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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
職業体験に潜む罠
「こんにちは、アクセサリーショップの水上です」
アクセサリーショップの窓ガラス越しに見えていたのは、ペットたちの室内遊技場の一部だったようで、奥には昼寝をしている子、元気に駆け回っている子と様々だ。
ちょうどアクセサリーショップと反対側には、トリミング施設も見える。カットが終わり気分が良いのか、ふわもこな毛並みを揺らして――いや、違う。ふわもこな泡だ。泡をまき散らしながら、猫と思しき動物がこちらへ一直線に向かってくる。
「わああっ！ まだ終わってないよ、戻ってー！」
追いかけてくる七夜 あおいは、エプロンや髪を泡だらけにしている。
どうやら、相当にシャンプーが嫌いな子のようで、苦労の跡がその様子から想像できた。慌てて桜は捕まえる手伝いをしようと手を広げるが、猫は桜を見るやいなや直角に曲がるように逃げ出した。
「恵御納さん、お願い！」
「う、うん……！」
あおいが助けを求めたのは、同じクラスの夏朝だ。
しかし、反射的に快い返事をした夏朝は、返事をしたは良いものの、どのように捕まえるか悩んでいた。
猫は真っすぐ走ってはいるが、人を認識すると直角に曲がり再び脱兎のごとく逃げ出してしまう。正面から捕まえに行くのは無理――なら、玩具で気を引くのはどうだ？
「真っすぐ……玩具……それなら、あれだ！」
猫が大好きな筒状の玩具にノックをし、中でまったりしていた子に謝りつつ出て行ってもらうと、夏朝は猫が曲がってくるであろう先を予測して、その筒を置いた。
人を避け、あんなに必死に逃げる猫がこんな筒でどうにかなるのかとも思うが、猫であるなら可能性はある。
「にゃにゃにゃにゃっ、にゃぁああ！」
まるで威嚇のような鳴き声をあげて、今まで逃げまどっていた猫が、いとも簡単にすっぽりと筒に収まった。
しかも、ハマったまま動かず、まったり寛ぎはじめている。
筒状の空き箱を置いておくと、勢いよく突っ込んでいくというのは本当だった。
「やったー！ ありがとう、恵御納さん」
「ううん……お役に、たてたのなら」
あおいが猫を驚かさないように静かに運んでいく様子を見て、夏朝はホッと息を吐く。
本当に捕まえることが出来たのだと実感が後から湧いてきて、戦いが激化する前に済んで良かったと心底安心した。
（ごめんね、君達や君達の大切な人達がよりよく過ごす為だから……！）
広場の監督業務が終われば、次は自分がシャンプーや爪切りに呼ばれるかもしれない。
あんな風に逃げ出されやしないかと、夏朝はほんの少し緊張していた。
「凄い作戦だったね。私なんて簡単に逃げられちゃったのに」
「……猫は、細い所が好きだから」
褒められたことに戸惑いつつ、夏朝は桜をじっと見る。
シッターに配属されている人は、猫や犬といった動物が描かれた名札をエプロンにつけている。同じような名札もエプロンも身に着けてないようだが、どの子かを迎えに来たお客様だろうか。
猫さん達の世話だけでなく、接客もきちんとしなければと、夏朝はますます緊張してしまう。
「急にごめんね。隣のアクセサリーショップから来ました、水上です。ショーに出演する子のアクセサリーを届けに来たんだけれど、担当の人はご存知ですか？」
猫のシャンプー脱走で一緒に走り回っていたせいでひっくり返っていたネックストラップの名札を正し、桜は改めて挨拶を行う。
宝石の絵に名前が書かれており、隣の店の人だったのかと夏朝は少しだけ緊張を解いた。
「それなら、僕が受け取ろう。ルディ……ショーに出演する猫さん達の身支度は体験生に任せられているんだ」
「サイズ調整が必要であれば、私が承るので、言ってくださいね！」
同じ体験生同士頑張ろう。そう笑いあって和やかな雰囲気なのに、ルディを呼んでみれば唸り声をあげている。
「何か、犬が嫌がりそうな物を持ってたかな……？」
犬は、時折空気を読んでいるかのように、すり寄ってきたり吠えたりする。その吠え方が、まるで何かを知らせるようで、桜は心当たりもなくポケットを確認するが、ごく普通のペンと最低限の貴重品。それから――
「わっ!?」
白い封筒を手に取った時、ルディは勢いよく桜に飛び掛かった。
香水の匂いが嫌いなのか、爪で引き裂こうというように前脚を振りかざし、吠えている。
「ルディ落ち着いて、破っちゃダメだ」
「これは大事な注文書なの。お願いルディ、やめて！」
二人の呼びかけも空しく、真っ白だった封筒はもみくちゃになり、中身が露わになってきた。
「……まって。これは、本当に注文書？」
桜はルディに負けじと封筒に手を伸ばし、なんとか取り返す。無事を確認するために中身を改めると、それは注文書ではなかった。
――人形が踊りだす頃、王の証を頂きにまいります。 怪盗Weiβ――
アクセサリーショップの窓ガラス越しに見えていたのは、ペットたちの室内遊技場の一部だったようで、奥には昼寝をしている子、元気に駆け回っている子と様々だ。
ちょうどアクセサリーショップと反対側には、トリミング施設も見える。カットが終わり気分が良いのか、ふわもこな毛並みを揺らして――いや、違う。ふわもこな泡だ。泡をまき散らしながら、猫と思しき動物がこちらへ一直線に向かってくる。
「わああっ！ まだ終わってないよ、戻ってー！」
追いかけてくる七夜 あおいは、エプロンや髪を泡だらけにしている。
どうやら、相当にシャンプーが嫌いな子のようで、苦労の跡がその様子から想像できた。慌てて桜は捕まえる手伝いをしようと手を広げるが、猫は桜を見るやいなや直角に曲がるように逃げ出した。
「恵御納さん、お願い！」
「う、うん……！」
あおいが助けを求めたのは、同じクラスの夏朝だ。
しかし、反射的に快い返事をした夏朝は、返事をしたは良いものの、どのように捕まえるか悩んでいた。
猫は真っすぐ走ってはいるが、人を認識すると直角に曲がり再び脱兎のごとく逃げ出してしまう。正面から捕まえに行くのは無理――なら、玩具で気を引くのはどうだ？
「真っすぐ……玩具……それなら、あれだ！」
猫が大好きな筒状の玩具にノックをし、中でまったりしていた子に謝りつつ出て行ってもらうと、夏朝は猫が曲がってくるであろう先を予測して、その筒を置いた。
人を避け、あんなに必死に逃げる猫がこんな筒でどうにかなるのかとも思うが、猫であるなら可能性はある。
「にゃにゃにゃにゃっ、にゃぁああ！」
まるで威嚇のような鳴き声をあげて、今まで逃げまどっていた猫が、いとも簡単にすっぽりと筒に収まった。
しかも、ハマったまま動かず、まったり寛ぎはじめている。
筒状の空き箱を置いておくと、勢いよく突っ込んでいくというのは本当だった。
「やったー！ ありがとう、恵御納さん」
「ううん……お役に、たてたのなら」
あおいが猫を驚かさないように静かに運んでいく様子を見て、夏朝はホッと息を吐く。
本当に捕まえることが出来たのだと実感が後から湧いてきて、戦いが激化する前に済んで良かったと心底安心した。
（ごめんね、君達や君達の大切な人達がよりよく過ごす為だから……！）
広場の監督業務が終われば、次は自分がシャンプーや爪切りに呼ばれるかもしれない。
あんな風に逃げ出されやしないかと、夏朝はほんの少し緊張していた。
「凄い作戦だったね。私なんて簡単に逃げられちゃったのに」
「……猫は、細い所が好きだから」
褒められたことに戸惑いつつ、夏朝は桜をじっと見る。
シッターに配属されている人は、猫や犬といった動物が描かれた名札をエプロンにつけている。同じような名札もエプロンも身に着けてないようだが、どの子かを迎えに来たお客様だろうか。
猫さん達の世話だけでなく、接客もきちんとしなければと、夏朝はますます緊張してしまう。
「急にごめんね。隣のアクセサリーショップから来ました、水上です。ショーに出演する子のアクセサリーを届けに来たんだけれど、担当の人はご存知ですか？」
猫のシャンプー脱走で一緒に走り回っていたせいでひっくり返っていたネックストラップの名札を正し、桜は改めて挨拶を行う。
宝石の絵に名前が書かれており、隣の店の人だったのかと夏朝は少しだけ緊張を解いた。
「それなら、僕が受け取ろう。ルディ……ショーに出演する猫さん達の身支度は体験生に任せられているんだ」
「サイズ調整が必要であれば、私が承るので、言ってくださいね！」
同じ体験生同士頑張ろう。そう笑いあって和やかな雰囲気なのに、ルディを呼んでみれば唸り声をあげている。
「何か、犬が嫌がりそうな物を持ってたかな……？」
犬は、時折空気を読んでいるかのように、すり寄ってきたり吠えたりする。その吠え方が、まるで何かを知らせるようで、桜は心当たりもなくポケットを確認するが、ごく普通のペンと最低限の貴重品。それから――
「わっ!?」
白い封筒を手に取った時、ルディは勢いよく桜に飛び掛かった。
香水の匂いが嫌いなのか、爪で引き裂こうというように前脚を振りかざし、吠えている。
「ルディ落ち着いて、破っちゃダメだ」
「これは大事な注文書なの。お願いルディ、やめて！」
二人の呼びかけも空しく、真っ白だった封筒はもみくちゃになり、中身が露わになってきた。
「……まって。これは、本当に注文書？」
桜はルディに負けじと封筒に手を伸ばし、なんとか取り返す。無事を確認するために中身を改めると、それは注文書ではなかった。
――人形が踊りだす頃、王の証を頂きにまいります。 怪盗Weiβ――
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2018年11月14日
- 参加申し込みの期限
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- 2018年11月21日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年11月21日 11時00分
