スイカ・ザ・マッスル！｜リアクション

スイカ・ザ・マッスル！

　一方、スイカ男の１名が窮地に陥っていた。
「たすけ、ゴボゴボッ！？　足がつって、ゴボボボ！？」
　なんと、溺れているではないか？
　これは大変だと、海の家にいたサキリが救助に向かう。
　自身のろっこん『斬空赤刃』使用の為に、太もものホルダーからナイフを抜き放つ。
　すると、サキリの身体は砂浜から瞬時に海の中へ瞬間移動！
　溺れているスイカに泳ぎ寄り、見事に救助に成功した！
　だが、スイカ男はぐったりしたまま身じろぎもしない。
「しっかりしてくれ！　夏はまだ満喫していないだろう！？」
　サキリは意を決し、スイカ男を横にして気道を確保せんと試みる。
「飲食できるのならば、呼吸もしているはず。どうか息を吹き返してくれ……！」
　サキリはマウストゥマウス（？）で心肺蘇生行為を開始。
　何処に口があるのか分からない為、サキリは自身の舌をスイカの表皮に這わせて呼吸口を探す。
　すると、一箇所だけするりと舌が奥へ入り込む場所を見付ける。
（ここか！　間に合ってくれ！）
　舌を強引にねじ込み、スイカ男へ息を送り込むサキリ。
　何故かその光景を、御剣プロがガッツポーズで見守っていた。
　更にサキリはスイカ男の分厚い胸板に手を押し当て、何度も心臓部分を圧迫！
　そのたびに、割と豊満な胸元が上下にゆっさゆっさと揺れて暴れる！
「よしっ！」
　御剣プロ、指差し点検が決まった瞬間である。
　こうして、サキリの懸命な救助活動により、スイカ男は一命を取り留めた。
「ありがとう、アンタは命の恩人だ……！」
　感謝の意を表するスイカ男。
「なに、当然のことをしたまでだ」
　それをサキリはクールに返した。
「俺……、アンタになら喰われてやってもいいぜ……？」
　突然のスイカ男の告白。
　それはまるで愛を告げるかの如く、静かな情熱を感じた。
　そんなスイカ男にサキリは微笑み返す。
「それじゃあ、現実世界に戻ったら君を買って食べてあげよう」
「や、約束だからな？　アンタのような美少女に喰われるなんて、俺の最期として相応しいぜ……！」
　スイカ男はそう断言すると、フッとその場から忽然と消えていった。
　どうやら満足して、先に現実世界へ帰っていったようだ。
「なるほど、恋愛イベントも夏を満喫する要素のひとつか」
　サキリはスイカ男との約束を胸に深く刻む。
　そして思わず言葉が漏れる。
「でも現実世界では僕、男なんだよなぁ……」
　その後、サキリは残ったスイカ男たちとかき氷を食べて交流を図った。
　ただし、スイカ味シロップは不評であった。

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