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らっかみ!新春☆初夢宝船フェア! ~富士編~
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溢れた蒼い光が舞台の袖にまで雪崩れ込んできている。
水底に踊る月影に似てゆらゆらと音もなく舞う青い光を纏い、高い天井から青い薔薇の花びらがふわりと降る。零れて落ち始めた花は見る間にその数を増やし、舞台を青く彩り始める。
薔薇の花と共に舞うは、月光よりも白く煌く雪の片。蒼い光を浴びてなお白さを失わず、花びらとともにはらはらと震えて落ちる。
雪と花に飾られる舞台に、風にも似てヴァイオリンの音が一筋、流れ始める。雪よりも幽く儚く響く音は一節毎に重力を増し、熱を重ねる。
青い光がオーロラじみて踊る床を靴の爪先で叩く。メトロノームの正確さでリズムを刻みつつ、
神嶋 征一郎
は白い頬に睫毛の陰を落とした。薄く開いた唇から、深い息を吐き出す。
直前に急ぎ録らせたヴァイオリンの旋律は、及第点にぎりぎり届くか否かの出来栄え。
(オリアスでないとは言え)
愛用のヴァイオリンがこの場になかったとは言え。練習できなかったとは言え。
己が奏でた音に納得がいかず、思わず奥歯を噛みしめる。
落ちた視線に映るのは、群青を基調とした三つ揃えスーツに、白い金の縁取りと房飾りをあしらえたコート。ファーつきのマントを肩に羽織り、舞台に合わせた衣装となっている。
「神嶋」
コツリ。爪先に刻むリズムにまるで音を合わせたかの如く、靴の音と己の名を呼ぶ静かな声が重なって聞こえた。
「ウォーカー」
征一郎は振り向きもせずに応じる。ステップのように軽やかな足音で近づいてきたかと思えば、
シグレ・ナイトウォーカー
は八重歯を覗かせて強かに笑んだ。黄昏と宵闇のあわいの空の青した瞳を細め、手にしていた空色のマフラーをふわりと両手に広げる。
「……何だ」
不審げに瞬く征一郎の頸にマフラーを緩く巻きつけ、シグレはどこまでも軽快に笑う。
「今日の俺達はユニットだろう?」
ノーネクタイの濃紺のシャツに白のジャケット、ファーつきのマントの上に征一郎と揃いの空色マフラーを巻きつつのシグレの言葉に、征一郎はもう一度静かに息を吐いた。シグレのペースに巻き込まれるうちに爪先で刻んでいたリズムさえ知らず途切れていることにも思い至り、仕切り直しを図るべく瞼を閉ざす。
(何故こんなことに)
気づけば楽屋に押し込められていた、というのが征一郎の実感としてある。断る間に舞台衣装を着せられ、やってられるかと出て行こうとしたところでどう見ても相方らしい衣装を纏ったシグレと鉢合わせた。
――逃げるのか?
訳の分からないことに巻き込まれているのは同じであるはずなのに、シグレはそう言って挑戦的に笑った。
これが神魂の影響であるのは理解していた。
舞台に立ち、観客を満足させるパフォーマンスを魅せれば、この状況から解放されるということも、頭の隅で理解していた。ただそれが、何故『アイドルユニット』というかたちであるのか。何故隣人であるだけのシグレと歌って踊らなければならないのか。そこがどうしても理解に至らなかった。
(全く、神魂というやつは)
そう思いながらも、シグレの言葉に応じる言葉を、征一郎はひとつしか持たない。
――誰が逃げるか
忌々し気に吐き捨てたが、おそらくは運の尽き。
――そう言うと思ったぜ
心底愉快そうに笑うシグレに肩を叩かれ、舞台コンセプトを耳打ちされた。
――ほぼ即興になるが、構わないだろう?
本番まで時間もない状況を打破するには、シグレの案に乗るのが一番成功率が高そうだと判断し、征一郎は腹を括って頷いた。――そうして今、ふたりは光の零れ差す舞台袖に並んで立っている。
主役の登場を待ちかねてか、客席に抑えきれない歓声が響き始めた。
「――Applause」
歌うようにシグレが口にしたその言葉は、『喝采』を意味する英語。それは、このときに臨んで用意したユニット名。
「……悪くない」
「だろう?」
冷静な群青の瞳と、今しも熱く燃え上がりそうな宵闇の瞳が交差する。
渡されていたヘッドセットを装着し、青い薔薇の香と雪の光が乱舞する舞台へと一歩、ふたりがほぼ同時に踏み出した、その瞬間。
客席のざわめきにも紛れて消えそうだったヴァイオリンの音が高く爆ぜた。優しくふわふわと降るばかりだった花と雪が突如として巻き起こった風に吹きあがり、舞台に渦を巻いた。
花と雪の央に、ふたりは立つ。
待ちかねたふたりの登場に、客席が沸いた。
不完全な出来と断じたものの、一度弾いたことで旋律も歌詞も頭に入っている。横で聞いていたシグレもそれは同じであろうと判じ、征一郎は始めの歌詞の一節を低く歌う。
跳ね上がるヴァイオリンの音に反して低く流れる征一郎の声に、シグレの艶やかに通る声が乗る。背中合わせとなったふたりは歌いながら歩を進める。音に合わせ距離を広げて行く。
泰然と、どこか王の風格さえ帯びて歌っていた征一郎の声がシグレの明るさと鮮やかさに半ば強引に手を引かれ、ほんの僅か怒りさえ孕んだように聞こえて、その次の一節。
風が止んだ。
激しく舞っていた雪と花が舞台に惑う。
惑う花に誘われ、ふたりは同時に振り向く。顔を合わせ、視線を合わせ、声を合わせ、花咲くように笑う。歌う。
征一郎と声を重ねながら、シグレは心に呟く。
(……歌は、)
まじないに、少し似ている。
旋律を合わせ、声を合わせて歌うことで、ただそれだけのことで、心でさえ重ね合える気がしてくる。この場に集った人々とひとつの感情を共有しているような気分を覚えさえする。
(もっとも、神嶋は違うだろうが)
たとえば今、こうしてふたりで声を重ねていながらも、彼の考えはきっと別の場所にあるのだろう。
祖父と父譲りの美術知識と審美眼を有する青い瞳に黒い髪の青年は、目の前に立つ蒼い髪に青い瞳の青年の思考をトレースしようとする。
(……ヴァイオリン)
真っ先に浮かんだのはそれで、それだけが彼を表す全てだった。
己が腹を裂き身の内に滾る熱を全てさらけ出そうとするかの如き。
音楽の神に捧げた己が臓腑を更に燃え上がらせようとするかの如き。
征一郎のヴァイオリンの音は、時にそんな風にも聞こえる。最近は、己さえ燃やし尽くそうとする彼の内なる蒼い焔は、己のみを焼くに留まらず、その長身痩躯の外にまで噴き出し周囲を照らし出そうとしているようにも見える。
彼の魂に宿る焔は彼自身の身を響かせるよりもヴァイオリンという別の器を通した方が、きっと遠くまで高くまで響かせることが叶うのだろう。
(ヴァイオリン、か)
客席いっぱいの人々の視線と喝采を集め、その声を思うさま響かせながら、どちらかと言えば衆目を集めたい性を持つシグレは小さく笑う。
人々の喝采を浴びるという、この上なく心地の良い空間に居ながら、今の相棒たる征一郎は、それでもアイドルとして歌い立つことよりもヴァイオリンを弾くことを選ぶのだろう。
(……でも、それは)
アイドルとは別の自己表現方法を選ぼうとしているのは、
(おそらく、俺も同じだ)
歓声と喝采の音して、風が吹き寄せる。花と雪をその身に浴びつつ最後の振りを定め、客席を見つめる。
音が消える。歌が消える。
切り分けられた世界から元の世界へと、帰る。
(さよならだ)
(……とか、思ったのだがな)
スタイリストの女性に着せ付けられた黒紺ストライプのシャツの襟もとを見下ろす。きちんと締められたネクタイを指先でちょっと緩める。
「お、いいねえいいねえ」
カメラを構える男性から弾んだ声を投げかけられ、シグレはちらりと笑って見せた。
「はーい、詰めてー。できるだけ肩近づけ合ってー」
撮影アシスタントの女性に言われるがまま、男子たちはベンチに尻を詰めて腰を下ろす。レフ板とともに向けられる周囲の女性客の視線にも怖じることなく、スタッフからそれぞれに手渡された写真撮影の小道具でもあるアイスクリームを眺めたり口に運んでみたりする。
(また神嶋と一緒か)
星ヶ丘を歩いている途中、雑誌の撮影に参加してみないかと声を掛けられ、暑さをしのげるのであればそれも悪くないとついて行ってみれば、案内された流行りのアイスクリーム店には顔を見知った寝子高男子が何人か。その中には黒のジャケットを着せられいつもと違う風に髪をセットされた征一郎の姿もあった。
(男子×スイーツ×星ヶ丘、か)
勧誘時に聞かされた撮影コンセプトを思い出しながら、渡されたカップ入りのブルーベリーヨーグルトアイスを見下ろす。隣の征一郎が手にしているのは苺シャーベットとバニラアイスの苺ソース。
「一口寄越せ」
「ん」
何気なく言った途端、無造作に口に匙を突っ込まれた。
俺のものもわけてやるから、と自分のカップを差し出しかけた手を宙に浮かせ、シグレは動きを止める。
きゃあ、と撮影風景を野次馬していた女子たちから黄色い悲鳴が上がった。パシャパシャとカメラマンがシャッターを切る音まで聞こえて、シグレは思わず渋い顔になる。
「寄越せとは言ったが」
「違うのか」
シレッとした顔で同じ匙を使う征一郎の様子に、周囲の女子たちからまた歓声じみた悲鳴があがった。
「神嶋、何気にアイドルも性に合ってるかもな」
「……合ってねぇ」
仏頂面で呟く横顔は、意識しているのかしていないのか、女子の目を惹く美しさを擁している。
たぶん無意識だなと鑑みつつ、シグレは冷たく甘いアイスクリームを口に運んだ。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年01月01日
参加申し込みの期限
2019年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年01月08日 11時00分
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