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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
６月の☆ハッピーバースデー
【少しずつ、一歩ずつ】
そわそわ。むずむず。なんだか落ち着かないような。むずがゆくてたまらないような。空へ向かって、なにか叫び出したいような……。
六月一日宮 檸檬は、そんな気分で一日をやり過ごしています。
「お前、今日誕生日だって？ おめでとー！ まっ、プレゼントはないけどな」
「いいって！ サンキューな！」
部活仲間たちは、練習の合間にそんなふうに言ってくれました。
それに朝の出がけには、桜花寮のルームメイトにもお祝いされました。
「あ、今日誕生日なんだ？ おめでとう六月一日宮くん！」
「おー、ありがとな！」
クラスメートたちだって、口々にそう言ってくれます。
檸檬が誕生日を迎えた、その日のこと。
自分は恵まれているな、と彼は思います。顔を合わせればみんながお祝いを言ってくれて、笑顔を向けてくれて。檸檬の顔も思わず、綻んでしまいます。
もちろん彼らの好意は嬉しいのです。感謝の気持ちで胸がいっぱいです……けれど。
（今日……会えるかな）
心のどこかにぽっかりと、埋まらない部分がありました。どうしても、満たされないところがありました。
（お祝い、言ってもらえるかな）
こんなに祝われているのに、贅沢かな、とも思いますけれど。やっぱりそれとこれとは、別！
（……っあー！ そわそわするぅー！）
彼女の笑顔が空に浮かんでは、雲のように流れていきました。
結局学校では会えないまま、放課後は友人たちの好意で、カフェのオープンテラスでちょっとしたお誕生日会です。
「っていうにはしょぼいけどな。まあ俺たちのおごりってことで」
「おー、美味そう！ ありがとなー、いただきまーす！」
目の前には、どどーん！ 特大レモンパフェ！ スプーンでひとすくい、ぱくりっと頬張れば、
「う、美味い……！」
爽やかな柑橘の香りと甘いクリームの絶妙なコラボレーション。口の中を駆け巡る、もぎたてフレッシュ！
ぱくぱくぱく、スプーンは軽快に翻り、そのたび広がる酸味と甘味。絶品スイーツを堪能しながら、
（センパイにも、食べさせてやりてーな……）
お菓子が大好きな彼女のこと。きっと微笑むことでしょう。檸檬がスプーンにクリームをすくい、あ～んっと差し出せば、きっと彼女は真っ赤になってしまうでしょう。リンゴめいて愛らしい赤みがかった頬を思い浮かべて、檸檬はほっこり。彼女の口の端にくっついたクリームを思わず指で拭って、なんとはなしにぱくり。我に帰ればはたと見つめ合って、おたがい真っ赤になってしまうのでしょう。檸檬はひとり、顔が熱くなるのを感じます。
数え切れないほどたくさんのお菓子を、彼女といっしょに味わってきました。
数え切れないほどたくさんの思い出を、彼女と共有してきました。
（……センパイ。俺、決めてるんです。今日、センパイと会えたら、俺……センパイのこと）
と。不意に。
「六月一日宮？ おーい？ スマホ、鳴ってるって。それ彼女じゃない？」
「へっ？ あ！」
テーブルの上で震える画面に彼女の名前を見つけた瞬間、檸檬の中でもやもやとしていたなにかが、ぱんっ！ 弾けてしまったかのよう。
がたんと勢いよく立ち上がると、
「……悪い！ 俺、いかなくちゃ……！」
「おー行け行け。がんばってこいよー」
「後で話聞かせろよなー、甘ーいの！」
「おう！」
いやおうじゃないだろ俺、と思ったのも束の間。ともかく檸檬は、全力で駆け出しました。
心に決めていたのです。今日、彼女と会えたなら、そうしようと。
もちろん彼女がイヤだと言ったなら、こそばゆいからと困ってしまうなら、その時はやめることにしましょう。けれど、やってみなければ分かりません。呼んでみなければ分かりません。
息を切らして街を駆け抜け、やがてあの可憐なふたつ結びと、リボンの色が目に入ったところで。
「っ、澄佳センパ……」
乾いた喉に唾を押し込み、言葉を飲みこんで。
檸檬は、彼女を呼びました。
「……澄佳、さん！」
ぴくり。丸い肩が小さく跳ねて。
くるり。澪乃 澄佳は振り向いて、恥ずかしそうに……幸せそうに、はにかんだのでした。
そわそわ。むずむず。なんだか落ち着かないような。むずがゆくてたまらないような。空へ向かって、なにか叫び出したいような……。
六月一日宮 檸檬は、そんな気分で一日をやり過ごしています。
「お前、今日誕生日だって？ おめでとー！ まっ、プレゼントはないけどな」
「いいって！ サンキューな！」
部活仲間たちは、練習の合間にそんなふうに言ってくれました。
それに朝の出がけには、桜花寮のルームメイトにもお祝いされました。
「あ、今日誕生日なんだ？ おめでとう六月一日宮くん！」
「おー、ありがとな！」
クラスメートたちだって、口々にそう言ってくれます。
檸檬が誕生日を迎えた、その日のこと。
自分は恵まれているな、と彼は思います。顔を合わせればみんながお祝いを言ってくれて、笑顔を向けてくれて。檸檬の顔も思わず、綻んでしまいます。
もちろん彼らの好意は嬉しいのです。感謝の気持ちで胸がいっぱいです……けれど。
（今日……会えるかな）
心のどこかにぽっかりと、埋まらない部分がありました。どうしても、満たされないところがありました。
（お祝い、言ってもらえるかな）
こんなに祝われているのに、贅沢かな、とも思いますけれど。やっぱりそれとこれとは、別！
（……っあー！ そわそわするぅー！）
彼女の笑顔が空に浮かんでは、雲のように流れていきました。
結局学校では会えないまま、放課後は友人たちの好意で、カフェのオープンテラスでちょっとしたお誕生日会です。
「っていうにはしょぼいけどな。まあ俺たちのおごりってことで」
「おー、美味そう！ ありがとなー、いただきまーす！」
目の前には、どどーん！ 特大レモンパフェ！ スプーンでひとすくい、ぱくりっと頬張れば、
「う、美味い……！」
爽やかな柑橘の香りと甘いクリームの絶妙なコラボレーション。口の中を駆け巡る、もぎたてフレッシュ！
ぱくぱくぱく、スプーンは軽快に翻り、そのたび広がる酸味と甘味。絶品スイーツを堪能しながら、
（センパイにも、食べさせてやりてーな……）
お菓子が大好きな彼女のこと。きっと微笑むことでしょう。檸檬がスプーンにクリームをすくい、あ～んっと差し出せば、きっと彼女は真っ赤になってしまうでしょう。リンゴめいて愛らしい赤みがかった頬を思い浮かべて、檸檬はほっこり。彼女の口の端にくっついたクリームを思わず指で拭って、なんとはなしにぱくり。我に帰ればはたと見つめ合って、おたがい真っ赤になってしまうのでしょう。檸檬はひとり、顔が熱くなるのを感じます。
数え切れないほどたくさんのお菓子を、彼女といっしょに味わってきました。
数え切れないほどたくさんの思い出を、彼女と共有してきました。
（……センパイ。俺、決めてるんです。今日、センパイと会えたら、俺……センパイのこと）
と。不意に。
「六月一日宮？ おーい？ スマホ、鳴ってるって。それ彼女じゃない？」
「へっ？ あ！」
テーブルの上で震える画面に彼女の名前を見つけた瞬間、檸檬の中でもやもやとしていたなにかが、ぱんっ！ 弾けてしまったかのよう。
がたんと勢いよく立ち上がると、
「……悪い！ 俺、いかなくちゃ……！」
「おー行け行け。がんばってこいよー」
「後で話聞かせろよなー、甘ーいの！」
「おう！」
いやおうじゃないだろ俺、と思ったのも束の間。ともかく檸檬は、全力で駆け出しました。
心に決めていたのです。今日、彼女と会えたなら、そうしようと。
もちろん彼女がイヤだと言ったなら、こそばゆいからと困ってしまうなら、その時はやめることにしましょう。けれど、やってみなければ分かりません。呼んでみなければ分かりません。
息を切らして街を駆け抜け、やがてあの可憐なふたつ結びと、リボンの色が目に入ったところで。
「っ、澄佳センパ……」
乾いた喉に唾を押し込み、言葉を飲みこんで。
檸檬は、彼女を呼びました。
「……澄佳、さん！」
ぴくり。丸い肩が小さく跳ねて。
くるり。澪乃 澄佳は振り向いて、恥ずかしそうに……幸せそうに、はにかんだのでした。
あとがき
担当マスター：
墨谷幽
ファンレターはマスターページから！
墨谷幽です。
６月が誕生日な皆さま、おめでとうございます！ ハッピーバースデー！
というわけで今回、ありがたいことに、らっかみ！タイムで毎月恒例のお誕生日シナリオを担当させていただきました。
お誕生日！ そんな響きをもはや素直に喜べない、といった方も中にはいらっしゃることと思いますけれど（私です）、それでもやっぱり、誕生日は特別な一日です。
ＰＣの皆さんも、ＮＰＣをお祝いしてくれた方々も、楽しくて素敵な誕生日を満喫したことでしょう。
誕生日って、不思議なものですよね。
その日になったからといって、自分がなにか変わるわけでもないのに、なんだかちょっぴり変わった気がするんです。成長したようなキブンになるんです。
それをキブンで終わらせず、成長したイメージへ自分を近づけていけるかどうか、気づけるかどうかというのが、つまりはオトナになっていくということなのかなー、と無駄に育ってしまった私などは思ったりなんだりするわけなのです。
それでは、今回もご参加いただきまして、ありがとうございました！
次のシナリオでもお目にかかれますことを、心よりお待ちしております。
お疲れ様でしたー！
６月が誕生日な皆さま、おめでとうございます！ ハッピーバースデー！
というわけで今回、ありがたいことに、らっかみ！タイムで毎月恒例のお誕生日シナリオを担当させていただきました。
お誕生日！ そんな響きをもはや素直に喜べない、といった方も中にはいらっしゃることと思いますけれど（私です）、それでもやっぱり、誕生日は特別な一日です。
ＰＣの皆さんも、ＮＰＣをお祝いしてくれた方々も、楽しくて素敵な誕生日を満喫したことでしょう。
誕生日って、不思議なものですよね。
その日になったからといって、自分がなにか変わるわけでもないのに、なんだかちょっぴり変わった気がするんです。成長したようなキブンになるんです。
それをキブンで終わらせず、成長したイメージへ自分を近づけていけるかどうか、気づけるかどうかというのが、つまりはオトナになっていくということなのかなー、と無駄に育ってしまった私などは思ったりなんだりするわけなのです。
それでは、今回もご参加いただきまして、ありがとうございました！
次のシナリオでもお目にかかれますことを、心よりお待ちしております。
お疲れ様でしたー！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2018年08月04日
- 参加申し込みの期限
-
- 2018年08月11日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年08月11日 11時00分
