寝子島全島水着デー｜リアクション

寝子島全島水着デー

「一週間いないだけで、この島はいろいろ起こるのね」
　突然の全島水着デーに困惑したのは一瞬のこと。
　深林真瞭はすぐに、ご機嫌で、自らの滑らかな肌に、日焼け止めを塗り始めた。
　無意識に歌ってしまう鼻歌は、最近のツアーで演奏した曲である。

「さて、水着は……これがいいわね」
　選んだのは、黒いタイサイドビキニ。
　白い肌と、ストレートな黒髪によく似合う。手首と胸元にシンプルなアクセサリーを身につけて、足元はウェッジサンダルをはいた。

「まるでリゾート地みたいね」
　道行く水着姿の人々を眺めつつ、真瞭は、のんびりと星ヶ丘の街を散策した。
　歩く若い子の中に、ずいぶん大胆な水着を着た子がいて、驚く。

「あっ……あの子、かわいいけれど男の子なのね。胸が……」
　かと思えば、ビキニ姿の少女が、年上の男の人と相合傘をしていたり。
「ふふ、和むわね」
　と、役所の広報車から、町長と、白ビキニを着た女性が出てきた。
「あの着こなし、シンプルだけど、健康的な感じによく似合っているわ」

　やっぱり自分の長所を生かすことが大事よね、と、頷きながら。
　真瞭は時折、見慣れた街並みをバックに、自撮りをした。
「よく撮れたわ。これをニャンスタに投稿してっと……」
　と、スマホを操作し始めたところで、ふと気づけば、足元に白い猫。

「あっ……と、猫ちゃん、踏んじゃうわ！」
　真瞭はとっさに、猫から離れようとした。しかしスマホを落としかけ、慌てたせいで、体がぐらり。
　――そこに。

「……気をつけて」
　手を伸ばしてきてくれたのが、大胆セクシービキニを着た、島岡雪乃だった。
「あ、ありがとうございます」
「いえ、あっ、差し出がましいことをしましたか」
「そんなことないです、たすかりました！」

　さすがに水着姿で転んだら、怪我をしてしまうかもしれない。
　万が一にも手や指を傷つけてしまったら、大変なことだ。
　雪乃は安心したように笑い、真瞭の手を取って、真っすぐに立たせた。
　その大きな胸が、たわわん☆と揺れる。

「……なんか、絵になりますね！」
「えっ、あっ、そうです、か？　こんな感じで？」
　雪乃は街並みをバックにきらりん☆とポーズをきめる。
「そう、いいですね！」
　真瞭が、持っていたスマホでパシャリ。

「あなたみたいな素敵な人に言われたら、恥ずかしいです……私も、お写真とっていいですか？」
「ええ、もちろん！」

　なにせ今日の寝子島はリゾート状態。
　ふたりは、トロピカルなアイスを食べたり、ウィンドウショッピングを楽しんだりしつつ、互いのセクシーショットを撮りあったのだった。