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FEAR THE FORCE:夢幻泡影
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風が出てきた。
真夏の澱んだ熱風ではない。
海から吹いてきたのだろうか、やけに冷ややかな、ほんのわずかだが炎暑を忘れさせてくれるような涼風。強い。
いくらか嬉しい贈り物ではある。
とりわけ、建物の陰からなかば以上身を乗り出し、苦しい姿勢で双眼鏡を構えた姿勢をもう何分も継続している身にとっては。
おっ。
声こそ洩らさねど、
志波 武道
は片眉を上げた。
まともに横風を受け、観察中の『テオ』が大きく傾いだのだ。
あれは無機物だが有機的な、もっといえば生物的な動きをする。
たとえば今のようなときだ。
ロボットならばバランサーが働き、もっと機械的に体勢を立て直す動きに入るだろう。工場の製造機械が、エラー修正をするように。
ところがテオにはあきらかに無駄な動きがある。「ああ驚いた」というように一瞬、身を浮かせて戻すのだ。そこから姿勢制御に入る。動物、もっといえば人間のような反応ではないか。
このあたりにしておこうか。
武道は身をよじって、窓枠から室内に滑り込んだ。2か月かけて調べ上げた『テオに目撃されない死角』からの観察だったが、100%安全だという保証はない。付近の住民に目撃され不審がられるおそれもある。
肩の筋肉をほぐしながら、武道は撮影した動画をさっそく確認した。
高校二年生で寝子島に移り住んだとき、武道が衝撃を受けたのはこの国が提供する幸福度の高さだった。
テオを代表とするAI技術の高さ、これをもとにした移植住環境の先進性も目覚ましいものがある。経済も安定しており貧困問題はこの国にはない。ゆえに犯罪発生率も他国と比べ圧倒的に低い。しかも近年、寝子島公国は、このような幸福をもたらすテクノロジーの海外輸出まで行いはじめているのだ。
確かに素晴らしい。武道もそれは認める。恩恵もじゅうぶんすぎるほど受けてきたといえよう。いずれ世界に幸福が広まっていくのかと思うと頼もしくもなる。
しかし――と武道は思う。
なぜかとても怖いと感じる。
あらゆる人の理想が実現した世界、繁栄をつづける美しい世界、それが公国だと言われている。多くの国民がその考えを支持している。
けれども、果たしてそれが正しいのだろうか。
与えられたものが幸福だとして、疑いもせずに生きていていいのだろうか。矛盾を感じないのか。
たとえば、この国には選挙がない。テクノロジー大国化を実現した科学者、香川公王が直接統治を続けている。国営企業はもちろん、市長や学校長のレベルですら、公王が直接指名するという始末だ。かつて存在した選挙制度が無駄に時間と党力を要し、しかもしばしば誤った結論を導くから、というのが理由だそうだ。現在では選挙といっても、生徒会長を選ぶときの話くらいになっている。
あまり表沙汰になることはないものの、政府には公安部という組織が存在し、国家運営にさしさわりがある人物を、ひそかに処理しているという事実もあった。近年では将来禍根をもたらしそうな人間すら標的にしているという。
公安部に目を付けられた人物は、ある日突然、消失する。事故扱いで死去することもあるが、たいていは謎の行方不明になってしまうのだ。国民であったという記録ですら、煙のように消え失せてしまう。寝子島公国では、失踪者の割合は世界の先進国に比して異様に高い。知られざる公国の暗部だ。
公国のありかたに疑問をもって以来、武道も身の危険は感じていた。
だから高校卒業とともに、表の世界から身を消したのである。
現在の武道は、一時的なバイトや貯蓄の切り崩しで糊口を凌ぎつつ、アンダーグラウンドのジャーナリストとして生活している。住居も一定周期で移動を繰り返していた。危険と隣り合わせの毎日だ。楽な生活ではない。それどころか、一日過ごしただけで疲弊してしまうことも多い。
けれど後悔はなかった。目を開けて生きることこそ、武道にとっての『幸福』であり充実なのだった。誰がそれを否定できよう。
パソコンを立ち上げると動画を保存し、これまで得てきた情報ファイルにアクセスする。
厳重にかけたパスワードをくぐって、武道はデータを開いた。
香川公王に関して集めたものが中心だ。
香川王堂に実弟がいるということ、これは確定情報である。
そして実弟は、現在入院中であることもわかっている。
入院先を突き止めるには至っていない。王弟の存在を公王がひた隠しにしている理由についも、多くの推測はなりたつものの不明だ。
武道は干し肉を取り出して囓る。自分で作った燻製だが、なかなかいけると思っている。
――本当の幸せがなんなのか、言い切るのは難しいけど。
バリッと音を立ててジャーキーを噛み千切った。香辛料の匂いが鼻を刺す。
けれど俺のやっていることは、皆の『幸福』に近づくための行動だと信じたい。偽りに塗り固められたそれではなく――。
肉は硬いので、よく噛まなくてはならない。あいにくとソーダ水すら切らしているから、グラスに注いだのはただのぬるい水だ。
忙しなく咀嚼しながら、あれ? と思った。
皆の『幸福』、そんな風に思ったか。
俺は大切な誰かの為だけに動いていたような……?
しかしその疑念とジャーキーをぬるい水とともに飲み下すと、武道はある番号に電話をかけていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
FEAR THE FORCE:変異-METAMORPHOSE
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
21人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年08月09日
参加申し込みの期限
2018年08月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年08月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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