黒い指先　――三つ目の願い――｜リアクション

黒い指先　――三つ目の願い――

●エピローグ２　～有益なるクロノメーター～

　三下ゴローは総合病院の精神科に入院していた。
　警察に“保護”された際、かなり取り乱していたのも功を奏した。ゴローが罪を告白した録音媒体が、もれいび達の働きで多数存在したが、バックが強力であるゆえに彼を罪に問うことは難しいだろう……そう思われた。

　面会謝絶の札を無視して、刻人・F・ミセリアは薔薇を手に、ゴローの病室を見舞った。
「な、なんだあんた……ここは面会謝絶だ！」
　狼狽するゴローに、刻人は取ってつけたような笑みを浮かべる。
「嫌だなぁ、僕は貴方を心配して来たんですよ」

　その腕の中で、真っ赤な薔薇が見る間に、枯れ果ててゆく。
　男の絶叫が響いた。看護師が駆けつけた時、病室にはゴローの他に誰もいない。ただ血のように赤い薔薇の花びらがベッドに血のように散らばり、膝を抱えた男がガタガタと震えているばかりだった。

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