【七夕】ミルキーウェイに愛を叫べ　屋台も楽し～い♪｜リアクション

【七夕】ミルキーウェイに愛を叫べ　屋台も楽し～い♪

　出場者の強制退場というハプニングに見舞われた会場だが、気を取り直した司会者がしっかりと大会を進行していた。
「えー……なかなか濃厚な愛でしたね！　それでは、次の方。羽生碧南さん！」
　ぽんっ。大会関係者に連れてこられた碧南が壇上に放り出されるように立った。

（ど、どうしよう……）
　碧南は見物人達の前で頭が真っ白になってしまった。だって、別に出たくて出てる訳ではないのだ。何も考えてない。……それどころか何で自分は鷹取先輩と引き離されてしまったのだろう。せっかく会えたのに。
　碧南は想い人、鷹取洋二の顔を思い浮かべる。途端に心がいっぱいになってしまった。
　鷹取先輩に会いたい……！　だって、大好きなの……！
　想いを噛みしめるように碧南は目をつぶる。そこでハッと気が付いた。
（もしかしたら……これは神様が告白しろ、と言ってるの？）
　溢れる想いも会えた奇跡もこの大会も。自分の告白のために全てが揃えられたようだ。
　碧南は目を開けた。その瞳は、覚悟を決めた乙女の瞳。意を決して碧南は叫んだ。

「私は鷹取先輩のことが好きです！　どこがどう好きって……先輩の全てが好き！　本当に大好きなの……！」

　大胆な告白に会場がどよめいた。指笛と共にやんやと拍手と歓声が上がる。その全てを碧南は凜と立ち受け止めていた。
　この見物人の中に洋二はいただろうか。碧南には分からない。けれども、その瞳には後悔の色は微塵も無かった。

＊

「熱い愛の告白でしたねー！　私、ドキドキしてしまいました。それでは、次の方。宮祀智瑜さんと……謎の野菜星人X……？」
　司会者が首を捻る。智瑜がお面を着けた男を引っ張って壇上に現れた。

「ほら先生、覚悟を決めて下さい……！」
「無理だ宮祀……！　俺は見回り中だ……！」
「見回りならこの壇の上の方が捗りますよ」
　そう、謎の野菜星人Xとは寝子高教師桐島義弘のお面を着けた姿。無理矢理智瑜に引っ張り上げられたがまだごねているようだ。智瑜はプンと腰に手を当てると、持っていた巾着から白い金平糖を取り出す。それを義弘に手渡した。
「もう引き返せないんですから、これでも舐めて落ち着いて下さい。私が先に叫びますよ」
　お面姿の義弘に耳打ちすると、智瑜はしっかりと見物人に向き合う。そして叫んだ。

「お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、大好きです！これからも元気で長生きしてください！」

　可愛い声が見物人に届く。温かい拍手が起こる中、智瑜は「ほら、次は先生ですよ！」と振り向いた。
（ちゃんと叫んでくれるかな？）
　智瑜は不安だったが、どうやらそれは杞憂だったようだ。義弘は金平糖をコロコロさせながら壇上で仁王立ちになった。義弘はすうっと息を吸い込み、叫んだ。

「おっぱいーーーー！！！」

ピーーーーーーーーッ
　……間に合わなかった。勿論義弘は屈強な男達に強制退場させられたが、謎の野菜星人Xの潔さは、しばらく巷の男達の間で語り草になるのだった。

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