わらない。
「えっと、よかったら一緒に観ない?」
「うん、いいよー! 観よう!」
気さくに頷くののこにつられて笑う。ちょっと待ってて、とその場を離れ、すぐに戻って来た英二の手にはカップ入りのマンゴージュースとアイスティー。黄色いマンゴージュースをののこの手に渡す。
「いいの?」
「うん、どうぞ!」
「きしし、ありがとー!」
「良かったらあとで焼きそばと焼きトウモロコシとか、一緒にどうかな?」
「いいね、どっちも美味しいよね!」
遠慮なく貰ってくれるののことまた笑い合い、英二はズボンの尻ポケットに突っ込んでいたパンフレットを引っ張り出す。
「ネコフェス、良い生演奏のオンパレードだし、見に来た甲斐があるよね!」
パンフレットを見ながら、ステージに立つアーティストの名前をののこに教えたり、解説をしてみたり。
「おおー、物知りだね英二君!」
「あ、ううん、全部このパンフレット頼り」
素直に感心するののこに大いに照れてしまったりしながら、ふたりは和気藹々とステージ鑑賞を楽しむ。派手なロック音楽も、ポップなアイドル音楽も、しっとりとした演奏も。どのアーティストの曲もそれぞれに迫力があって楽しかった。何より、どの出演者の演奏もステージにかける熱意が伝わって来る。
(格好良い……!)
ステージ上の誰も彼もが太陽よりも眩しく輝いて見えて、英二は大満足にわくわくと弾む胸に堪らず口にする。
「いいなあ、ネコフェス……!」
「うん、いいね、ネコフェス!」
歌に合わせて飛び跳ねながら笑うののこを見遣る。ためらうことなく笑いかけてくれるののこに笑い返す。
ののこの、明るい笑顔を見るのが好きだった。傍にいると元気を分けて貰える、気さくな今の距離感がお気に入りだった。
ののこと一緒に音楽に合わせて飛び跳ねながら、手拍子しながら、英二はちらりと思う。
(ゴアラ、どうしようかな)
メインステージをある程度楽しんだ後は、ゴアラ関連の展示即売会も催されているはずのキャットロードにも行くつもりだった。
(海外版の続編も近日公開だし、何か新しい情報とか入手できるかもだし)
国内特撮版もアニメ版も、ゴアラ関連の映画は全部が大好きな英二は迷う。ゴアラ映画の二次創作本とか考察本とかも出ているのなら是非とも入手しておきたい。海外版続編の前に読み込んでおきたい。
ぐるぐる悩んで、ふと思いついた。
それとも、ののこを誘ってみようか。もしも一緒に行けたなら、――
たとえば、一緒にゴアラ対策本部のコスプレをしてみたっていい。
たとえば、もしもののこが知っていたら、生演奏カラオケ大会のステージに立ってゴアラ対ニャスラのテーマをふたりで歌ってみてもいいかもしれない。人目を集めるのは苦手ではあるけれど、ののこと一緒なら、
(きっと、もっと楽しいよね!)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
70人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年03月28日
参加申し込みの期限
2019年04月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年04月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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