スイカ・ザ・マッスル！｜リアクション

スイカ・ザ・マッスル！

「おい、そんな口説き方では駄目だ……」
　八神がナンパに精を出すスイカ男を捕まえて言い聞かせていた。
「女性にはもっと優しくしよう。内面が大事だ」
「そうか……、内面か！　ありがとう！」
　スイカ男は八神に礼を告げると、懲りずにナンパに向かうのだった。
（内面を推すしかないよな。だって、頭がそもそもスイカなんだから。イケメンとかそういう概念じゃない、スイカだからな！　やばい、これは思ってた以上にアドバイスし辛いのでは？）
　さすがの八神も、助言に苦しむようである。
　そうだ、と彼はトートバッグから『あるもの』を取り出す。
「みんな、夜は花火と洒落込もう。打ち上げ花火と手持ち花火、両方あるぞ。夏と言ったら海辺での花火だよな」
　どうやら、夏の思い出がまたひとつ増えそうだ。

　思い思いに海の家で過ごす中、旅鴉はご飯は炊いておきおにぎりや焼飯を作っていた。
　お金を払おうとする者に対して、
「自費だから気にするな。気持ち程度の金額でよし。ここにないのはスイカだけ」
　と冗談を飛ばしていた。
　ただ、それを聞いたスイカたちは戦々恐々。
「安心したまえ。勿論、今とって食おう等とは思わない。神魂効果が終わるまでは楽しむといい。だが、終わったならば食材として終わりたいだろう？　料理は任せろ。料理だって芸術だ」
　旅鴉は『ビーチバレーを楽しむマッチョなスイカの躍動感』という題材で描いたスケッチをスイカ男へ見せつつ告げた。
　すると彼女の言葉に腹が決まったのか、スイカ男たちは残された時間を有意義に使おうと、めいっぱい遊び、よく食べた。
　特に盛り上がったのは、真境名のかき氷屋だ。
「さー、５分間で誰が一番多く食べられるか、早食い競争だよ！」
　スイカ男たちに混ざって、小山内や桜庭も参戦。
「よーい、スタート！」
　掛け声とともにかき氷に喰らい付く面々！
　スイカ男も例外なく頭痛に悩まされる姿に笑いが起きつつ、終わってみれば全員同数という結果に。
「すごいね、全員ドロー！　賞品はないけど、一足早く楽しい夏の思いでゲットってことで！」
「「アリサちゅわ～ん！！」」
　スイカ男たちの惜しまない歓声が真境名に向けられた。