携帯戦記カプセルギア　社会見学！ここがギアの生まれた場所｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　社会見学！ここがギアの生まれた場所

●オフィス見学(2)

　ラボで、ヒミツの作戦が開始されようとしている頃、オフィス見学グループでは青山さんのお話が続いていました。
　と、そのときです。
「おや、青山さん。お疲れ様です」
「あ、社長。撮影は終わったんですか？」
　青山さんと、彼女に質問を続ける奈々美さん、白燕さん、蒼さん達のもとに、一つ仕事が片付いたらしいアイコーさんがやってきます。
「社長。お疲れ様です！　と、ここで、ギアを愛する子供達に何か一言！」
　そこで抜け目なく突撃取材をかける奈々美さんに、青山さんも思わず苦笑。
「おやおや、最近の子供達は本当に元気ですね。そうですね。では、一言だけ」
　そう言うと、アイコーさんはこほんと一つ咳ばらいをして、思いのほかよく通る声で言います。
「どうか自分のカプギアを大切にしてあげてください。そうすれば、きっとギアもあなたを大切にしてくれます」
　それは、静かな、だけど、そこにいる全員の心に、柔らかく沁み込んでくるような声でした。
「……うむ！　サンゴクナイトは父が私にくれた大切な友達だ！　必ず大事にするぞ！」
　と、白燕さんは熱のこもった声でいいます。

「私にとっても、Diablo Azulは大事な相棒よ。ゲームはプレイヤーとキャラの心が繋がってなきゃつまらないもの」

　蒼さんもゲーマーならではのコメントを添えて、うんうんと頷きます。
「勇樹も、ジャッジメントは大事にしとったで。自分の分身みたいに思ってるんちゃうかな。アイツやったら、もっと中学生っぽい言い回しするんやろうけど」
　と、奈々美さんも幼馴染とそのギアの姿を思い浮かべてにゃははと笑います。
　次の瞬間、スタッフのみなさんから、自然と拍手が起こり、なにやらちょっとしたパーティー会場のような空気にオフィスがつつまれます。
「……社長。やっぱり社長って社長だったんですね」
　と、青山さんはどこか感心したような、驚いたような表情。
「ふふ。さて、そろそろ私は行きますよ。今日はもう一つ大事な仕事が控えていますのでね」
　そう言って、社長はオフィスを通り抜けて、テストバトル場やラボのある方向へ歩いていきます。
「あ、アイコーさん。企画部の見学とかって……」
　と、蒼さんがそんな社長の背中に慌てて駄目押しの声を投げかけます。
　すると、
「ふふふ。では、青山さんの話が終わったら、テストバトル場に行ってみるといいですよ。何か面白いものが見られるかもしれません」
　と、社長は意味深な笑みを浮かべます。
「社長」
　青山さんは、それ以上の言葉を制するように、短く社長に声をかけます。
「おっと、いけません。長話が過ぎたようです。では、失礼します。ふふふ。腕が鳴りますね♪」
　青山さんに促されて、そのまま社長は鼻歌混じりにオフィスを去って行きました。まるでこれから何か身体でも動かすようなことを思わせる台詞を残して。
「もう社長ったら……」
　と、深くため息を吐く青山さん。それにオフィスの人達も苦笑い。どうやらこれも愛光堂ではよく見られる光景なのかもしれません。
「にゃははは。なんやわかりやすい意味深な台詞を残して行きはったなー。青山さん、なんか知ってるんとちゃいます？」
「あはは。それを言っちゃうと、あとで社長に怒られちゃうから」
　青山さんはお茶を濁しつつ、
「あ、そうだ。おやつにどう？」
　と、またたびメイトを取り出します。
「うちの社員、みんなこれが大好きで、まとめて注文したりするのも私の仕事なの」
「はあ。今日び食べ物でつられる小中学生なんか、あ、一人おったわ……」
　と、以前に突撃取材をかけた誰かのことを思い出しつつ、ありがたく頂く奈々美さん。
「あ、私も頂きます。ゲームにハマってるときの栄養補給にいいのよね、これ」
「社員のおやつの買いつけまでやらねばならぬとは……。本当に広報とは大変な仕事なのだな……」
　白燕さん、蒼さんもあえて釣られてあげる感じでまたたびメイトに手を伸ばします。
　そして、その後は、できたてのＣＭ映像を観たりしながらなごやかに見学は進んでいきました。