携帯戦記カプセルギア　練習しよう、カプギアアスレチック！｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　練習しよう、カプギアアスレチック！

　恵御納夏朝は圧倒されている。
　アスレチック内の熱気に。
　
　特に予定もない、いつもどおりの街の散策。
　それでも風景が違って見えるのは、お気に入りのギアと一緒だから。
　夏朝のギア『アマネ』は、妖精少女型。
　優美な姿と、虹色に光を放つ蝶の翅は、一見すると一般的なギアの姿と離れている。
　それでも夏朝には大事な相棒で、それ以外には考えられない大切な存在。
　一緒にいるだけで気持ちが高揚するし、何かのきっかけでギアバトルが楽しめればなおよい･･････。
（どこにいこうかな･･････）
　と、そこで人だかりが視界に入った。
「カプギアアスレチックセンター･･････」
　入り口のハンドアウトを手に取ると、どうも中でギアの練習が出来る施設らしい。
（せっかくだし、練習してみようかな？）

　なんとなくふわっと入場した夏朝、内部の様子に圧倒される。
　設備も思ったよりずっとちゃんとしているし、何より内部の興奮、熱気が甚大だ。
　カプセルギアの翳りを見せない勢いが、そのまま現れているようだった。
　何気なく傍らのブースを見た夏朝、視線が釘付けになる。
（すごいミニチュア･･････）
　練習コースの森エリア。
　ガラス越しにコースがのぞけ、その上方のパノラマビジョンには高感度カメラで補足された姿が、VRにより過剰化された姿で映し出されている。
　タイムラップが間断なく字幕で表示され「Today’s　Record」のマスター名が刻々と変化する。
　３Ｄプリンタにより作られたディオラマは、一枚一枚の葉擦れ、小川の流れまでも忠実に再現し、さらにＶＲ技術が五感すべてを没入させるリアリティを与える。
　夏朝はつかの間、仮想現実の世界をアマネと一緒に散歩する光景を幻視する。
「こんにちはー！」
　そんな夏朝に声をかけてくるのは、仙藤蒼。
　以前ギアバトルで知り合った。お姉さんが寝子高ＯＢということもあり、話が弾んだ。
「初心者向け、って書いてあったけど･･････結構難易度高そう。でも、その方がやりがいがあっていいんだけど」
　笑いかけてくる蒼に、夏朝も頷く。
　天真爛漫で元気な蒼。ゲームはやりこみ型だそうで、とにかく集中するタイプ。
　使用するのは量産型のギア。だが、彼女の手にかかると、唯一無二の輝きを発する。
　デフォルトの機体の青でさえ、ひときわ清冽に見えるのだ。
　一緒になるようなことがあったら、お互いに頑張ろうと声を掛け合う。