ニャンとめでたいワンダフル！｜リアクション

ニャンとめでたいワンダフル！

【世界を跨いで貼られたポスター】

「おや、これは……」
　星幽塔第一階層にて。アケーチ・タッマーキは、壁にある不思議な文様が添えられたポスターを目にして、ふと足を止めました。
「……ふむ」
　じっと見つめていると、その文様は、何とか解読可能な文字であることが分かります。ですが、それは一種の直感謎解きにも近く、読めないひとがいてもまったく不思議ではないポスターでした。
　しかし、イラストは可愛らしくて、とても魅力的。
「……素敵なイラストですね、ふふ。
　これは、いぬねこさん達のお祭りのお誘いのようですが……」
　いぬねこの国と言えば、この間、そのいぬねこ達に第一階層の案内をしたばかり。

　その心に、やさしさと温かさを残したいぬねこ達を思い浮かべながら。アケーチはその思いに瞳を細めて、さっそくそのお祭りの場所を確認することにしました。

「う～ん、これは……」
　こちらも同じく、星幽塔第一階層。
　元気に働く酒場の壁にて、貼られていたポスターに目を引かれて、アリス・ミーティアは立ち止まりました。
　とてもいきいきとした、可愛いいぬとねこの絵が描かれています。お祭りでしょうか、書いてある文字こそ読めませんでしたが、イラストにはきちんとそれだけでも分かるように、星幽塔からの案内図らしきものが描かれています。

「楽しそうかも。どんな所なのかな？」
　文字が読めない文化のお祭りで、イラストを見れば心が躍る──これが、好奇心をそそらない訳がありません。
「うん、行ってみよう！」
　決めてしまえばあっという間。アリスは酒場にお休みをもらって、早速会場へ向かうことにしました。

「……？」
　こちらは寝子島。三宅葉月は、帰り道に見慣れないポスターが貼られているのを目にしました。

　そこには、とても楽しそうな絵の中に、イモムシがのたくったような線が引かれています。
　それに葉月が、首を傾げながらじっと凝視すると、その線はだまし絵もびっくりな驚きと共に解読可能な文字となりました。
　魔法でも掛かっているのかと思いましたが、どうやら純粋に脳のアハ体験によるもののようです。
　そんな、ウネウネカクカクした文字を読むことしばらく。
「いぬねこの国の祭り……お祭りを開けるぐらいには平和になったのね」
　内容は、『いぬねこの国』によるお祭りの開催。一騒動が起こり、それ以降の接点がなかった葉月ではありましたが、
（お祭りできる程度には平和になったのね、うまく行っているようで何よりだわ……）
　と、ポスター前でじんわりとした感慨にふけりました。

　それから葉月は、帰り道から少し寄り道することにしました。
　向かった先はエノコロ岬。
　星幽塔にもあるらしい黒い大岩に触れて、葉月はいぬねこの国へと軽やかに向かっていったのです。

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