ワールドツアー＜イタリア編＞｜リアクション

ワールドツアー＜イタリア編＞

　翌朝向かったのは南イタリア。　
「ナポリを見て死ね、って言うわね」
「でもまだまだ死ねないね。水樹とはずっと一緒にいたいから」
　珍しく饒舌なヒューに、水樹は身を寄せます。
「私もよ……ヒュー」
　ルネッサンス建築で美術館にもなっているヌオーヴォ城に、海に突き出た要塞である卵城。
　絵に描かれたような美しいサンタルチア港と、見所はいっぱいありました。

　その足で二人は『青の洞窟』を見るためカプリ島へ。
　ですが……
「さすが観光シーズンね……」
「タイミングが悪かったかな」
　入り口付近ですでに長蛇の列、１時間待ってやっと小舟に乗れたけれど、そこから更に２時間待ち……
　けれど二人一緒なら話題は尽きません。
「晴れた日しか見えないんですってね」
「僕たち運がよかったよ」
　待ち時間も苦にならない幸せな水樹とヒューでした。
「あ、私たちの番じゃない？」
　ようやく二人の小舟が洞窟内へ。
　岩にぶつからないよう思い切り身を反らして入った洞窟は思ったよりも暗く。
　目の前に広がるのは、ひたすら幻想的な光景でした。
（ほんとうに青いのね……）
　感動のあまり水樹は何も言えなくなりました。
　ヒューも息を飲み、夢中でシャッターを切りました。
　
　その後二人は、またいくつかの名所を巡っていくけれど、それは別のお話です。