緑の戦場、バードロイヤル！｜リアクション

緑の戦場、バードロイヤル！

　荒廃した街に銃声が響き渡る。爆発音が遠くで聞こえた。
　恵御納久隆は倒壊したビルの壁面に隠れ、今まで以上に警戒を強めていた。
「戦いの渦中にいる気分はどうだ」
　頭上の声に久隆は鼻筋に皺を寄せる。
「最悪だ」
　周囲を見て飛び出した。荒れた舗装道路を横断する途中で身体の向きを変えた。
　目を見開いた先にライフルが落ちていた。
「そなたに武器は必要なかろう」
　声を無視して久隆は駆け寄る。土が剥き出しにされたところにライフルが落ちていた。多少の土は被っていたが損傷した箇所は見られない。
「一発は必要だ」
「戦いに身を投じるか」
「誰とも戦うつもりはない！」
　久隆はライフルを勢いよく拾い上げた。土と共に安全ピンが撥ね上げられた。銃身に鋼線で結ばれていた。
「これは何だ？」
　疑問を口にした瞬間、土から半ば出ていた手榴弾が炸裂した。その威力は凄まじく、久隆は木の葉のように吹き飛ばされた。緩やかな回転を経て路面に転がった。
　横向きの姿で呻く。
「そなたの命運は尽きたか」
「あ、あれは、トラップか……」
　血に塗れた顔を苦痛で歪める。
「威力が増していた。最後にライフルを求めた理由を語るがよい」
「……あれは、俺の、為だ。戦いを、避けて、一人になった、時に……自害する、つもりだった」
「我の望みを阻止する為か」
　久隆は咳き込んだ。路面に血が飛び散った。
「そう、だ、が……ここまで、らしい」
「そなたが倒れたことで我の望みは潰えた」
「……そう、か……」
　紫色に変色した唇を震わせて笑う。
　久隆は眠るように瞼を閉じた。

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