this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
夏カゼ、引いちゃいました
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
…
8
つぎへ >>
ピピッと電子音がして、体温計が計測終了を知らせた。
頭の上に持ち上げて、
タイラ・トラントゥール
は数字に目をこらす。どこからどう見ても、38度だった。……棒が1本なければ36度で平熱だったのに。
脱力した手がはたりと上掛けに落ちる。
思いあたることがありすぎる。
最近おかしな事が続いていて、その疲れが一気に出たのかもしれない。
ごほっと咳が口をつく。
「……まいった」
夏風邪はバカがひくというのに。
ああ、やってられない。
「ママン、頭が痛いんだ。咳も出る」
キッチンへ行き、割れるように痛む頭に手をあてて母親に熱があることを告げると、彼女は息子のほてったほおに手で触れて確かめたあと、学校に電話を入れてくれた。
どうすべきか迷っている様子に、
「出掛けていいよ。ボクは大丈夫だから。このくらいの熱で死にやしない」
と言うと、彼女は少しだけほっとした顔をして、タイラの額にキスを残し、シッターに任せて出掛けて行った。
「これを飲んでください。薬です。これは胃に優しい薬ですから」
「うん。ありがとう」
母以上の心配顔をして自分を見るシッターには、寝るから起こさないでと頼み、部屋へ戻る。
実際どうしようもなかった。
動いたせいで、頭は先まで以上にガンガン痛んでいる。
寝る以外、何ができるだろう。
高い熱からくる全身の震えと関節の痛みに知らず知らずのうち手足を縮め、背中を丸めて、かぶった上掛けの下でタイラはつ目をつぶった。
薬が効き始めたのか、うとうとと眠りに落ちる――。
閉じていた目を開くと、高い天井が見えた。
見覚えがある。
ここは、寝子島へ来る前に住んでいたフランスの家だ。
(寒い……)
吹き抜けで広い玄関ロビーはどこにも火の気配がなく、人の気配もしなかった。
タイラは無意識に腕を交差して体を丸め、人の姿を求めて部屋から部屋へと渡り歩いて行く。
もしかして、誰もいない?
ここにいるのは自分だけ。独りぼっちなんだろうか?
「ボクは……?」
心細さに立ちすくむ。思わず手に力をこめたときだ。
『タイラお坊ちゃま。こんな所にいらっしゃった』
突然背後から声がして、振り返ると、あの家の家政婦長が立っていた。
名前は……何だったっけ……?
思い出せずに見上げているタイラに、家政婦長は手に握っていたグラスを押しつけてくる。
「さあちゃんと握って。飲んでください。一滴もこぼしてはだめですよ」
「……でも、ボク、飲みたくないんだ……」
寒くて。
水はコップを通しても冷たさが伝わってくる。
こんなのを飲んだら、凍えてしまうに違いない。
「さあ、飲んでください」
「嫌だよ……嫌……」
押しつけられるグラスを、顔をそむけてかわしていると――。
『飲めと言っているのだ、僕は。逆らうのか』
思いがけなく聞こえてきた従兄の声に、タイラはぎくりと体を強ばらせた。
この声は……。
おそるおそるそちらを向くと、従兄のリュゼが彼を見下ろして立っている。
あの一片のぬくもりも感じられない、まるで躾のできていない雑種を見るような冷酷な眼差しで……。
『タイラ、リュゼを困らせてはダメよ』
母もいた。
片手をほおにあて、困った子と言いたげにため息をついている。
「ボク……ボクは……」
2人から責めるように見つめられ、タイラは何も言えなくなった。
喉が詰まり、息をすることもつらくなる。
ボクは…………ボク、は…………。
気付くとタイラは寝子島の家の自分の部屋で、ベッドに横向きになって寝ていた。
サイドテーブルには水が半分入ったグラスが置かれている。
薬のおかげか、まともに働くようになった頭で、風邪のときは水分補給が大事、ということを思い出した。
たぶんシッターがやってきて、飲ませてくれたのだろう。全く覚えていないけれど。
最後に見た夢の残滓がまだ心にこびりついていた。
発熱した体は内側から熱く、肌は張って、ひりひりとするのに、胸の芯の部分は氷に押しつけているように冷たく痛む。
無意識からタイラはすがれる存在を求めて手を伸ばし、指に触れたシャルルを引き寄せる。シャルルを取ったことでバランスが崩れ、倒れ込んできたリールも一緒に上掛けの下に引っ張り込んで抱き締めた。
それでも凍える寒さは消えない。
嫌だ。思い出したくないんだ。来ないで。お願いだから……!
いくら叫んでも無駄とばかりに浮かび上がってくる従兄の気配におびえ、上書きするように、彼とは対照的な、あたたかな存在を心に描いた。
かつて、同じように風邪を引いたとき。アイツはタイラのなかから彼を追い出し、いつもの日常へタイラを引き戻してくれた。
そのことを思い出し、夢中でアイツの姿を思い描く。
彼の髪は焦げ茶でツンツンしていて。
その瞳はまろやかな蜂蜜色。あたたかなアンバー。
そしてまっすぐにこっちを見て、腹立たしいくらい確信に満ちた声で言うのだ。
『タイラ、大丈夫だ!』
と――。
タイラはいつしか眠りに落ちていた。シッターが入ってきても気付かないほど深く、安らかな眠りへ。
「薬が効いたようですね。熱が下がっています」
前髪を払い、その下の額に指をあてて具合を見たシッターは、満足そうな笑みを浮かべる。
子どもは回復力が驚くほどに強いから。きっと明日の朝にはけろりとして、いつものタイラに戻っているだろう。
シッター新しい水を入れたグラスと交換して、起こさないように気をつけて部屋を出て行った。
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
…
8
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
夏カゼ、引いちゃいました
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年01月13日
参加申し込みの期限
2019年01月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年01月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!