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喜雨に濡れ
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【雨と、相棒。】
「まーそんな気はしてたんですよねー」
「おう」
屋敷野 梢
のなかばぼやきにも似たつぶやきに、相棒、
如月 庚
はそっけないお返事。
「雨の匂いってゆーんですか? ペトリコールって言うらしいですね、あの匂い。そして今日はもームワッとあったかくなりましたし、これは来る! と思ったんですよねー」
「おう」
つまりは、雨です。目の前でザーザー降りのどしゃ降りなコレです。
梢によると、唐突な夕立のほとんどは科学的根拠に基づく説明を用いて予測が可能……とのことですけれど。
分かってるなら先に言えよ! そしたら傘持ってきたのによー。などと、庚はツッコんだりはしません。なぜなら彼は今、それよりも憂慮すべき一大事に直面しているからです。いまいちハタ目にそーは見えませんでしたけれど。
いつものふたりで今日もまた出かけることとなったそのきっかけは、果たしてなんだったでしょうか。庚が梢をランチにでも誘ったのだったか。あるいは逆に、梢が庚を、なにかしら理由をつけて引っ張り出したのだったかも。
どちらにしても、出先でうっかり夕立に降られ、ほうぼうの体で雨宿りのできる神社の境内へ逃げ込んだ……というのが事の全てです。
つまるところありていに言いまして、ふたりは全身ぐっしょり、濡れ濡れのスッケスケでありました。おかげでさっきから、庚がなんにもないあらぬ方向へ遠く視線を投げたままなのは、濡れスケ状態な相棒から目を引き離そうとしてのことなのでした。
「? さっきから如月くん、なに見てるんです?」
「おう。あ? いんや、別に。なにもねぇよ」
庚は言葉をぐっとこらえ、飲みこみました。言えるはずもありません……『おめぇ、黒はまだ早いんじゃねぇの?』などとは決して。
濡れたブラウスやスケートに透ける梢のこだわりからはあえて目をそらし、庚は虚空を見つめてやりすごそーという算段です。
さりとてなにかすることがあるでもなし。庚の口からは、こんなのが飛び出しました。
「雨ふらば 神の社にやどりつつ 他愛なき事 ひとつやふたつ……」
「唐突に、なんですかそれ? 麻呂ごっこですか?」
マロごっこ? 不思議な感想に、ついつい視線を彼女の横顔へと流すと、ぱちり。目が合いました。
「ふふっ。髪の毛ワカメみたいになってますよ、如月くん」
ヘンなの! と笑う相棒は、ずいぶんとご機嫌に見えました。
雨はそんなに、イヤではないようです。梢は言いました。
「突然雨に閉じ込められたら、なんだかちょっと、ワクワクしません?」
「そういうもんかね」
「そういうもんですよ。急に鳴り止む虫の音。葉に落ちる雨音。植物たちは慌ただしく騒ぎ始めて、代わりに動物たちや人間は、こんなふうに物陰で身を縮めて」
なんだかまるで、諳んじているかのよう。途中でそうとは気づいたものの、梢はそれを気恥ずかしく思うでもなく、ついと肩をすくめて見せたのみ。
庚がふと、七分丈の青いYシャツを豪快にすぱんと脱ぎ去り、ぎゅっと絞ります。滝のように雫が落ちて、境内の石畳を叩きました。続けてシャツの裾をつかみ、力いっぱい振ってみると、パァン! 軽やかな音色が神社の空気へ凛と響きました。
さすがにこんな時は男らしいものだと、梢は相棒のそんな姿にひとつ感心してみたり。
真似してブラウスの裾を絞ってみても、ちょろちょろとわずかに雫がにじんだのみで、おまけに裾がシワシワになってしまったので、すぐにやめておきました。
そうして他愛のないやりとりを交わしたり。あるいは互いに黙したまま、ただただ雨どいから垂れ落ちる雫を目で追ってみたり。そんなゆったりとした時間が、しばし続いた後。
ざあざあ降りはしとしと小雨となり、やがて夕立も遠くの空へと去っていき。
「ほらよ」
「わぷ」
にわかに見えた晴れ間の下へ立った庚が投げてよこしたのは、先ほどまで彼自身が羽織っていた、あのYシャツです。
「羽織るなりなんなりしろよ。さすがに黒を大衆にさらすのは忍びねぇ」
くるりとそっぽを向いて、背中で語られたそんな言葉。
梢は思わず、噴き出してしまいました。
「なーんだ。せっかく気づかない振りしてあげてたのに、自白しちゃうんですねー」
「いーから、晴れたしもう降りようぜ。着替えて出直しだ。メシでも食おうや」
「そーですね。ま、突然の雨でしたし、不可抗力ということで許してあげますか。ねえ如月くん?」
「おお、虹が出てやがる。なんだよ、夕立ってのも存外悪くねぇ」
「はーい、ごまかさないでくださーい」
ひらひらと手を振り先を歩き始めた庚へ、梢も続きます。
肩へ羽織ったシャツはぶかぶかで、サイズなんてもちろんちっとも合ってませんけれど。庚のパワーで水滴を絞り尽くされた後のそれは、思いのほかさらさらとして手触りもよく、
「ふふ。ありがとうございます」
不器用で無骨な相棒へ述べたお礼の言葉は、どこかふわふわ、弾んで聞こえました。
雨をきっかけに生み落とされる物語は、世の中案外多いようです。
雨から逃れ、雨に追い立てられ、あるいは雨に飛び込むことで、人々は出会い、束の間に触れあい、時としていつもと違った表情を見せるのです。
今日の雨もまた、寝子島へとさまざまな感情を運んできたことでしょう。
さて。あなたは雨に、なにを想うでしょうか?
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。『喜雨に濡れ』のリアクションをお届けいたします。
今回は、もうずいぶんと前に執筆させていただいた、『秋雨に濡れ』の流れをくむお話ということになりました。
雨と人との組み合わせは、その人の内面に迫りやすい気がするんですね。雨によってふと足を止めて、時間が停滞したときに、自然と意識が内面へ向きやすくなるというか。
おかげさまで今回も、皆さんの素敵な一面、いつもと違った一面を、しっとりと描かせていただくことができたと思います。
また機会があれば、第三弾も考えたいところですね。その際はぜひ、雨に濡れて少し素直になった皆さんの心の一端を、墨谷に描写させていただけましたら、幸せです。
それでは、今回もご参加いただきまして、まことにありがとうございました!
また次の機会にもお目にかかれますことを、心よりお待ちしております~。
お疲れさまでしたー!
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
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NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年12月11日
参加申し込みの期限
2018年12月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年12月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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