this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
NECO MUSIC FES 1370!
<< もどる
1
…
24
25
26
27
28
…
36
つぎへ >>
湯煙の立ち昇る温泉街に掲げられた『NECO FEST 1370!』と書かれた幟を辿ってやがて行きついた広場には、祭の会場があった。
「また祭りか」
銀鼠色の髪を夏の夕風に揺らし、
ティクス・ソル
は黒曜の瞳を賑わう周囲に巡らせる。そこここに開かれた緋色の大傘の下では人々が嗅ぎ慣れぬ匂いの酒を酌み交わしている。不思議に郷愁を掻き立てる音楽は、円型の宴会場の一角に設けられた小さな舞台上から聞こえている。
星幽塔から寝子島に突如として移動させられる度、何かしらの祭か異変に遭遇してきたほしびとは、それでも然程驚いた様子もなく小さな笑みを浮かべた。
「本当にこの島は祭りが好きだな」
今までこの島で出会ってきた祭りや異変を胸の内に思い浮かべてみる。さまざまの祭り、さまざまの異変。
「信憑性が増してくるな」
「うん?」
頭ひとつ以上上から降って来た聞き慣れた声にティクスは黒曜の眼をもたげる。仰ぐのは、今回共にこちらに飛ばされて来た家族も同様の仲間、
コル・ティグリス
。
ティクスの視線を受け、コルは琥珀の瞳を大らかに笑ませる。
「ずっと祭りか異変という説」
「ああ」
くすりと笑みを零す視界の中、コルは大きな手でがしがしと金の髪を掻いた。ところどころに虎模様じみて混じる黒や白の髪が揺れる。
「今日はどうするティクス」
また勝負でもするか、と気もそぞろに尋ね、一応は指示を待つ態のコルをティクスはしばらく眺める。琥珀の瞳がしきりと見ているのは、酒瓶の並ぶ屋台群に大傘の下で楽し気に、加えて実にうまそうに酒を呑む人々。
他人が見れば鷹揚に構えて見えるその癖、身内の己から見ればあからさまにそわそわした雰囲気の隣の大男を眺めるうち、ティクスの口元には苦笑交りな小さな笑みが浮かんだ。
「コル」
「おう」
「飲み過ぎないなら飲んでもいいぞ」
「お前ならそういうと思っていた」
言った途端、コルはお菓子の家を前にした子どものような満面の笑みとなった。
「さあ、そうと決まれば酒盛りの準備だ」
待ての命令を解かれた大型犬のように弾む足取りで歩き始める大男に向け、ティクスはひとりごちる。
「何時かのように噛みつかれるのは勘弁だが」
とは言え、最近は酒精が入っていない時でも噛もうとしてくる。あれはどうにかなるまいか。
(……俺は食べ物じゃないぞ、コル)
各酒造の屋台ごとに数種類、会場全部合わせて百はありそうな酒瓶の数を盗賊の目敏さでざっと計る。元より大酒呑みなあの男を止めるつもりはあまりないが、所謂ザルどころかワクな大酒呑みは下手をすれば端から端まで、それこそ片っ端から飲み尽くしてしまいかねない。
「ティクス」
入り口から一番近い屋台で早速何種類かの透明な酒を買い込みながら、酒が入る前から上機嫌なコルが呼ぶ。
「今日は二人だから、酒は飲まずともお前に付き合ってもらうぞ」
「……ああ、付き合おう」
実年齢は五百に迫るとは言え、寝子島では酒が飲める年齢に達していないように見える己の身をちらりと見遣りつつ、ティクスは同じ屋台に並んでいた酒饅頭を買い込む。
涼し気なカップに注がれた冷たい酒を数種類盆に乗せてもらう端から口をつけてしまいそうなコルを制止し、紅い花を炎のように咲かせる樹の下に広げられた大傘の下に席を定める。会場の央、足だけを浸けられる湯舟から離れているせいか、周囲に人は少ない。
青竹で組まれた卓を兼ねた椅子に並んで腰を下ろす。待ちかねたように酒を喉に流し込むコルを横目に、ティクスは酒の香を含んだ甘い饅頭に口をつけた。ふんわりしっとりとした皮と優しい甘さのこし餡を味わいながら、離れた舞台から聞こえてくる音楽に耳を傾ける。
(これがこの国の文化か)
覚えて帰れば、今回は道中を共に出来なかった仲間のうちにも喜ぶ者がいるかもしれない。
星幽塔第一階層にアジトを構える盗賊団『十二支団』の頭領はひっそりと笑んだ。歌を好む仲間連中の顔を思い浮かべ、聞こえてくる旋律をなぞって小さく口ずさむ。
隣に聞こえる頭領の鼻歌と遠く聞こえる異国の音楽を酒の肴に、コルは酒を口にする。透明のもの、白濁したもの。原料は米だと屋台の主は言っていたが、同じ原料を使っているはずなのに盃ごとに味が違う。舌にピリリと弾け爽やかな香を口から鼻に抜けさせるもの、滑らかに華やかに喉を過ぎて行くもの。かと思えば脳天まで突き抜けるような鮮烈な辛さを残すもの。星幽塔でも味わうことの出来る麦酒や蜂蜜酒とはまた違う酒をちびちびと味わい、酒の香の息を零す。
「ああ……」
花の蜜のように優しく甘い酒を喉に通し、コルはしみじみ嘆息した。
「こっちの甘いのはお前も飲めればいいのになあ」
饅頭ばかりを齧るティクスを眺める。こんなにもうまいものを味わえないのは実にもったいない。共に同じものを味わえれば、もっと美味く感じられるだろうに。
「アジトにいる連中に土産に買って行くか」
仲間のうち、何かと張り合ってくる男や今聞こえている音楽に合わせて舞ってみせそうな男や、細身ながら何かと頼りになる男の顔を思い浮かべる。あいつらなら、この酒の美味さもきっと分かってくれる。
「帰ってからまた酒盛りをするのか」
「おう」
「甘味も買って帰るぞ」
酒を呑めない小さい仲間を思ったらしいティクスの言葉にコルはもちろんと頷き、
「……ん?」
ティクスの足元や膝の傍にいつのまにか集まって来ている猫たちに気づいた。獲物を狙う仕草でにじり寄って来る黒猫、尻尾を高く上げて今にも飛び付いて来そうな三毛猫。何の躊躇もなくティクスの背中に飛びかかって肩によじ登るサバ猫まで目撃するに至り、コルは豪快な笑い声を放つ。
「よく分かっているな、お前ら」
寄りついているというよりも群がっている風の猫たちに笑いかける。挨拶するように掌に小さな鼻先を触れさせる猫の頭を大きな掌で包み込むように撫でる。
「うまそうだよな」
「お前が言うとシャレにならん」
胡乱な眼差しをくれるネズミの獣人ティクスの小柄な身体に、虎の獣人コルはのしかかった。そうすることでティクスにまとわりつく猫たちを追い払う。
猫たちに対抗するように身体で身体を押し潰しにかかる格好をとるその癖、全く体重を掛けては来ないコルを、ティクスは組み敷かれたかたちで見上げる。酔ってはいなさそうだが、
「実にうまそうだ」
喉を鳴らすその言に嘘もなさそうだ。
まったく、とティクスは息を吐いた。
「……大きな猫だ」
行き掛けの駄賃とばかり首筋に噛み痕を残して身を起こし、夢から覚めたようにさっぱりした顔つきで酒の残りを煽るコルの様子に短く苦笑し、ティクスは身軽に立ち上がった。
「小さい奴らへの土産を買って来る」
「なら俺は大きい奴らへの土産を買いに行くか」
肩を並べて祭り会場をそぞろ歩く。コルは気に入った辛口の酒を一升瓶で数本、ティクスは『寝子島温泉』の焼き印が押された酒饅頭とカスタード饅頭を一箱ずつ求める。団員分の土産を手にした後は、宴会場の央に設けられた足湯が空いていることに気づいてついでに足を向ける。
荷物を脇に置き、ティクスはズボンの裾を捲った。長椅子に腰を下ろし温かな湯に足先を浸す。みしり、と竹製の長椅子を軋ませコルが隣に座した。影になる水面に、コルの大きな足が沈む。
「お前は本当に小さいなぁ、ティクス」
思わず零して笑うコルに、ティクスは磊落に笑い返した。
「ネズミと虎だ。違って当たり前だろう」
見下ろす視界の中、大きな足と小さな足が並んでお湯に揺れている。
コルはティクスと並んでふたつの足を見下ろす。容易く踏み潰せそうな小さな足、細い足首と脛、片腕で持ち上げられる腰、片手で握り潰せる首。見た目から屈強な己と比べてしまえばどこまでも儚げであるのに、ティクスは強い。真正面から刃を交えたとしても、勝てるかどうか怪しい。
「お前は強い」
素直に述懐すれば、少しの悔しさまで滲んだ。けれどそれを隠さず、コルはしみじみ続ける。己と肩を並べる
ティクス・ソル
という生き物は、実に面白い生き物だ。
「長く一緒にいるが飽きることはないだろうなぁ」
金色の睫毛を伏せて微笑むコルの横顔を見上げ、ティクスは唇を笑ませる。コルの視線の先にあるふたり分の足を見下ろし頷く。
「そうだな、俺もお前といて飽きることはないだろう」
相棒に同意を示しつつ思い出すのは、星幽塔で共に生きる仲間たちのこと。皆、それぞれにそれぞれの面白さがある。小さい者たちの今後の成長を思えば知らず頬が緩む。
(団員になるやつは自分の目で見定めてはいるが……)
仲間にしようと思った者は、それはつまり盗賊である己に盗む価値があると判断させた者でもある。
「なあコル」
「うん?」
「……いい連中に恵まれたなあ」
「ああ、そうだな」
実に楽しい連中だ、と大きく肯い、コルは立ち上がった。ニカリ、明るく笑う。
「早く帰って酒盛りがしたくなってきた」
<< もどる
1
…
24
25
26
27
28
…
36
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
NECO MUSIC FES 1370!
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
70人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年03月28日
参加申し込みの期限
2019年04月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年04月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!