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らっかみ!新春☆初夢宝船フェア! ~富士編~
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鐘が鳴っている。
蜜の黄金から果実の桃色へと色を変える巻き髪をふわりと揺らし、
天宮城 因
は教会の高い天井を仰いだ。
緩やかに弧を描く天井には、残酷な王がこの地を支配するに至った『歴史』が豪奢な色使いで描かれている。
大地の底に眠る魔物と契約し膨大な力を得た王は、見晴るかす限りの土地をその手に納め、その地に住まう人々をも我が物とした。すなわち、
(『結婚する乙女は初夜を王に捧げねばならない』)
この地に迷い込んで時を置かず痩せた住人から聞かされた言葉を思い起こす。途端に反吐が込み上げて、因は艶やかに色づかせた唇を僅かに歪めた。
民が飢えるも構わぬ重税、抵抗するレジスタンスたちへの激しい弾圧。王たる者の所業としてどれもこれもが非道ではあるが、
(なんだかぁ、気に食いませんよねぇ?)
ひとの想いを上から踏みにじる、というのはとてもとても癪に障る。
コツリ、因は高いヒールを鳴らす。誰にも気づかれぬよう、つんと顎をもたげて見せる。
不機嫌に結んだ口元を金の髪に隠し、因は身に纏わせた黒薔薇のドレスの裾を淑やかに引く。居並ぶ兵たちの前を過ぎる。銀色の甲冑に身を包み、銀色の槍を手に身動ぎもせずに立つ兵の下卑た眼が己に注がれていることを感じて、けれど因は敢えて凜と背筋を正した。小柄な身体の爪先の先まで微塵も竦ませず、桃色の瞳を真直ぐに伸ばす。
豪華が過ぎて悪趣味でさえある謁見の間の果てには、緋色の玉座に掛けた悪逆であって尚見た目は偉丈夫の王と、それから。
しなやかな体躯を黒衣に包み、白銀の髪の下の緋色の瞳を物憂げに伏せて佇む、『新郎』の姿。
(うえー)
新郎である
如月 蘇芳
を目にして、因は澄ました顔の裏で心底嫌そうに舌を出して見せる。
(新婦を悪徳の王に奪われる悲劇の新郎、ってところでしょーか)
表向きは淑やかに歩を進めつつ、
(相変わらず嘘がお上手ですねぇ、すおーさん)
裏ではひたすらに『新郎』を罵る。
(まあでも、仕方ありませんよねー)
切り分けられた世界から元の世界に戻るには、世界を統べる魔王と化した王を元に戻さねばならない。そのためには、王を魔王と為さしめた、魔物宿る玉座から引きずり降ろさねばならない。
『王の意志ではなく王を玉座から落とす』。それが魔王を元の優しき王とする唯一の手段。
王の前に立つには、仮初であっても『結婚』のかたちをとることが一番の近道。魔王打倒のための協力を頼み込んできたレジスタンスたちはそう言って必死に頭を下げて来た。
――魔王は美しい男女の結婚をこの上なく妬む。それが故にその結婚には何の嫌疑も差し挟んで来ない
――どうか、どうか貴方がたに魔王を誅する刺客となっていただきたい……!
(仕方ない、……んでしょーか、ねぇ)
レジスタンスを名乗る集団の言葉を心になぞりつつ、因はちらりと唇を尖らせた。
世界を救うことに異存はない。ちょっぴり面倒くさいが無辜の民に崇められる気分はそんなに悪くない。
王を玉座から引きずり落とすことにだって異存はない。こんな世界を作り出した魔王とやらを、何ならドレスの下のヒールで踏み躙ってやるのももしかすると少しゾクゾクするほど楽しいかもしれない。
(それはそれとしてぇ、)
ただ、そのためのパートナーが蘇芳であるということが唯一気にくわない。叶うなら、
(すおーさんなんかじゃなくて、……)
思い浮かんだ人の顔を、瞼を軽く伏せることで追い払う。睫毛を上げ、目前に立つ蘇芳を見遣る。
親が俳優をしているだけあって、顔はいい。腹が立つほど整っている。
(でもでもぉ)
顔を合わせれば悪口雑言を交わすばかりの大嫌いな顔見知りが、澄ました顔で『新郎』の振りをしているのがやっぱり何より気にくわない。
(……やっぱり気にくわなくなってきた、って顔だね)
愛する新婦を目の前で奪われることが確定している新郎。与えられた役どころはそれだった。役を割り振られたからには演じ通してみせようと殊勝な顔をしていたものの、ふと見た『新婦』の顔色に変化を読み取り、蘇芳は心中で舌打ちをする。
(所詮付け焼刃だね、因君)
このままでは計画が破綻しかねない。
本当は、結婚の誓いの後に因が魔王の胸に寄り添い、その瞬間に隠し持った刃を振るう段取りのはずだった。それを機に城の周囲に潜むレジスタンスたちが謁見の間に雪崩れ込み制圧を完了とするつもりだった。
(我儘は許さないよ)
己に対する因の嫌悪で計画を台無しにするわけにはいかない。
(それはレジスタンスの皆に申し開きができない)
それよりなにより、己の矜持に関わる。
新郎と新婦が向き合う。新郎が新婦に手を伸ばす。
新郎の手を新婦が取り、王から手向けられるおぞましい祝福の辞に頭を垂れる、が計画の流れではあるが、――
新婦である因が挑発的に瞬く。艶やかに色づけた唇が小悪魔じみて薄く開いた、その瞬間。
伸ばした手を更に伸ばし、蘇芳は因の黒レースに包まれた指を掴んだ。華奢な手をそのまま胸に引き寄せる。
「なっ……」
薄紅の瞳と真紅の瞳が交差する。
「離――」
役を忘れて激昂しかける因の唇に、蘇芳は手袋の人差し指を押し付けた。一瞬のうちに『新婦』としての役割を思い出して黙する因に仄かに笑み、蘇芳はまるでダンスを乞うように因の足元に片膝をつく。
「そのまま這い蹲って床でも舐めたらいいんじゃないですかぁ?」
睦言を囁く甘い声で、蘇芳にしか聞こえない絶妙な小声の罵声を投げかけて来る因に、蘇芳は白銀の睫毛をもたげる。
物凄いような上目遣いで見られ、因は唇を結んで黙した。
「ガータートスに見せかける」
囁く蘇芳に求められるまま、ドレスの裾をたくし上げる。
ヒールを履くには細すぎるほどに華奢な足首が重なる衣の奥から現れる。子鹿のようにしなかやな脛を覆うは黒レースのストッキング。これでもかとばかり大胆に引き上げたスカートのレースの下から、青い薔薇のストッキングガーターが顔を出す。
何を、と色めき立つ兵士たちに、蘇芳は一度立ち上がり、恐ろしく優雅に一礼してみせる。その仕草ひとつで兵士たちの動きを留める。
「これよりお見せ致しますは、遥けき我らが祖国である異国の風習。どうかほんのひととき、ご照覧あれ……!」
ストッキングの際、眩しくも艶めかしい腿の白さを目にしたせいか、誰かず小さく息を呑む声が静寂の謁見の間に思いがけず響いた。それはその場に控える儀仗兵の誰かか、それとも玉座にて待つ好色な魔王か。
その場の全員の視線を集め、蘇芳は演劇の主役のように甘く悲しく笑う。そうして再び因の前に恭しく跪く。
指先のひとつにまで神経を行き渡らせ、触れるか触れないかの仕草で因の左脚に手を添える。白い腿に唇を近づけ、青い薔薇を縫い付けたガーターをくわえてゆっくりとずらして行く。
視界の端、くすぐったそうに笑みを噛み殺す因の口元が見えた。
――うふふ、跪くすおーさんの無様で滑稽なことと言ったら!
因の減らず口が容易く浮かんで、蘇芳は小さな吐息を零す。腿にキスの痕を残せば、びくり、細い脚が口づけの痛みに震えた。
(無知な因君は知らないだろうけど)
腿へのキスは支配のしるし。
因への密かな嫌がらせのためにキスの痕を残し、ガーターを抜き取る。スカートの裾を下ろし、腿へのキスの意味に悩んで小首を傾げる因から一歩離れる。
周囲の儀仗兵に気づかれぬよう、ガーターに結いつけられた青い薔薇を抜き取る。西洋の結婚式におけるガータートスの習慣に倣って大きく振りかぶり、たとえば決闘を申し込むかの如く速く鋭く、薔薇のかたちした刃を王に向け投擲する。
渾身の力で以て投げた刃は、けれど魔王の頬を掠めるに終わった。
「っ……」
魔王が玉座より立ち上がる。僅かによろめき、玉座の肘置きを掴んで堪え、なにごとかを喚く。儀仗兵たちがわらわらと蘇芳に群がる。
「ああっ……」
悩まし気な声を上げ、因が蘇芳のもとから逃げるように駆けた。向かうは魔王の胸のもと。
「お助けください、因は大嫌いなあいつに……」
躊躇いもせずに魔王の胸にしなだれ縋る。儚げな泣き顔さえ見せる。
咄嗟に因を抱き止める魔王の逞しい腕に、
「なんて、ね?」
因は右腿から取ったガーター仕立ての薔薇の針を滑り込ませた。
「まあ、大嫌いなあいつっていうのはホントですけどぉ」
針には眠りの毒が仕込まれている。
大男をして昏倒させる眠り薬を二刺しその身に受け、魔王はその場に声もなく伏した。
魔物の宿る玉座から引きずり降ろされ、眠りの毒を受けて倒れ伏した魔王を目にして、蘇芳を引き倒そうとしていた儀仗兵たちの動きが止まる。
わああっ、と城を囲んでレジスタンスたちの鬨の声が響いたのは、その時だった。
「おそーい」
因はぷっと頬を膨らませる。
「というか、玉座から落とすだけでいいなんて、甘いんじゃないですかぁ? それで元の王様に戻るんでしょーけどぉ、このひと、酷いことばっかりしてたんでしょう?」
魔物に取りつかれた結果とは言え人民を虐げ続けた男を睥睨し、豪華な王のマントを今にもヒールで踏もうとしながら、因は低く呟く。
「別に、いいんじゃないかな」
肩を掴んでいた儀仗兵の手を払いのけ、蘇芳はさして興味もなさそうに首を横に振った。大股に因の傍に歩み寄り、玉座より落ちて伏す王の身体の上に手にしたままだったガーターベルトを投げ捨てる。
「俺達にはもう関係ないことだしね」
「わ、すおーさんってば冷血ですぅ」
「そう? 躊躇いもなく人を刺せる因君の方がよっぽどだと思うけど」
「ただ単にこのおじさんを眠らせただけですぅ、そもそもすおーさんが失敗したから可愛い因が身体張らなきゃいけなかったんじゃないですかぁ!」
「元々は因君の役割だったはずだよ。途中で役を投げようとしたよね?」
白い頬を膨らませ、兎じみて地団駄を踏む因を面白くもなさそうに眺めて後、蘇芳は周囲を見回す。魔王の打倒は叶った。そろそろ元の寝子島への帰還も始まる頃合いだろう。
「面白くもない世界だったけど」
平淡な声で呟き、蘇芳はこの地の住民たちに着せ掛けられた花婿衣装を見下ろす。
「衣装のセンスはすごく良いよね」
「……癪ですけど、とっても同感ですぅ」
ドレスの裾を持ってくるりと回る因も、そこは同じだったらしい。
(さすが因君、キスの意味は感づかないまま、かな?)
(あのキスってばすおーさんのことだから碌でもない意味っぽいんですよねぇ)
儚い夢のような世界の中で、短く、本当に短く、内心を表に出さないふたりは笑み交わす。
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3人まで
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オールジャンル
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10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年01月01日
参加申し込みの期限
2019年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年01月08日 11時00分
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