寝子島全島水着デー｜リアクション

寝子島全島水着デー

「やめてください……！」
「そんなことを言っても、お嬢さんのおっぱいは嫌がってませんぜ」
「ほら、水着に、いい子でおさまった」
「そんな！　……溢れて、ます」
　宮祀智瑜は真っ赤な顔でうつむいた。
　しかし全島水着デー普及振興委員会なる人達は、「ははは、お似合いですよ！」と去っていく。

「今日はワンピース着てたのに……！」
　智瑜は、自分の体を抱きしめるように、身をよじった。
　胸から腕を離すことはできない。
　少し動けば、豊満ぱいがすぐにでも、ぽろりとしてしまいそうなのだ。

　とはいえ、このままうつむいて、道に立っているわけにはいかない。
　ふと顔を上げると。
「あっ、義弘先生！」

　多くの人が水着を着ている今日ではある。
　しかし桐島義弘の程よい筋肉は、智瑜の目には際立って見えた。
　智瑜は、先生に向かって走り出す……が。

「きゃっ！」
　嬉しさに急いだからか、足がもつれて、体が自然に前傾姿勢
　条件反射で胸から手を離し、バランスをとろうとする、と。
「宮祀！」
　先生が、智瑜を支えようと腕を伸ばしてくれた。
　その中に、ぽすりとおさまる智瑜の体。
　が、おっきなやわらかおっぱいが、小さな三角布地からこぼれて、ぽろり。
　しかもそれは、しっかりばっちり、桐島先生の腕にキャッチされ……。

「み、見えちゃいました？」
　智瑜は、上目遣いで桐島先生を見上げた。
　そのとき胸を押さえていた手がゆるみ、薄手のビキニが、ひらりと風に。
「あっ！」

　智瑜は、木に引っかかった水着を目で追った。
　あれをとるためには、腕を上げなくてはいけない、けれど。
（そんなことしたら、先生におっぱい見えちゃう。それならいっそ）

「……先生、水着、とってくれませんか？」
　智瑜は、首を傾げて、先生を見上げた。
　頬は羞恥ゆえの桜色。唇は若者らしく、ぷるんと潤うつやピンク。

「まったく……そんな水着を着ているからだ」
　長身の桐島先生は、あっさり智瑜のビキニをとってくれた。
　水着姿、上半身裸の先生の、背中の筋肉がぐっと動く。
（やっぱりかっこいい……）

　差し出されたビキニを受け取った智瑜は、先生に背を向け、身につけた。
　しかし。
「ありがとうございま……あっ！」
　振り返りお礼を言おうとしたところで、つまづき、また、ぽろり。

「見ちゃダメですよ」
「それなら、何回もぽろぽろするんじゃない。ほら、背中を向けなさい」

　ホックをとめてくれる先生の指先が、智瑜の背中に、触れる。
　それだけで、智瑜の胸はどきどき、壊れそう。
　でも、こんな迷惑をかけてしまって申し訳なく――。

「……先生、どうやったらおっぱい大きくならないんでしょうか……」
　そう、呟いた智瑜の耳には。
「いいんじゃないか、大きくなっても」
　桐島先生の、そんな言葉が届いたのだった。

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