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2月、春に向けて
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新月の夜に ~熱々おでんと、もう会えない筈のあの人と~
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「さて、」
おでん屋『星灯亭』の前で、
アルレッテ・ザメニス
はのんびりとして、ぽむ、と手を合わせた。
「どこだか全くわからない場所に来てしまったね、レイ」
「まったく……アルはどこでも暢気だな。警戒心が足りなさすぎる」
動じることを知らないアルレッテの傍らで、軽く肩を竦めるのは
レイリー・マクティーラ
だ。
けれど、レイリーの言葉を受けてなお、アルレッテはけろりとしている。
「だって、レイがいるから平気だろう?」
絶対の信頼が滲む、真っ直ぐな言葉。
小首を傾げながらそう言われてしまえば、もう、言い返しようがない。
レイリーは、降参だとばかりに、小さく両手を上げた。
「あー、はいはい。ご期待に応えて、ちゃんと何とかしますよ、神官様」
ふふり、アルレッテの目元に、柔らかな笑みが乗る。
そうしてアルレッテは、視線を、『星灯亭』の方へと移した。
「すごくおいしそうな匂いだよね」
レイ、ちょっと寄ってみようよ、と促す声が弾んでいる。
レイリーは、やれやれとばかりに、ふっと息を吐いた。
「はいはい、神官様の仰せのままに、だ」
軽口に、アルレッテが笑む。
そうして、彼は動き出した。
欠片の警戒心も覗かせずに暖簾を潜るアルレッテのすぐ後ろに、レイリーも続く。
店内へと足を踏み入れれば、出汁の良い香りが、益々濃くなって2人を包んだ。
アルレッテは、暫し、好奇心を露わにきょろきょろと店内を見回していたが、じきに、
「失礼するね」
と、カウンター席に腰掛けている、背筋のしゃんとした老人に声をかけた。
その老人の隣以外には、もう、2人並んで座れる席が空いていないようだったのだ。
アルレッテが椅子にちょこんと腰を下ろしたところで、老人の顔が、2人の方を向いた。
眉間に皺の寄った、威厳のある顔。
その顔を目にしたアルレッテの赤の双眸が、途端、ぱちぱちと瞬かれる。
レイリーの方は、老人に石になる魔法でもかけられたみたいに、ぴたと動きを止めた。
だって、そこに座っていた老人、その人は、
「大爺様……?」
アルレッテの唇を、微かな音が揺らす。
以前のように、星が化けでもしたのだろうか、と、相手の顔に見入っていたところに、
「――アルレッテ、人の顔をまじまじと見るものではない」
と、老人――厳格たる神官長は、重厚な声でぴしりと言った。
大爺様、とは呼ぶものの、アルレッテと神官長の間には、血の繋がりはない。
けれど、次の神官長になるべき神の寵児だったアルレッテにとっては、神官長は、祖父のような存在だ。
しかし、その人は、あの日――。
堂々と背筋の伸びた神官長の、厳しく険しい眼差し。
それは、2人の狼狽は放っておいて、次いで、レイリーを鋭く射抜いた。
「
レイリー・マクティーラ
も、店の者に迷惑をかけるつもりか。座りなさい」
そう言ったきり、神官長は、もう興味をなくした、というふうで正面に向き直った。
バツの悪いような思いを抱えながら、席に着くレイリー。
神官長の隣がアルレッテ、さらにその隣にレイリーが落ち着いた形だ。
(本当に大爺様な気がするけど……)
と思案しながら、アルレッテは、そっと、レイリーの膝に己の手を重ねた。
自身を保つためではなく、レイリーのために。
その意図を、レイリーは、心地良い温もりと共に間違いなく受け取った。
(あー……情けねえ。気遣われてんな)
大丈夫だ、と言葉にする代わりに、アルレッテの手を握り返す。
その温度を携えて、アルレッテは、神官長に尋ねた。
「あの、大爺様は、どうしてここに……? あの後、無事逃げ延びて?」
神官長は、口を開かない。そうだ、とは言わない。
答えがない、というのが、あまりにも明白すぎる答えだった。
沈黙が、音もなく全てを物語る。
(ああ、やっぱり)
アルレッテの胸を、針で刺したような痛みが襲う。
空いている方の手で2人分のおでんを受け取っていたレイリーも、
(……ああ、やっぱ死んだのか)
と、アルレッテの前に皿を並べながら、口の中を小さく噛んだ。
――夏至まつりの夜、レイリーはアルレッテに許しを貰った。
アルレッテとレイリーの、元いた世界。
そこで、神殿を賊が襲った時、レイリーは、アルレッテひとりだけを救った。
アルレッテをひとりにしてしまったという、負い目、痛み。
アルレッテ当人には許されたはずの心の傷が、傷口を抉られたみたいに、じくりと痛む。
アルレッテの手を握る自身の手に、ぎゅ、と、つい、力がこもった。
(レイ……)
アルレッテもまた、己の手に込める力を強くする。
ちらと、神官長の厳粛な眼差しが、レイリーを刺した。
「ずいぶんと神官に対して馴れ馴れしい態度を覚えたようだな。
レイリー・マクティーラ
」
アルレッテが、ハッとして口を開く。
「大爺様、レイに意地悪を言うのは――……」
アルレッテの抗議を、「黙りなさい」と、神官長は一蹴した。
「意地悪などではない、アルレッテ。お前は、自らの立場を忘れたのか」
ぴしゃりと、神官長の言葉がアルレッテを打つ。
アルレッテは、きゅっと唇を噛んで、口を噤んだ。
(――確かに、レイはもう只の私の友人だけど、)
「私は……」
消え入りそうな声で漏らすも、その先は、声の形を得なかった。
店の賑わいの中に声は溶け消え、アルレッテは、少し、俯く。
一方のレイリーは、下を向くことすらできずにいた。
(はッ……本物は容赦がねえな)
心の中でおどけてみせるも、余裕なんてものは、ほんの僅かも今のレイリーの中にはない。
(情けねえ……。ああ、そうだ、)
――負い目つーか、もともとこの爺さん苦手だったわ、俺。
そんなことを思い出す。
勝ち目のない相手と向かい合っているみたいな、そんな冷えるような心地がしたが、
(……余裕はなくても、言わなきゃいけねえ)
レイリーは、アルレッテの手をもう一度しっかりと握り直して、神官長へと向き直った。
感情の読めない相手の顔を、真正面から見据える。
「……残念ながら、馴れ馴れしくしてたのは神殿にいたころからなんで」
改める気はねえよ、とのレイリーの宣言を、神官長は黙って聞いている。
一つ大きく呼吸をして、レイリーはきっぱりと言い切った。
「アルが、そう望んだからな」
はたと顔を上げたアルレッテを見て、挑むような目をしたレイリーを見て。
神官長は、ふう、とため息を零した。
「……神官長としては、神を裏切るなと、お前に釘を刺すべきなのだろうな」
続くのは、相変わらずの重々しい声。
軽く身を固くするアルレッテへと――神官長は、静かな微笑みを向けた。
瞬間、アルレッテは呼吸を忘れる。
(大爺様が笑っているところなんて、初めて見たかもしれない)
アルレッテの驚きを余所に、神官長は、アルレッテに向けて、思いもよらない音を紡いだ。
「幸せになりなさい、アルレッテ」
「大爺様……」
2人の様子を、レイリーは、ただじっと眺めていた。
(なんだよ……ただの孫バカの爺さんじゃねえか)
アルレッテに許されてもまだ心に僅か残っていた、棘のようなもの。
それがするりと抜けて、氷が水になるみたいに溶け落ちていくのを感じながら。
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あとがき
担当マスター:
巴めろ
ファンレターはマスターページから!
お世話になっております、ゲームマスターの巴めろです。
まずは、ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました!
おでん屋さんって何だか浪漫の香りがするよなあ、というところから生まれたシナリオでした。
不思議なおでん屋『星灯亭』での時間、お楽しみいただけておりましたら幸いです。
重ねてになりますが、ご参加くださった皆様に心からの感謝を。
この度も、本当にありがとうございました!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
巴めろ
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年02月07日
参加申し込みの期限
2019年02月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年02月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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