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「あ、寝ちゃってましたー?」
2時間後。
屋敷野 梢
が蔵を空けて中の様子をうかがうと、中では椅子に座ったままの天利がハッとした様子でこちらを見ているところだった。
「……ああ。どうもそのようだな……今何時だ」
梢が腕時計の時間を教えてやると、天利は軽く頭を振って立ち上がった。
「2時間ほど寝てたか……」
「そうみたいですねー、はい」
「?」
梢が明けた扉から外の光が差し込んできて、眩しい。差し出されたのは市販の滋養強壮ドリンクだ。
「おじーちゃんのですけど、よければどうぞー」
「……悪いな」
天利はそのドリンクを一気に飲み干した。空のビンを梢に返す。
「私はそろそろ買い物に行きますけど、どうします?」
「?」
ビンを受け取った梢の一言。天利は表情で返した。
「まだ隠れときます? 私はどっちでもいーですけど」
「……」
どっちでもいーですけど。
軽く漏らしたひと言にも聞こえるが、聞きようによっては突き放したような梢の言葉に、天利は表情を固くした。
「娘さんは、今日帰るんですかー?」
「……どうも、そのよう、だな」
「へー。私は駅前で会いましたけど、帰りも駅から帰るんですかねー?」
「……だな。悪い。目も覚めたし、そろそろ行くわ」
「……はーい、寝不足ぽいから気をつけてー」
まだおぼつかない足取りでその場を立ち去る天利。携帯を取り出してどこかと連絡を取りながら歩くその背中を見送りながら、梢は空のビンを軽く振った。
「……目は覚めましたかねー?」
☆
フィリアは寝子島駅に立っていた。彼女がこの島を訪れてから72時間。自身が言うとおりのタイムリミットを迎えていた。
「フィリア……そろそろ時間なのデス?」
「ハイ」
「……そうデスか……」
昨晩フィリアを自宅に泊まらせたトワ・E・ライトフェロゥはそれを見送りに来ていた。多くの時間を共にした
恵御納 夏朝
と
御巫 時子
、そして
八神 修
も一緒だ。
「フィリアさん、天利さんが見つからず、残念でしたねぇ……ですがいいのですか? お手紙くらい渡しておくこともできるのですよ?」
時子がフィリアの手を取りながら告げた。しかしフィリアは微笑んで首を横に振る。
「サンキュー、トキコ。でもいいのデス、会えなかったのはまだ、フィリアが会える時と決まってナイということなのデス!」
「そうですか……では、また来てくださいね」
「ハイ! ホントウにアリガトーでした!」
「フィリアさん……気をつけて帰ってね……また、寝子島に……寝子島の猫さん達に、会いに来てね」
夏朝は相変わらず快活な様子のフィリアの手を取った。夏朝の手を強く握り返したフィリアの手からは、確かな強いエネルギーが感じられる。
「ハイ!! 必ずまた来マス!! どうかそれまで……カーサも元気で」
「そうだ、フィリアさん……これを」
修は寝子島の土産にと、猫のぬいぐるみを差し出したが、フィリアはそれを受け取らなかった。
「オサム、アリガトウ……でも、それを持って帰ることはデキナイのデス……ゴメンなさい」
「……そうなのか、それは残念だね」
何とか記念に持たせてやりたいと思っていたが、フィリアにも事情があるのかもしれないと断念した。ここでいつまでも問答していては、電車の時間を逃しかねない。
しかしそれにしても、と修は思った。目の前のフィリアは無邪気な子供で、天利が言うように何らかの事情や裏があるように見えないのだ。
そうした想いを押し殺して、修はつとめて冷静に微笑んだ。
「フィリアさんも、また落ち着いたら寝子島に来てね」
「ハイ……オサム、カーサ……」
フィリアは修と夏朝のふたりに頬を寄せて、抱きついた。
「……ここでのこと、決して忘れません……あのひとがいる寝子島をみせてくれて……ありがとう」
☆
「……」
その様子を、天利は隠れて見ていた。
「何を喋ってるかまでは聞こえませんね……」
そして
綾辻 綾花
は呟く。
「何でここにいる」
天利は呟いた。当然のように天利の隣に立っていた綾花はこれまた当然のように応えた。
「天利さんが娘さんを見送らないわけがないと思いましたので」
「……」
天利は返答しない。もはやどうやって天利の居場所の見当をつけたのかなどはどうでもいい問題に思えた。軽くため息をつきながら、フィリアの様子を見る。
「あれ、結局会わないで済んだの?」
そこにふらりと現れたのが
御剣 刀
である。
「とりあえずはな」
コイツもか、とツッコむのも面倒になった天利はぶっきらぼうに応えた。
「そういえば……アメリカの人とは連絡ついたんですか? ……そもそも、血は繋がってるんですよね?」
駅構内に入っていくフィリアを遠目で眺める天利の顔を、綾花は覗き込んだ。
その横顔は、娘の様子を心配している父親の横顔に、見えなくもなかった。
「ああ……血は繋がってるよ……間違いなくな……アメリカとは、まだ連絡がつかん」
沈黙でその続きを促す綾花。天利は煙草を一本取り出して火をつけた。
「まあ、結局まだ謎のままってことなのさ……そこそこ見当はつくが……。色々と、面倒かけたな」
珍しく神妙な面持ちの天利を前に、刀は軽く笑顔で応えた。
「まあ、いいんじゃないの? 人間生きてりゃ色々あるさ」
綾花もまた、笑顔で天利に向き合う。
「ええ、私も普段見られないような天利さんが見られて楽しかったですし」
「……そうかよ」
苦笑いを浮かべて、天利はまた駅舎の方へを視線を送る。
「……アイツも楽しんでくれてれば、いいんだがな」
☆
駅構内。電車に乗る寸前まで見送ることを希望したトワは、最後までフィリアの手を離さずにいた。
「……トワ。フィリアはそろそろ行かないトいけまセン」
「……パパを見つけて、あげられなかったデス」
結局、フィリアはこの滞在中に天利に会うことは出来なかった。それはもちろんトワや夏朝、時子や修の責任であるはずもない。だが、まだ子供のトワは絵に描いたようなハッピーエンドを無意識に期待していたのかもしれない。
それに対してフィリアは、冷静にこの時を迎えているように見える。そもそも父親探しという重要な用事に寝子島観光を盛り込むあたり、この訪問に対しての真剣さが足りないようにも思えた。
だが、それはあくまで大人の理屈だ。
電車に乗り込もうとするフィリア。その手を握ったまま、トワは顔を上げた。
「フィリア、また来てクダサイ。また……ミンナで一緒にパパ探し、シマショウ」
「……ハイ、また来ます。トワ、それにカーサもオサムもトキコも……ネコジマのみんな……本当にアリガト」
一度ホームに戻り、フィリアはトワの小柄な身体をきゅっと抱きしめた。
トワはぎゅっと瞳を閉じて、フィリアの耳元に囁いた。
「Take care,フィリア。元気デネ」
「So long,トワ。また来マス」
ベルが鳴り、電車のドアが閉まった。電車が動き出す。ホームから手を振ってフィリアを見送る一行。フィリアがドアの窓からすぐに姿を消してしまったのは、未練を自ら断ち切るためか、それとも、別れの表情を見せたくなかったのだろうか。
しかし、走り去る電車を見送った修は、客席の窓を眺めて、ポツリと呟いた。
「……変だな」
「何が?」
夏朝はその呟きに反応した。
「いや、フィリアさんがどの辺に座るのかなと思ったんだけど……姿が見えないなと思ってさ」
「……トワさんに顔、見られたくないから通路にずっといるとか?」
修の言葉を受けて遠めに電車を眺めるが、もう客席の窓から個人の顔を特定できる距離ではない。
自分の部屋にフィリアを泊めた時のことを思い出しながら、夏朝も呟いた。
「……何というか、不思議な子だったね」
「……ああ……そうだな……また来てくれるといいけど」
修は修で、フィリアのことを考えていたが、自分で接した体験と天利からの情報との乖離に困惑していた。
「……どうにも全体像が見えないな……情報不足か……」
「!!……アレを見ろ」
一方、フィリアの乗った電車が出発するのを隠れて見ていた天利は、刀と綾花に促した。
駅から走っていった電車からわずかに、キラリと光るものが空に昇っていったように見える。
「……天利さん、アレは何だい?」
刀の問いに、天利は苦虫を噛み潰したような表情で、搾り出すように答えた。
「わからねぇ……わからねぇのさ。だがどうやらアレが、俺がこの20年間ずっと待っていたものかも知れねぇんだ……」
その呟きを聞きながら、綾花はある種の既視感をもってその光を眺めていた。
「あの……金色の光は……?」
季節は夏。寝子島を初めて訪れた少女のちょっとした冒険は、こうして幕を閉じた。
出会った人々の心に、流しきれない澱を残して。
季節は夏。暑い季節は、もう少しだけ続く――。
<END>
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あとがき
担当マスター:
まるよし
ファンレターはマスターページから!
皆様こんばんは、まるよしです。
リアクション公開を遅らせてしまい、申し訳ありませんでした。
今回は私がマスターとして参加した当時からのNPCである天利の個人的事情に踏み込んでいく最初のシナリオになりました。今後は、娘を名乗るこのフィリアが寝子島の皆さんとどう関わっていくか、また以前の事件との関わりなどをゆるりと明かしていくことになるかと思いますが、楽しみに待っていていただければと思います。
のんびりほんわりと寝子島の雰囲気を楽しみたいシナリオでしたが、いかがでしたでしょうか。
少しでも楽しんでいただけたなら、幸いです。
では、またご縁がありましたなら。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
まるよし
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年09月30日
参加申し込みの期限
2018年10月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年10月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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