カメラは止めない！　パンツは脱がすな！｜リアクション

カメラは止めない！　パンツは脱がすな！

「オォォン！　……女の子のパンツゥ！　もぐもぐ！　パンツ最高！」
　それは、監督に洗脳され、パンツ喰らいの悪食「紳士ゾンビィー」と化した冴木竜司。
　つーか、さっき憤怒の形相で「即刻考え直してください」とか「人としてどうかしてますよ！」とかって監督に喰ってかかってたよね！？　あれから１時間と経っていないというのに、頭にレインボーパンツを被り幼女のパンツを中心にパンツをもぐもぐし、セクハラまがいの叫びをあげて暴れまわる冴木。今では冴木の方が「人としてどうかしてるのはお前だよ」状態である！
　監督は口元に満足そうな笑みを浮かべている。いったい何を囁いたというのか。
　たぶん碌でもないことであろうが、冴木の心にはズキュウウウウーーーーンと響いちゃったんだ。
「幼女のパンツ最高！　クワセロー！」
「きゃああああああーーーー！！」
　ロリっ子な見た目ながら爆乳という白真白が、豊かな胸をぽよんぽよんと揺らしながら逃げている。
（ゾンビは動きが遅いっていうのが王道。映画ならそのあたりの王道はきちんと押さえてくるでしょ。……ってものっそい走ってきたよ！？）
　ちなみに冴木、セクハラまがいの叫びによりろっこん＜性春パワー！＞が発動しちゃってるらしく、エロや幼女への想いで全身の筋肉強化中。もともと陸上部で鍛えている上に、高体連でもここまで本気出さないんじゃってくらい新記録間違いなしのめっちゃ本気の走りである！　
（ちょ、ちょっと監督、これいいの？　ゾンビの癖に走ってくるなんて！）
　口パクで抗議すると、出されたスケブには無情なコトバ。
『問題ない。最近はそういうのも増えてる』
（そんなー）
　どこのゾンビ映画よーとツッコむ間もなく、冴木は白に追いつき、背後から抱きすくめるように揺れて大変な爆乳にタッチしてきた！
　

「い、いやああああああ！！！！」
（うわ、ゾンビ側の人たち鼻息荒くない！？　ゾンビだから息してたらダメじゃん！）
　ゾンビ業界に疎くてわからないが、これも最近よくあることなんだろうか！？　冴木の格好とか、手をワキワキさせてる具合とか、叫んでる内容とかがガチすぎてちょっと……いや、完璧にヒく。
　その完璧ヒいた表情が、ちょうど監督の求めるゾンビに怯える表情になっていたようで、
『真白ちゃんイイヨ！　その調子』
　と前のめり。カメラマンもめいっぱいズームで揉まれて自在に形を変える胸をしかと捉える！
　
「ウ゛ーーー幼女のパンツーーーもぐもぐーーーー！」

（だーかーらー！　私いつも通りのテープタイプ紙おむつなんだってば！）
　絶体絶命！
　パンツ……じゃなかった、オムツの危機！
　白はぎゅっと目を瞑る。
　しかし、下半身が大気に晒される瞬間は、なかなか訪れなかった。
　そのかわり。

　グシャ！！

　鈍い打撃音。
（なっ、なに！？）
　目を開ける。
　そこには、『止まれ』の標識を握りしめた旅鴉月詠が、颯爽と銀髪を靡かせ、立っていた。