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らっかみ!新春☆初夢宝船フェア! ~富士編~
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メイド服の背を上品に折り、
桧垣 万里
は丁寧なお辞儀をする。
「行ってらっしゃいませ、ご主人様、お嬢様」
本日最後の『ご主人様』と『お嬢様』を扉の外まで見送って、メイド喫茶『ねこのて』店長代理、メイドの『ばんり』としての仕事は一段落。
バレンタインの今日は、いつもに輪をかけて忙しかった。
「お疲れさま、みんな」
閉店作業の後、折角のバレンタインに出勤してくれたバイトの子たちに声を掛ける。用意しておいた小さなプレゼントボックスをひとりひとりに手渡してしまえば、万里のバレンタインはすべて終了。
バイトの皆を店の外へと送り出し、店の戸に鍵を掛ける。誰も居なくなった店内を見回し、
「……さて、と」
窓際のテーブルにぽつりとひとつ置き去りのプレゼントボックスを手に取る。とは言え、これは昨日の夜バイトの子たちに贈るためにせっせと作ってラッピングしたバレンタインのプレゼントとは別のもの。
リボンを掛けた箱をメイド服の胸に抱え、万里は何気なく窓の外を見遣る。窓の向こうには、華やぐバレンタインの町が広がっている、――はずだった。
窓の外にあったのは、吸い込まれそうに青い空。
どこまでも広がる儚く碧い花畑を、万里は見た。そこにぽつりと立つ、自分と同じ顔をした別の誰かを見た。
咄嗟に、これは夢だと信じた。
硝子越しには何の変哲もないいつも通りフツウのキャットロードがあるだけのはずだった。そのはずなのに、目に映るのは、あるはずのない花畑と、それから。
硝子の向こうで、千里が笑う。
そこに立っているのは、居るはずのない兄の姿。兄の笑顔を正面に、万里は呆然と思う。
(私も)
私も、笑えているのかな。
そう思いながら、万里は抱えたプレゼントの箱を差し出す。だってこれは、元より兄の墓前に供えるつもりだったもの。
「ハッピーバレンタイン」
決して届かなくともすぐ傍に居るはずの、勿忘草の花の中に佇む兄に笑いかける。
兄の唇が笑みと共に動いた。
――ハッピーバレンタイン!
自分と同じ言葉を唇の動きに読み取って、万里は泣き笑いに顔を崩した。
ふたりで一緒に生まれて、ふたりで一緒に育つはずだった双子の兄妹。
なのに生まれることが出来たのは妹ひとり。両親は兄につけるはずだった方の名を片割れである妹につけた。
生も名も奪ってしまったのではないかと悩んだこともある。
兄は自分を恨んでいるのではないかと沈んだこともある。
それなのに、今、鏡の向こうの兄はどこまでも屈託なく笑ってくれている。バレンタインの贈り物をどうぞと差し出してくれている。
「いいの、かな」
ぽつりと零した途端、兄は月影の色の瞳をきょとんと丸くした。
――もちろん!
顔中で笑う。手にしたプレゼントをぐいと差し出してくれる。差し出し合ったプレゼントが透明な鏡一枚を隔ててぶつかり合う。
たとえ、これで儚く消える夢であったとしても。
たとえそうであっても、とても嬉しかった。
――あけてみて
どこか悪戯っぽくもある兄の言葉に、妹は瞬く。中身は昨晩、兄を思って詰めたハート型のクッキーであるはず。これがどんな奇跡であってもそれは変わらないはず。
――万里
兄が笑う。笑って、己につけられるはずだった名前で妹を呼ぶ。
僕も開けるよ、とばかり、兄はプレゼントボックスを片腕に抱えてリボンを解き始めた。でも、と言い募ろうとして妹はやめる。兄に倣い、見た目は何も変わっていないプレゼント箱のリボンをそうっと解く。蓋を開いて、中身いっぱいに詰まっていたのは、
――クッキーだ!
兄が、自分のプレゼントボックスの中身にどこまでも朗らかに笑う。
「え……?」
妹は、自分のプレゼントボックスの中身に目を瞠る。自作のクッキーが入っているだけのはずだった箱の中には、勿忘草の小さなブーケ。
零れんばかりに咲き誇る小さく可愛らしい碧い花の花束を胸に抱き、万里は瞬きを繰り返す。どうして、と思うと同時、鏡の中の兄の笑顔に嬉しい笑みがつられて零れた。
――万里
「……千里」
互いの名を、呼ぶ。
それぞれに贈り贈られたプレゼントを胸に抱き、鏡越しに額を合わせる。固く冷たいはずの鏡面が、けれどほん一瞬、温かな兄の額に直接触れられた気がした。
「私はあなたを決して忘れないよ」
兄の背にどこまでも広がり、そして兄が贈ってくれたブーケの花言葉のままに誓う。
勿忘草の花言葉は、『私を忘れないで』。
兄からのメッセージを確かに受け取ったつもりでいたのに、兄は少し困った顔で首を横に振った。合わせたままの額を動かさず、間近に見つめ合ったまま、唇を動かす。
――万里。僕は、
兄からの言葉を、
「僕は、万里が大好き」
妹は、確かにその耳に聞いた。
「大好きだよ、ずっと」
勿忘草のブーケを胸に、万里は目を瞠る。瞬きも忘れて見つめる兄の瞳は、優しい月影の色。
勿忘草のもうひとつの花言葉は、『真実の愛』。
兄妹ふたりで生まれてくることが叶わず、妹ひとりに未来を託した兄は、どこまでも優しく、一抹の曇りもなく、妹と同じ顔で笑う。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年01月01日
参加申し込みの期限
2019年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年01月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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