ワールドツアー＜イタリア編＞｜リアクション

ワールドツアー＜イタリア編＞

「あとはそうだな～写真とるならリアルト橋とか。他の人の写真を撮ろうとする手が写りこまないようにするのは大変だけどね」
　オルカの案内で、リアルト橋へ向かいます。
　白い巨象とも呼ばれる立派な橋は、オルカの言うとおり観光客でにぎわっていました。
　彰尋はタイマーをセットして、無事４人で写真撮影を終えました。
「橋の上にも店があるんだね」
「お土産売ってるかな？」
　彰尋とあおいの言葉にオルカが答えます。
「お土産買うならノーヴァ通りでも行ってみる～？　ジェラートとかも売ってるからさ」
「ジェラートか」
「分けあえば二つの味を楽しめるし悠月一緒に食べよ～」
「ああ、いいな」　
　軽い気持ちで了承した悠月ですが。
　ノーヴァ通りでジェラートを買って、いざ、
「はいあーん」
　と気体に満ちた眼差しで差し出されると、反抗したい気持ちがわいてきます。
「いい、自分で食う！」
「えーっ」
　悠月の反抗に、残念そうな顔をするオルカ。
「おいしいね、彰尋くん」
　そんな二人の姿を眺める彰尋のそばで、あおいがジェラートを食べています。
「うん、おいしいね」
　あおいとジェラートを分け合う勇気はとても出ない彰尋でした。

　彰尋は熱心にお土産を選んでいました。
「たくさん買うんだねー」
　覗き込むあおいに説明します。
「ベネチアンガラスで、母用に腕時計。妹にはピルケースとかどうかな？」
　彰尋の問いかけにあおいは答えました。
「こっちの、ガラスがついたヘアゴムも可愛いよね」
「確かに……両方買おうかな。ミニカーとミニチュアマスクは弟に……兄にはエスプレッソのコーヒーかな？　俺用はチョコにリボン型パスタに、マーブル模様のボールペンを」
　みるみるうちに増えたお土産を手に、彰尋はあおいに尋ねました。
「みんなは何を買うのかな？　友達の分も買っていく？」
「どうしようかなあ……兄弟の分、買おうかなあ」
　一方、オルカはいいことを思いつきました。
「ねえねえ悠月～お土産買ってさあ交換しようよ」
　オルカの提案に、悠月は目を瞬かせました。
「お土産？　目の前にいるお前と交換しろって？」
「そう～何買うかは秘密でね。日本に帰った時に交換～みたいな」
　そう言うとオルカは彰尋とあおいに視線を移します。
「彰尋くんたちもやってみるといいんじゃないかな～なんて」
「まあ……オルカが何を選ぶかは気になるな。いいだろう。鴻上達がそっちはそっちで交換すればちょうどいいな」
「お土産交換か……」
　考え込む彰尋。
「楽しそう。でも彰尋くんたくさん買ってるから、何にしようか難しいなあ」
（あおいさんからのお土産ならなんだって嬉しいのに）
　そんな思いをは言葉にできず、彰尋はあおいへのお土産を考えるのでした。

　それぞれが考えて相手にわからないようにお土産を選びました。
　オルカは、離島ブラーノ島伝統のレース刺繍のハンカチ。
（うん、悠月によく似合うよ～！）
　悠月は、青いパッケージのチョコレート。
　チョコの包み一枚一枚にに愛についてのフレーズが書いてあることを、悠月は知る由もありませんでしたが。
　あおいは、ベネチア名物のアイマスクタイプの仮面。
　食べ物かグラスか、色々迷ったようです。
　彰尋は、ベネチアンレースのイニシャル入りのハンカチでした。
　ベネチアンレースは15～16世紀のベネチアを発祥として、ヨーロッパ各地に輸出されたレースです。
　皆すぐに見せたい気持ちを抑えて、わくわくしながら日本に帰っての交換を待っているのでした。
　

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