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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
【七夕】灯りをつけましょ提灯に☆
―― 暗くてよかった……まだこの状態でまともに顔を見れる気がしない。
獅子目 悠月は自分自身に溜息が漏れる。こんなに己は頑固だっただろうか、と。
とはいえ、ほのかな灯りと喧騒からずっと離れた静寂に包まれれば、先程までよりは大分心は落ち着いてきた。
広がる暗闇の中から、突然何か出そうな様子もあるのは少々苦手でもあるが、幻想的な風景としては悪くないと素直に思う。
「……本当に雰囲気があるな」
つっけんどんに今まで放たれていた言葉以外の、ぽつりと囁かれた声音にはオルカ・ヴィヴァルディも茶化す事無く返答する。
「こういうフゼイのある光景を見ると日本だな～って気がするね」
「お前でもそういうことを思うのか」
「なにそれ～。センシティブを感じられる場所は結構好きだよ。悠月一緒に来てくれてありがとね～」
「……別に」
素直な言の葉へ、意図しない言葉たちが自分の口から呟かれては、更に悠月は心で肩を落とす。
オルカが感受性が強いことなど、とうに知っている。
でなければ、あんなに熱く、深く、どこまでも互いに共鳴することなど出来るわけがないのだから。
ちらりと提灯の光映す蒼の横顔を見つめる。
灯篭の灯りも楽しみ～♪ などと今にもハミングし始めそうな表情に、頑なになっている自分がとても勿体ない気がした。
そう思い始めた悠月の耳に、軽い口調でオルカがあっさりと言葉を放った。
「アレ、もしかして迷った？」
「自信満々に歩いておいて迷ったのか」
「えー俺だけのせいなの？」
「……そうじゃない」
先程までの空気をどこか和らげた悠月の様子に、うん？ とオルカが首を傾げたその時。
視界にもこもこ動く白い物体が捉えられた。
オルカの視線を追って、悠月もすぐそれに気付く。
「雲？」
「何か近寄って来たけど。いつものアレかな」
「ああ……アレか」
「乗れるなら乗ってみようか」
「このまま道なき道を迷うよりはいい、か。仕方がない」
アレ、で片付けられる神魂である。
乗ってくれるならいいや、とばかりにモクモク雲はいつの間にかその形を王冠のようなものへと変えて。
二人を乗せて夜空へと高く高く舞い上がった。
「Complimenti！ 悠月、ここなら願いごとし放題だよ」
「……そうだな、ここならどんな願いも叶いそうだ」
思わずオルカが感嘆の叫びを響かせるほど、雲を抜けた先では壮大な星空が二人を迎えた。
自然の雄大さに圧倒されたように、悠月は息を飲んでその小さな輝きたちを見入る。
「昼は笹にもかいたが、お前はどんな願いをするんだ」
「お願いっていうか、CD出したいなって思ってさ～。
勿論、叶えるのは自分の力だとしても、こう、あるじゃん？ タイミングとか切っ掛けとか良い時がさ」
「CD……ライブばかりで考えた事がなかったな」
オルカからの意外な単語に、脳裏で反芻させながら思案の瞳を向ける悠月。
歌を、自分たちの想いを届ける。そこに直結されていたのは、直に自分たちを見て、触れて、聴いてもらえるライブだったから。
「音だけの勝負になるが、お前は大丈夫なのか？」
「グモン、っていうやつじゃない？ それ」
確かにパフォーマンスやヴィジュアルも己の得意とするものだという自負はある。
その自信がついたからこそ、次のステップへ上がりたい。
他でもない、誇りも自信も共感してきた悠月と共にだからこそ。
「どう？ 悠月ヤル気ある～？」
挑発的な蒼の上目遣い。
オルカの思いが、言葉にされずともその瞳で全て語られている。
ヤル気があるかだと？
とても長い時間くすぶっていた気がされた琥珀の瞳に、強く眩い灯りが輝き出す。
「やるぞ」
「そう来なくっちゃ」
―― Bene! やっぱり悠月はサイコー。
返答は分かっていたつもりだけれど、自分へ向けられるあの射るようなまなざしは、いつも予想以上に自分をその気にさせるのだ。
喜びと満足とを讃えたオルカの笑み。
悠月もそれを見つめては心が昂るのを感じた。
自分より余程柔軟で、常に高見を目指す存在がそこにある。互いに手加減なくやれる相手。
未来を目指せる相手。
今はそれで充分じゃないか。
「そうと決まれば早速帰って相談だ。オルカ早く戻るぞ」
悠月の声にも、凛と空気を響かせる音がすっかり戻って。
二人は競うように雲から地上へと降り立てば、肩を並べて足早にゴールを目指した。
栄光のシンボルとされる二人の纏う月桂樹が、淡く輝く提灯に照らされまるで息をするように揺らめく。
帰りのロープウェイの中ではもう、今後どのように活動していくかといった楽しそうな声音たちが交わされているのだった。
獅子目 悠月は自分自身に溜息が漏れる。こんなに己は頑固だっただろうか、と。
とはいえ、ほのかな灯りと喧騒からずっと離れた静寂に包まれれば、先程までよりは大分心は落ち着いてきた。
広がる暗闇の中から、突然何か出そうな様子もあるのは少々苦手でもあるが、幻想的な風景としては悪くないと素直に思う。
「……本当に雰囲気があるな」
つっけんどんに今まで放たれていた言葉以外の、ぽつりと囁かれた声音にはオルカ・ヴィヴァルディも茶化す事無く返答する。
「こういうフゼイのある光景を見ると日本だな～って気がするね」
「お前でもそういうことを思うのか」
「なにそれ～。センシティブを感じられる場所は結構好きだよ。悠月一緒に来てくれてありがとね～」
「……別に」
素直な言の葉へ、意図しない言葉たちが自分の口から呟かれては、更に悠月は心で肩を落とす。
オルカが感受性が強いことなど、とうに知っている。
でなければ、あんなに熱く、深く、どこまでも互いに共鳴することなど出来るわけがないのだから。
ちらりと提灯の光映す蒼の横顔を見つめる。
灯篭の灯りも楽しみ～♪ などと今にもハミングし始めそうな表情に、頑なになっている自分がとても勿体ない気がした。
そう思い始めた悠月の耳に、軽い口調でオルカがあっさりと言葉を放った。
「アレ、もしかして迷った？」
「自信満々に歩いておいて迷ったのか」
「えー俺だけのせいなの？」
「……そうじゃない」
先程までの空気をどこか和らげた悠月の様子に、うん？ とオルカが首を傾げたその時。
視界にもこもこ動く白い物体が捉えられた。
オルカの視線を追って、悠月もすぐそれに気付く。
「雲？」
「何か近寄って来たけど。いつものアレかな」
「ああ……アレか」
「乗れるなら乗ってみようか」
「このまま道なき道を迷うよりはいい、か。仕方がない」
アレ、で片付けられる神魂である。
乗ってくれるならいいや、とばかりにモクモク雲はいつの間にかその形を王冠のようなものへと変えて。
二人を乗せて夜空へと高く高く舞い上がった。
「Complimenti！ 悠月、ここなら願いごとし放題だよ」
「……そうだな、ここならどんな願いも叶いそうだ」
思わずオルカが感嘆の叫びを響かせるほど、雲を抜けた先では壮大な星空が二人を迎えた。
自然の雄大さに圧倒されたように、悠月は息を飲んでその小さな輝きたちを見入る。
「昼は笹にもかいたが、お前はどんな願いをするんだ」
「お願いっていうか、CD出したいなって思ってさ～。
勿論、叶えるのは自分の力だとしても、こう、あるじゃん？ タイミングとか切っ掛けとか良い時がさ」
「CD……ライブばかりで考えた事がなかったな」
オルカからの意外な単語に、脳裏で反芻させながら思案の瞳を向ける悠月。
歌を、自分たちの想いを届ける。そこに直結されていたのは、直に自分たちを見て、触れて、聴いてもらえるライブだったから。
「音だけの勝負になるが、お前は大丈夫なのか？」
「グモン、っていうやつじゃない？ それ」
確かにパフォーマンスやヴィジュアルも己の得意とするものだという自負はある。
その自信がついたからこそ、次のステップへ上がりたい。
他でもない、誇りも自信も共感してきた悠月と共にだからこそ。
「どう？ 悠月ヤル気ある～？」
挑発的な蒼の上目遣い。
オルカの思いが、言葉にされずともその瞳で全て語られている。
ヤル気があるかだと？
とても長い時間くすぶっていた気がされた琥珀の瞳に、強く眩い灯りが輝き出す。
「やるぞ」
「そう来なくっちゃ」
―― Bene! やっぱり悠月はサイコー。
返答は分かっていたつもりだけれど、自分へ向けられるあの射るようなまなざしは、いつも予想以上に自分をその気にさせるのだ。
喜びと満足とを讃えたオルカの笑み。
悠月もそれを見つめては心が昂るのを感じた。
自分より余程柔軟で、常に高見を目指す存在がそこにある。互いに手加減なくやれる相手。
未来を目指せる相手。
今はそれで充分じゃないか。
「そうと決まれば早速帰って相談だ。オルカ早く戻るぞ」
悠月の声にも、凛と空気を響かせる音がすっかり戻って。
二人は競うように雲から地上へと降り立てば、肩を並べて足早にゴールを目指した。
栄光のシンボルとされる二人の纏う月桂樹が、淡く輝く提灯に照らされまるで息をするように揺らめく。
帰りのロープウェイの中ではもう、今後どのように活動していくかといった楽しそうな声音たちが交わされているのだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2018年09月22日
- 参加申し込みの期限
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- 2018年09月29日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年09月29日 11時00分
