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らっかみ!新春☆初夢宝船フェア! ~富士編~
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『――の花嫁』。
名を口にすることすら許されぬものとの婚姻が、その家には代々伝えられている。
――花嫁が逃げてしもて。仮初や言うてんのに、夢みたいなもんやて言うてんのに……
祖父ほどに年の離れた家の主人にどうかどうかと手を合わされ、
弥逢 遊琳
は甘い蜜の色した瞳を僅かに震わせた。
――加護を得られるものでもなし、あんたに何の得があるでもなしやけど
それでもどうかどうかと頭を下げ続ける名のある家の主人に頭を上げるよう頼み、遊琳は細い顎をそっと引いた。了承を示す。
――ほんまか。おおきに、おおきになあ
昔から家同士の付き合いがある商家に、卒然と、しかも内密に頼むと呼ばれたかと思えば、座敷に通され、どれほど固辞しようと上座につくねんと据えられた挙句、家の主人が畳に額を打ち付ける勢いで頼み込まれてしまった。
(断るなんてできないよね)
それに、と大切なお家の儀式を前に逃げ出したこの家の長子を思う。幼い頃より顔を知る彼女がそれを選んだのであれば、
(僕は、君がそうあることを助けよう)
もてなしにと出された渋茶とお茶請けの上生菓子に手をつける暇もなく、早く速くと主人に急かされ奥座敷に通される。そこに待ち受けていたのは、白一色で織り上げられた白無垢の正礼装。
定められた社に花嫁衣裳で一晩留まること。
そこで何を見ようと声を一切発さぬこと。
――それだけ、それだけや
障子の向こうで祈るように繰り返す家の主人の言葉を耳にしながら、単衣を纏う。古くからの伝承通りに庭の井戸水で身を清め、三日三晩月の光を通したという盃の水を口に含む。
そうしてから、家の内儀と手伝いの女たちの手を借りて掛下を纏い、白打掛を羽織る。帯に懐剣、時計草を模したべっ甲飾りで結った髪には綿帽子。
――うつくしなあ、まこと美し花嫁やねえ
先祖代々伝わる儀式をともかくも滞りなく行える喜びにか、手を合わせるばかりの家の主人に淡く微笑みかける。
(まさか呼ばれた当日だなんてね)
儀式を急くその様は、花嫁が再び逃げ出すことを恐れているかのよう。
紋付き袴に着替えた主人に手を引かれ、内儀に朱の和傘を差しかけられ、紅色の躑躅と藤の花が咲き乱れる庭を楚々と行く。準備を整える間に、辺りは知らずとっぷりと暮れている。
暮れなずむ庭に、手を引き先を歩く家の主人の背がふとこの世のものにない何かに見えて、思わず唇を引き結ぶ。それでも、進む足は緩めず主人の後に従う。
むせかえるほどに甘い香りで満ちた庭の奥には、花に閉ざされるような小さな社があった。
人ひとりやっと潜れるほどの朱色の小さな鳥居の前で一礼する。主の老いた手に白無垢の背を押され、ひとり、社の前に立つ。
紅の階段、紅の格子戸。薄く開かれた格子戸の向こうには、煌々と照る燭台ばかりが見えた。
――振り向かず、中に
低く低く囁かれる主人の声にも背を押され、打掛の裾をそっと引いて艶やかに磨きこまれた紅階段を踏む。格子戸の前でもう一度頭を垂れ、膝を折る。声を禁じられていることを胸に刻み、両手を揃えて格子戸に手を掛ける。
開いた戸の先には、射干玉の闇があった。先まで燃えていた蝋燭の光は微塵も見受けられない。伸ばした指先に生暖かく触れられてしまいそうなほどに濃い、闇。
綿帽子の下、蜜色の大きな眸を瞬かせる。入ることを拒まれているのかとも一瞬思うも、
――きんもくせいの、かおり
微かに、夜に香る花の香よりも仄かに聞こえたその声に、抱いた迷いは一瞬にして晴れた。
闇の向こうにも届いた時ならぬその香は、己が愛用する練り香水のもの。
(怖がらなくていいよ)
白無垢の裾を揺らし、闇の帳に分け入る。
途端、視界を覆い尽していた闇は晴れた。社の中にあるのは、ふたつばかりの燭台と、古式畳ばかり。
古式畳と相対して端座し、姿の見えぬ社の主に向け三つ指ついて頭を下げる。
社の内は、外と同じに皐月の花の香に満ち満ちていた。
揃えた膝に小さな指先が触れた気がして、そっと額を上げる。
もたげた瞳に捉えられるものは何一つとしてなかったが、それでも、
(誰か、いる)
古式畳より降り、己の膝の前にちょこんと正座する小さなナニカが見えたように思えた。
――はなよめさま
無邪気にはしゃぐ童子の声を耳にした。
――もくせいの香のはなよめさま
とたとたと板間の上を、己の周りを歩き回る小さな足音を聞いた。
――うつくしいはなよめさま
綿帽子に、白無垢の肩に触れる小さな掌の熱を感じた。
感じように拠っては恐怖にすらなるだろうその現象に、遊琳はただただ淡く微笑み続ける。
――わたしのはなよめさま
(はい)
さらり、白無垢の裾を揺らし、虚空に向けてそっと手を伸ばす。小さな社の内で、幾年を過ごして来ただろうナニカに向け、『花嫁』として優しく笑いかける。
(永の孤独をただ一夜で癒せるとは決して思わへんけれど、……)
掌に、小さな丸い頬がそろり、怖じるように触れる。見えないナニカの頬に触れ、禿のかたちした絹糸のような髪に触れる。恭しく撫でやれば、そのナニカは不意に小さく笑った。
――はなよめさま。一夜だけの、わたしのはなよめさま……
膝に小さな頭がそっと乗せられる。狩衣を纏った童の姿が束の間見えて、遊琳は蜜の瞳に黒曜の睫毛の陰を落とした。
いとし子を慈しむように、優しく優しく、小さな頭を撫でる。
千年のうちの一夜が明けるまで。花の香に沈む泡沫の夢が黎明の光に溶けて消えるまで――
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
初夢宝船フェア、お届けにあがりました。
アクションなしでイラストからのみ物語を綴らせて頂くというちょっぴり特殊なシナリオへのご参加、ありがとうございましたー!
みなさまからご提示いただきましたすてきなイラストをもとに、妄想力も空想力も総動員いたしまして、えいやっと色々描かせて頂きました。
願わくば、福袋みたいに色々楽しめる中身になっておりますことを祈るばかりです。
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。それで、またお会いできましたら嬉しいです。
ありがとうございました!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年01月01日
参加申し込みの期限
2019年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年01月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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