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- 00月00日生 00歳
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らっかみ！新春☆初夢宝船フェア！ ～富士編～
にゃこるふ、というTRPGがある。(TRPGがそもそも分からないという場合はネット検索するか、その道の友達に尋ねてみてください)
元は『ねこるふ』というホラー系TRPGを下敷きとした同人系TRPGだ。
ねこるふでは正気度とも呼ばれ、それが下がれば狂気に陥る『NYAN』値は、にゃこるふにおいては『にゃん度』と呼ばれている。すなわち、それが下がれば下がるほど、プレイヤーキャラクターの猫好き度が上がる。
にゃこるふTRPGにおいて、この『にゃん』値はとにもかくにも下がりやすい。
まずステージ内で猫を視認した瞬間にゃん値低下イベントが発生する。その上、ダイスでのにゃん値低下抵抗判定に成功しようとそれは僅かの時間稼ぎにしかならない。もちろん失敗すれば致命的に下がる。猫が近づいてきたり、香箱を組んで寛いでいたりする場面を目撃してしまった場合のダイス成功判定は恐ろしく難易度が高い。
様々な舞台設定があるとは言え、プレイヤーキャラクターはこのにゃん値を下げずに、つまりは猫に骨抜きにならずにゲーム終了させることがクリア目標となるのだが、――この『にゃこるふ』、どれだけ抗おうと最終的に全員が猫好きになる。驚異的に猫好きになる。猫と見ればハートマークを飛ばしながら抱きついたり、もふもふのお腹に顔を埋め、界隈ではいわゆる『猫吸い』と呼ばれる行為に耽ったり、ひたすら愛でて撫でて膝に乗られて足が痺れても動けなくなったりする。
にゃこるふTRPGはそれほどまでにクリア難易度の高いクソゲー、もとい超高難易度ゲームなのだ。
「……よし」
その(悪)名高き『にゃこるふTRPG』に挑もうとするゲーマーが、ここにもひとり。
名を水守 流、齢十六、職業学生。
(こんなもんか)
必要事項を全て埋めたキャラクターシートを眺め、キャラクター作成に使用したダイスと鉛筆を置いて小さく頷く。『にゃこるふ』を遊ぶ会は明日ではあるが、当日すぐにゲーム開始できるよう、用意はしておくに限る。
キャラクター作成に興が乗り、空いたスペースにお猫さまにメロメロになるキャラクター絵まで落書きしてしまった。『にゃこるふ』的には死亡フラグにしかならない気もするが、まあそこはそれ。ゲームにはノリと遊び心に加えて悪戯心だって時には大切。
(後は明日コンビニでポテチとコーラとその他諸々お菓子買えばいいか)
TRPG仲間皆でゲームしながら食べるおやつと飲み物の用意も忘れずに。
ルールブックにキャラクターシートを挟み、明日の決戦に備えてそろそろ寝るか、と椅子の上で伸びをして、――仰いだ視界に起居している桜花寮の天井ではなく、どんよりとした曇天の空を見た。
「は？ っうあ？！」
唐突な場面転換に身体と頭が追い付かず、足元が絡んで尻餅をつく。
「痛って？！」
「大丈夫かニャ？」
喚く流の前に立ち、あんまり心配していなさそうに声を掛けてきたのは、茶トラ模様の猫。もっちりとした柔らかそうなフォルムに見覚えがあると思えば、そう言えばさっきキャラクターシートに書き込んだ落書き猫とよく似ている。
「なにここ？」
「にゃこるふ世界ニャ」
至極当然と言った風に応じる茶トラ猫に、流は目を剥く。
「マジか」
「マジニャ」
曇天の空の下には、荒野ばかりが広がっている。そこに一本きり伸びる道の真ん中に自分は座り込んでいるらしい。そこまで把握したところで、足元にコロリ、愛用している十面ダイスがどこからともなく転がり出て来た。
「というわけでにゃんチェックニャ」
「いきなり？ ……ああいやでも、猫か」
「いかにも、ラブリーキュートな猫ニャ」
にゃこるふTRPGでは、猫を目撃する度にゃん値チェックが発生する。それは絶対の摂理なのだ。
ラブリーでキュートなお猫さまが示したにゃん値低下抵抗判定の成功値は、ちょっとどころではなく高かった。
「マジか」
「マジニャ。嫌なら別のねこるふ世界にご案内するけどニャ」
「……別のねこるふ世界？」
興味が湧いて訊いてみれば、
「オセチモイイケドカレーモネ世界とかオススメニャ」
聞いただけで正気度が下がりそうな世界だった。
「見てみるかニャ？」
ちょいちょい、と茶トラ猫が足元の地面を引っ掻く。途端、地平線まで埋めるデッカイ重箱入りおせち料理が現れた。黒豆に伊達巻、海老に数の子栗きんとん。一品一品丁寧に仕事が施されたおせち料理の数々に、カレーやねこるふの片鱗はない。が、
「順番に食べて進むニャ。選んだおせち料理がカレー味の場合にNYANチェックが発生するニャ」
「うっお……」
オセチモイイケドカレーモネ世界の説明に流は呻いた。その顔色を見て、茶トラ猫はもう一度地面を引っ掻く。世界の果てまで続くおせち料理は、見る間に荒野の一本道へと戻った。
「にゃこるふ世界でいいニャ？」
「いいニャ」
真顔で頷く流に、茶トラ猫は邪悪に笑う。
「にゃん値チェック再開ニャー！ ゴーゴーにゃん値直葬ニャー！」
元は『ねこるふ』というホラー系TRPGを下敷きとした同人系TRPGだ。
ねこるふでは正気度とも呼ばれ、それが下がれば狂気に陥る『NYAN』値は、にゃこるふにおいては『にゃん度』と呼ばれている。すなわち、それが下がれば下がるほど、プレイヤーキャラクターの猫好き度が上がる。
にゃこるふTRPGにおいて、この『にゃん』値はとにもかくにも下がりやすい。
まずステージ内で猫を視認した瞬間にゃん値低下イベントが発生する。その上、ダイスでのにゃん値低下抵抗判定に成功しようとそれは僅かの時間稼ぎにしかならない。もちろん失敗すれば致命的に下がる。猫が近づいてきたり、香箱を組んで寛いでいたりする場面を目撃してしまった場合のダイス成功判定は恐ろしく難易度が高い。
様々な舞台設定があるとは言え、プレイヤーキャラクターはこのにゃん値を下げずに、つまりは猫に骨抜きにならずにゲーム終了させることがクリア目標となるのだが、――この『にゃこるふ』、どれだけ抗おうと最終的に全員が猫好きになる。驚異的に猫好きになる。猫と見ればハートマークを飛ばしながら抱きついたり、もふもふのお腹に顔を埋め、界隈ではいわゆる『猫吸い』と呼ばれる行為に耽ったり、ひたすら愛でて撫でて膝に乗られて足が痺れても動けなくなったりする。
にゃこるふTRPGはそれほどまでにクリア難易度の高いクソゲー、もとい超高難易度ゲームなのだ。
「……よし」
その(悪)名高き『にゃこるふTRPG』に挑もうとするゲーマーが、ここにもひとり。
名を水守 流、齢十六、職業学生。
(こんなもんか)
必要事項を全て埋めたキャラクターシートを眺め、キャラクター作成に使用したダイスと鉛筆を置いて小さく頷く。『にゃこるふ』を遊ぶ会は明日ではあるが、当日すぐにゲーム開始できるよう、用意はしておくに限る。
キャラクター作成に興が乗り、空いたスペースにお猫さまにメロメロになるキャラクター絵まで落書きしてしまった。『にゃこるふ』的には死亡フラグにしかならない気もするが、まあそこはそれ。ゲームにはノリと遊び心に加えて悪戯心だって時には大切。
(後は明日コンビニでポテチとコーラとその他諸々お菓子買えばいいか)
TRPG仲間皆でゲームしながら食べるおやつと飲み物の用意も忘れずに。
ルールブックにキャラクターシートを挟み、明日の決戦に備えてそろそろ寝るか、と椅子の上で伸びをして、――仰いだ視界に起居している桜花寮の天井ではなく、どんよりとした曇天の空を見た。
「は？ っうあ？！」
唐突な場面転換に身体と頭が追い付かず、足元が絡んで尻餅をつく。
「痛って？！」
「大丈夫かニャ？」
喚く流の前に立ち、あんまり心配していなさそうに声を掛けてきたのは、茶トラ模様の猫。もっちりとした柔らかそうなフォルムに見覚えがあると思えば、そう言えばさっきキャラクターシートに書き込んだ落書き猫とよく似ている。
「なにここ？」
「にゃこるふ世界ニャ」
至極当然と言った風に応じる茶トラ猫に、流は目を剥く。
「マジか」
「マジニャ」
曇天の空の下には、荒野ばかりが広がっている。そこに一本きり伸びる道の真ん中に自分は座り込んでいるらしい。そこまで把握したところで、足元にコロリ、愛用している十面ダイスがどこからともなく転がり出て来た。
「というわけでにゃんチェックニャ」
「いきなり？ ……ああいやでも、猫か」
「いかにも、ラブリーキュートな猫ニャ」
にゃこるふTRPGでは、猫を目撃する度にゃん値チェックが発生する。それは絶対の摂理なのだ。
ラブリーでキュートなお猫さまが示したにゃん値低下抵抗判定の成功値は、ちょっとどころではなく高かった。
「マジか」
「マジニャ。嫌なら別のねこるふ世界にご案内するけどニャ」
「……別のねこるふ世界？」
興味が湧いて訊いてみれば、
「オセチモイイケドカレーモネ世界とかオススメニャ」
聞いただけで正気度が下がりそうな世界だった。
「見てみるかニャ？」
ちょいちょい、と茶トラ猫が足元の地面を引っ掻く。途端、地平線まで埋めるデッカイ重箱入りおせち料理が現れた。黒豆に伊達巻、海老に数の子栗きんとん。一品一品丁寧に仕事が施されたおせち料理の数々に、カレーやねこるふの片鱗はない。が、
「順番に食べて進むニャ。選んだおせち料理がカレー味の場合にNYANチェックが発生するニャ」
「うっお……」
オセチモイイケドカレーモネ世界の説明に流は呻いた。その顔色を見て、茶トラ猫はもう一度地面を引っ掻く。世界の果てまで続くおせち料理は、見る間に荒野の一本道へと戻った。
「にゃこるふ世界でいいニャ？」
「いいニャ」
真顔で頷く流に、茶トラ猫は邪悪に笑う。
「にゃん値チェック再開ニャー！ ゴーゴーにゃん値直葬ニャー！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2019年01月01日
- 参加申し込みの期限
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- 2019年01月08日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2019年01月08日 11時00分
