寝子島全島水着デー｜リアクション

寝子島全島水着デー

　さっきから汗が止まらない。
　それもそのはず、八神修は炎天下、自転車にのって、図書館に向かう途中であった。
　町長が水着デーを呼びかけているのは知っていたが、普段通りの服である。
「やっぱり、日常で水着というのは、ちょっとな……」

　しかし、その真面目ささえも打ち砕くのが、全島水着デー普及振興委員会だ。
「そこの青少年！　水着に着替えなさい！　いいのがあるよ～君の体が映えるやつ！」
「あっ……なんだ、やめっ……！」
　抵抗むなしく、修はあれよあれよと、水着に着替えさせられてしまった。

　ビキニタイプ、てかてか紫のローライズ。
　屈んだら多分ワレメが見える。自転車乗ったら、絶対アウトだ。

　とはいえ、委員会の人は去ってしまったし、愛車を放置するわけにはいかない。
　修はハンドルを握った。
　――と。

「修君！」
　たたた、と小走りで、七夜あおいがやって来た。
　太ももまでが隠れるパーカーの裾から、白い素足が伸びている。
（あおいも水着を……？）
　そう思った瞬間に、あおいはばさっ！　と、純白パーカーから腕を抜き、そのままふわり、修の背にかけてくれた。
「さっき、変な人達に、無理矢理、派手な水着に着替えさせられている人を見たわ。修君もそうでしょ？」

（……女神さまがいる……）
　真面目な修ではある。
　が、そのとき、水色のモノキニビキニを着たあおいには、後光が射して見えたという。

　これで臀部が露出する心配はクリアした。
　そうなれば、多少は余裕も出てくるというもの。

「可愛い水着だね、それ」
「ありがとう。この前、友達と買いに行ったの」
　自転車を引いて歩きつつ、いつもどおりの会話をする修とあおい。
　とはいえ、水着姿のあおいに、修の心臓はどっきどきだ。

「修君、顔が赤いけど、大丈夫？」
「あっ、ああ、暑いからかな」
「そうだよね。水着で過ごさなくちゃいけないくらいだもんね」
　あおいはふっと空を見上げた。
　その横顔に目を奪われ、修は思わず、こう口にする。

「このまま、海に行かないか？」
「いいね。海水浴日和！」

　破顔したあおいと一緒に、海へ向かう。
　海岸は人であふれていたが、二人でいれば、どこでも楽しい。

「修君、暑いんだよね。水かけてあげる……えいっ！」
「やったな～！」
　ウエスト辺りまで海に入って、ばしゃばしゃ水をかけっこする。
　しかし、夢中になるうち――。

「あっ！」
「あおいっ！」
　バランスを崩し、前に倒れるあおいに向けて、修は両腕を伸ばした。
　が、支え切れず。手を握ったまま、二人は揃って、海の中。

「ぷはっ！」
「ふふ、修君、びしょびしょ」
「あおいもだろ」

　髪から、顎から、水を垂らして。修とあおいは、声をたてて笑ったのだった。

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あとがき

担当マスター：瀬田一稀
ファンレターはマスターページから！

こんにちは、瀬田です。
この度は、ポロリシナリオ……もとい、水着デーシナリオにご参加くださり、ありがとうございました。

寝子島のみなさん、ノリが良くて素敵ですね！
部屋のリアル寒さに手をかじかませながら、真夏の水着描写、とても楽しかったです。

いっつもエロコメばっかり書いてますが、エロコメ大好きです。ええとても！
PLのみなさんも、楽しんでいただけたら幸いです。

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